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あんかけスパゲティ-あんこ好きな街だけどこのあんは甘くはありません | 名古屋めし

記事公開日:2006年8月2日 更新日:

あんかけスパゲティ

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スパゲティ専門ユウゼン<新栄>東新町交差点北西角地下

 あんかけスパゲティ。

 名古屋の街角では普通に見かける看板であるが、他の地方からやってきた方の多くは首を傾げる。名古屋と言えばトーストにあんこをトッピングしたり、スパゲティにあんこや生クリームを乗せる奇抜な喫茶店があり、勘違いしてしまう人も多くいるようだが、それらとは全く関係は無い。いや、名古屋のあんこ文化を知っているような名古屋フリークの人は、あんかけスパゲティももちろん知っていることだろう。

あんかけの「あん」って何?

 あんかけとは、中華料理でよく登場するあんかけと同義である。スパゲティにどろっとした餡状のソースがかかっているわけである。しかしその味付けは中華風味では無い。だが目的は同じである。スパゲティに味がよく絡みやすいようにと餡状になっているのである。

 基本的にはトマトを中心とした野菜や牛肉を煮込んだソースなのであるが、絡みやすくしているにもかかわらず、味付けの濃い名古屋を反映してとても濃い味になっている。だからといって赤味噌風味ではないということだけは、名古屋っ子の名誉に関わる問題なので断言しておく。

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パスタ・デ・ココ
<新栄>東区葵店<名駅>名古屋駅北通り店<東京>港区西新橋烏森通店 千代田区末広店ほか

それがイイ!それがイヤ?麺がやたらと太い

 あんかけスパゲティの特徴はそのソースだけではない。スパゲティも独特な太い麺となっている。業界では2.2ミリという共通見解があるようだ。なぜ太いのかというと、あんかけスパゲティは麺を一度炒めるため、麺がしっかりとしていないと駄目なのである。そのためあんがかけられてもパリッとした食感がある。

 アルデンテとは正反対で麺の外側に芯があるのだ。そしてもう一つの特徴は、やたらと辛いということである。ソースそもそもの味が濃いにもかかわらず、さらに大量の胡椒が入っており、あんにそれが浮かんでいるのが目で見てわかるほどである。ドロっとしたソース、やたらと太い麺、そして大量の胡椒があんかけスパゲティを形成しているのである。

 あんかけスパゲティはビジネスマンの食べ物という認識が強く、平日のランチタイムとなると名古屋では、専門店にスーツの男達が行列を作っているのを目にすることができる。その味の濃さとボリュームが男達を引き寄せるのだろう。名古屋でも、若い女性や主婦が「お昼スパゲティにしようか」と言った場合は、普通のイタリアンレストランを指し、あんかけスパゲティを指すわけでは無い。

 女性にとっては麺の太さが野暮ったいのかもしれない。確かに太い麺は、田舎町の田んぼの真ん中にある喫茶店で出される、茹ですぎてアルデンテなど面影も無いスパゲティを髣髴とさせる。

レトルト化で一般家庭にも

 このあんかけスパゲティが名古屋に発生したのは今から40年前ほどとされていて、発祥の地と名乗っているのが栄の「スパゲティハウスそ~れ」と「スパゲッティハウスヨコイ」である。どちらが先なのかは定かでは無いが、一般家庭にまでこのメニューを広めたのはヨコイである。

 ヨコイはあんかけソースを商品化しており、名古屋ではスーパーのスパゲティソースコーナーに普通に並べられている。しかし箱の表面には写真は載っているものの「あんかけ」の文字は無く、知らずに買ってしまった地方出身者は大きな衝撃を受ける。

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チャオ<栄>中日ビル店 栄町ビル店 パルコ店<名駅>メイチカ菱信ビル店ほか

 レトルトパックはインターネットの通販でも購入することができ、これまで名古屋でしか味わえなかった味が、全国の家庭でも味わえるようになった。このようにあんかけスパゲティは、名古屋メニューから全国区メニューへの階段を登り始めたのである。そして数年前、あんかけスパゲティにとって衝撃的な大きな動きがあった。

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パスタデココはチェーン展開中雰囲気はココイチそのままな感じ。

そして今、全国区をめざす

 このあんかけスパゲティを果敢にも全国展開しようとしている会社がある。既にカレーハウスでは全国、いや海外出展まで果たしている「カレーハウスCoCo壱番屋(以下ココイチ)」である。2003(H15)年にあんかけスパゲティ「パスタ・デ・ココ」という新業態を開発。その翌年には東京進出を果たしている。

 ココイチはこれまで、カレーのソースは全て同じでトッピングのバリエーションでメニューを広げるというカレーハウスを展開をしてきたのだが、あんかけスパゲティは全く同じパターンが流用できるということからの進出となったのであろう。

 ただ、カレーとあんかけスパゲティの違いは、そのメニューの知名度である。カレーを知らない日本人などいない。果たして、これまで40年間名古屋から門外不出だったメニューが名古屋以外で通用するのだろうか。それはまるで、草木の全く生えない荒地で一から田植えをするようなものである。

 あんかけスパゲティのソースが、あんこと違って甘くないように、あんかけスパゲティが全国区になるの道のりはそれ程甘くは無いだろう。

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