NAGOYA REPORT 名古屋の教育

名古屋の教育を全国へ!?あの名古屋発ドラマにその意図はあるのか

記事公開日:2005年7月9日 更新日:

 NHKテレビで毎週放送されている「中学生日記」というドラマがあります。かつては総合テレビで日曜の午後に放送されていましたが、現在は教育テレビで毎週月曜午後7時から30分間放送されています。実はこのドラマの枠が、地方局が制作するドラマのうち現存する最古のものだということをご存知でしょうか、それ以前にこの「中学生日記」が名古屋で作られていること自体、あまり知られていないのではないでしょうか。

名古屋で長年作られている道徳ドラマ

 中学生日記はNHK名古屋放送局が制作しているドラマで、1962(S37)年に「中学生次郎」としてスタート、その後「中学生時代」「高校生時代」「われら高校生」「中学生群像」とタイトルや舞台を変えるなどの経過をたどり、1972(S47)年に現在のタイトル「中学生日記」となりました。開始から既に38年が経過しています。

 他にも名古屋で制作されているドラマ枠が民放にもあります。東海テレビはフジテレビ系列で午後1時半からドラマを放送しています。この枠は、民放の帯ドラマ枠最長記録を保持していますが、スタートは1964(S39)年で中学生日記の枠よりも後です。そしてCBCテレビの同じ時間の枠「ドラマ30」が 15分枠としてスタートしたのが1969(S44)年ですので、比較すると中学生日記の枠がいかに古くから続いているかがわかります。

思春期と性教育にももっと踏み込んで欲しい

 中学生日記は、中学生の日常を描いたドラマですが、中学生向けの道徳番組という位置付けでもあるため、ただ面白おかしく話が展開されるわけではなく、学校生活およびプライベートでおこる様々な問題に対し解決法を探っていくスタイルになっています。そのため説教をされているように感じることもあり、当の中学生はあまり見たがらない傾向もあります。私も中学生当時はあまり好きではありませんでした。

 時代に応じて内容は変えられており、現在では薬物乱用、携帯電話中毒といった重い内容を取り上げる反面、ソフトにそしてリアルに思春期でもある中学生の心理を描き、下着や陰毛にまつわるエピソードなども組まれるようになりました。でも、当然描かれていたのは男の子の話でした。もう少し踏み込んで欲しいですね。

 話が逸れますが、中学生の男の子には、もっと女の子のことを教えるべきだと私は思います。東京都の石原知事では無いですけど、性というものを軽く考えすぎだと思いますし、生理とかそういう知識は男の子にも必要だと思うのです。

 私が小学生だった頃は、女子だけ視聴覚ルームに集められてそういうビデオを見ている時間に、我々男子は体育館の掃除をさせられました。

そういうことをするから逆に男子の好奇心はさらに刺激され、その授業の後「ねえ、どんなビデオだった?」と女の子をからかったり、プールの授業を休んでいる女の子に「○○ さん、あー、今日プールは入れないのー。ふーん。」などと、わざと意味深に声をかけるといった、私みたいな男子が登場してしまうのです。今考えると私、最低な男子ですね。

名古屋っ子だけが楽しめる地元ネタも

 さて話を戻します。この中学生日記は名古屋で作られているとはいえ、全国の中学生に向けて発信されているのですが、ドラマの舞台も名古屋市内の架空の公立中学校ですし、撮影も実際に名古屋市内で行われています。そのため名古屋っ子にはもうひとつの楽しみがあります。それは、ドラマに出てくる風景が見たことのある景色ばかりなのです。

もちろんドラマですから、様々な場所でロケをしますし編集をします。なので「あれ?小幡の角を曲がったのに、急に矢田川河川敷に出たぞ。」といった、辻褄の合わない部分をチェックする楽しさもあります。なぜかこのドラマは、守山区や東区で撮影されることが多いです。とりわけ NHKの社宅付近が多いような...。

 そして登場する先生の名前にも特徴があります。校長は日比野先生、教頭は伏見先生、そして担任の先生たちを見ると、矢場、黒川、荒畑、鶴舞、高岳...。名古屋っ子のみなさんには「何を今更」と言われるでしょうが、実は中学生日記に登場する先生の名前は、全て名古屋市営地下鉄の駅名なのです。

さらに面白いのが、やはり中学校が舞台ですから高校受験の話題が登場します。そこで「梅里高校」「松が丘高校」などという架空の高校が登場するのですが、名古屋っ子は「どう考えたって、それって菊里と旭丘(あさひがおか)のことだろ。」とツッコミを入れることができますし、製作者も狙っているとしか思えません。今はもう登場しないかもしれませんけど。

 他にも道徳的なドラマではありませんが、NHK名古屋放送局では学校を舞台にしたドラマを制作し、全国に向けて放送しています。

 教育テレビの「ドラマ愛の詩」の枠で放送されたもののうち最近では、2001(H13)年「幻のペンフレンド2001」、2002(H14)年の「エスパー魔美」「どっちがどっち」、2003(H15)年「天使みたい」が名古屋放送局で作られ、原作の舞台が名古屋ではないにもかかわらず、名古屋市内を舞台としています。(どっちがどっちのみはお隣の瀬戸市が舞台)各ドラマには「なごやことば指導」がつき、セリフを名古屋弁にすることで、名古屋の臨場感を出しています。

 そして学園ドラマはNHKだけにとどまらず、CBCテレビが1999(H11)年からお昼のドラマ枠「ドラマ30」で放送している「キッズ・ウォー~ざけんなよ~」が人気シリーズとなっていて、単発でゴールデンタイムに特別編を放送するほどまでになりました。キャストを変えつつ、2005(H17)年現在も続いています。

 このドラマは名古屋で制作しているものの舞台は東京なので、救急車に「東京消防庁」と書いてるのに、到着したのは大曽根の病院だったり、練馬区立の中学校のはずが実は守山中学校と、名古屋っ子は思わず首を傾げてしまうシーンがいくつもあります。

 そしてなぜか、このキッズウォーも守山区や東区といった中学生日記と同じような場所でロケをしているので、いつか同じ場所が登場しないかとか、いつか話がリンクするのではないかと勝手に想像してしまいます。絶対無いでしょうけど。

 このように、名古屋ではなぜか学園モノのドラマが多数制作され、全国に向けて発信されています。その理由はわかりません。

 しかし中学生日記の枠に関して、昔から中学生向けの道徳ドラマを名古屋が制作し続けているのは、名古屋にとって名古屋の教育方針というものが誇りであり、それを全国に広めたいという思いや、名古屋が日本の教育を牽引していく必要があるとの義務感を勝手に感じていたからなのかもしれません。実は、名古屋は管理教育に自信を持っていたのかも...。

イラスト
▲名古屋の人と、全国の鉄道マニアだけが知る事実。

名古屋へ転校する子どもたちへの試練

 さて、今回まで5回に渡って、愛知県における教育の特色を取り上げてきましたが、かなり他の都道府県とは違うということがおわかりいただけたと思います。

 かつて「管理教育」と呼ばれたスパルタ式の教育については、今はもう行われていないと思いますが、それでもやはり、親の都合で名古屋へ転校する子ども達が名古屋に順応するのは、大変なことだとおわかりいただけたと思います。親でさえも、会社でそして近所付き合いで名古屋に馴染むのは大変なことなのですから、子どもなら尚更です。

 もし名古屋へ転勤が決まりましたら、腹をくくって「子どもに協調性というものを教えるんだ。」という意識で名古屋に転校させるか、どうしても名古屋の教育に疑問を感じるのであれば、比較的自由度の高い私立の学校に転校させるか、最悪単身赴任という道をお選びください。

 以前も紹介しましたが、名古屋に転校してきた少年の目線で書かれた歌がかつてNHKで制作されました。そのサビの部分の歌詞を紹介して締めくくりたいと思います。

「拝啓、ここは名古屋です。名古屋の仲間に僕も入れてもらったよ。」

 名古屋で「新しい友達を作る」などという尊大な意識ではダメなのです。名古屋という、日本の中で独立した存在のコミュニティの仲間に入れてもらう、そういった意識が必要なのです。

 あなたの大切なお子さん。名古屋の仲間に入れそうですか?

読んでおきたい一冊

 実際に、愛知県の管理教育が一気に全国に広がっていった時代がありました。もちろん、今では露骨に当時のような教育が行われているとは思いませんが、名古屋に引っ越すのであれば、かつて愛知県が旗を振っていた教育がどういうものだったのか、理解しておいて損は無いと思います。当時の様子や、それと戦った著者について克明に記されています。いわゆる管理教育とは何だったのか。読めばわかります。


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