何もかもが表情豊か…狛犬にお願い!瀬戸・深川神社

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  • さすがせとものの瀬戸・陶器でしかもアート?
  • 神馬や狛犬の表情が豊か・狛犬に願いことを聞いてもらえます
  • せと陶祖まつりの様子もあわせてレポートします

 私は生まれは名古屋ですが、物心ついた時から瀬戸市で育っていますので、幼い頃から初詣にはよく「深川神社」へと親に連れてこられました。参道には、どう見ても地上なのに「地下街」という名の商店街があり、境内に瀬戸で唯一のビジネスホテルがあるという、なかなか興味深い神社だとは以前から思っていたのですが、改めてじっくりとお参りをしますと、なんと個性的で表情の豊かな神社であることか。

 さすが、せとものの瀬戸。瀬戸の産土神です。

 自分が育った街の神様ということもあるのでしょうか、昨年は深川神社に初詣をさせていただいたおかげで、いい一年を過ごすことができました。そこで今年も、お願いしたいと思います。また、この深川神社の境内にある陶彦社に祭られている「陶祖」加藤四郎左衛門景正(藤四郎)をしのぶ「せと陶祖まつり」の様子もあわせてレポートします。

毎年ものすごい行列ができます

 深川神社の前にあります、その名も「宮前駐車場」は無料でして、元日にはいつも駐車するのに車の行列で待ち、さらに、お参りをするにも長い行列に並ぶのが恒例行事となっています。やはり、瀬戸の人にとっては深川神社は特別な存在です。

 その参道にあるのが「宮前地下街」です。全国ネット番組も含め、テレビなどでも何度も取り上げられ、なぜこれが地下街なのか?と話題によくのぼりますが、通説としては、駐車場を地上として、その下にあるから地下街ということになっていますね。

 やっと地域全体で取り組むことがきまった瀬戸焼きそばにうなぎと、参道グルメでも有名です。

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神馬も狛犬も表情に注目です

「たいやき」や「たません」の屋台を越えて、二の鳥居のある階段を上ると、両側にそれはまるで狛犬のように神馬がいます。筋肉の質感がリアルでとっても躍動的であるだけでなく、その表情のリアリティにひきこまれます。馬の目の持つ優しさがとてもよく出ています。

 さらに手水舎を越えて進むと、現れるのが三の鳥居の両側にいる狛犬です。こちらは先ほどの神馬とは対照的に、コミカルと言ったら怒られてしまうかもしれませんが、思わず、セリフをつけてしまいたくなるような、迫力とかわいらしさを併せ持つ表情をしています。

 瀬戸はいわずと知れた「せともの」の街でありますが、食器類だけでなく、「ノベルティ」と呼ばれる陶磁器製の人形の製造も古くから盛んで、世界でも有数な存在です。人形といえば表情が命。そんなことから、狛犬や神馬の表情にもこだわりがあったのかもしれません。推測ですが。

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拝殿の鬼瓦はなんと織部

 深川神社は1200年以上の歴史を持つ神社で、創建は西暦771年(宝亀2年)と伝えられています。天照大神の五男三女の御子を祭神とし、無病息災・子孫繁栄を掌っています。さらに境内には「陶彦社」と「深川奥宮稲荷社」があります。

 無病息災と子孫繁栄の産土神・深川神社に、瀬戸の陶器の祖である「陶祖」を祭る陶彦社、さらに何よりもそれが商売にならなければならないということで稲荷社。これは、瀬戸の人々の信仰が厚いのも頷けます。

 これまた、先ほどの狛犬とは表情が一変して、歴史を感じさせる狛犬に見守られながら拝殿に進みますと、正面の鬼瓦がなんと陶器製の織部焼。精巧さと色の美しさに驚かされます。

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古墳とお稲荷さん

 深川神社の拝殿でお参りをして振り返りますと、そこにはこんもりとした古墳があります。深川神社古墳です。石積みの方法や規模から6世紀頃のものと推定されており、石室の中心墳は約4メートル四方の横穴式円墳となっています。

 そしてその古墳の背後には、鬼瓦がたくさん並べられています。

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 そんな古墳の横に、朱色が鮮やかな鳥居がずらりと並んでいます。深川奥宮稲荷社です。陶器を作る街にとって、良質な土が採掘できることも重要ですし、よりよい物を作ることができるようになるのも重要なことですが、なによりも、最も重要なのはやはり、商売が繁盛することですものね。

 これは全てに通じると思います。芸術品でも日用品でも、製品でもサービスでも、より良いものであるだけでなく、売れるものでなければ、人の役にたったとは言えませんし、何よりも、ご飯を食べていくことができませんものね。

 さて、そんな深川奥宮稲荷社のさらに東側には「陶彦神社へ是より五丁御参詣」という道標があります。目の前にあるのに道標?と思ったら、実はこれ、大正時代からの建物のままだった、旧尾張瀬戸駅に設けられていたもので、駅の解体後に記念として移設されたのだそうです。深川神社でなく陶彦社の道標なのですね。続いては、その陶彦社の由緒を紐解いてみましょう。

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毎年にぎやかに催される「せと陶祖まつり」

 陶彦社に祭られていますのは、瀬戸の焼物の祖「陶祖」と呼ばれる加藤四郎左エ門景正(藤四郎)です。藤四郎は宋へと渡り焼物づくりの秘法を学びます。そして、その焼物に最適な良質な粘土を探して全国をまわっている途中、この瀬戸の深川神社へとやってくるのです。

 藤四郎がお参りをすると、「南東の祖母懐の地に良土がある」という神のお告げが。実際に良質な粘土を発見し、「せとものの瀬戸」はその時から始まったといわれているのです。

 そんな「陶祖」である藤四郎を偲び、毎年4月の第3日曜日とその前日に開催されるのが「せと陶祖まつり」です。

「陶祖」に対して、陶磁器の祖である「磁祖」加藤民吉をたたえる「せともの祭」に比べますと、より地元の瀬戸っ子のための祭りという印象の強いもので、当日は尾張瀬戸駅前のパルティせとからこの陶彦社へと地元の陶磁器業界代表者が「陶物(すえもの)」を献上する「御物奉献行列」や「道泉みこし祭」などが開かれ、多くの人々で賑わいます。

※2011(H23)年は一部自粛された内容もあります。

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 秋のせともの祭と同じく、規模は少し小さめではありますが、せとものがお値打ちに販売され、こちらも例年人気を集め多くの人々が買い求めています。また、2006(H18)年3月に瀬戸市に開局した尾張東部放送「ラジオサンキュー」によるステージイベントや、こども獅子奉納、JIMO婚・ZO婚こまいぬ道中など、お祭りにあわせて多彩なイベントも開催されますので、瀬戸への観光を満喫したいということであれば、断然この「せと陶祖まつり」をオススメします。

 まあ、普段の瀬戸も味わいはありますので、全然観光客がいない平日なんてのも、それはそれでまた魅力的なんですけどね。

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狛犬が陶器で!さらにお願い!

 さて、その陶祖・藤四郎が祭られているのが陶彦社なのですが、なんと、その祭られている藤四郎本人が作ったという陶器製の狛犬が、深川神社の宝物殿に安置されています。作られたのは鎌倉時代。1913(T2)年には国宝となり、1950(S25)年には重要文化財に指定されています。

 拝観料が200円かかりますが、日中であれば社務所に申し出ることで見ることができます。その表情は迫力のなかに愛嬌があり、これが鎌倉時代にその藤四郎本人が作ったものかと思うと、その時の流れに思わず気が遠くなってしまうと同時に、反対に、その時の流れがぐっと自分に近づいたような、そんな感覚にもなることができます。

 さらに、陶彦社の現在の拝殿にも陶器製の狛犬がいまして、時代はかなり下りますが、こちらもまた、表情が魅力的です。ただひとつ気になったのは、両方とも口を開いているんですよね。「阿吽」じゃないんですねこのペアだけは…。

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 さて、この陶彦社でユニークと言いますか、興味深いのが「お願い狛犬」です。深川神社での神の言葉によって掘り当てた粘土で、陶器づくりを成功させた藤四郎のように、「自分も何か成功しなければならないことがある!」という際には、その「お願い狛犬」を2つ買い、成就したいことを書いた紙を狛犬に託して、ひとつは手元に、そしてもうひとつはこの陶彦社に奉納すると、ご利益があると伝えられています。

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 陶祖・藤四郎を祭る陶彦社のご利益は「創意工夫の力」。陶器を作られる方はもちろんですが、ものづくりでもサービス業でも商売にはやはり「創意工夫」はとても大切なことです。誰もやっていない、オリジナリティ。新しい手法、手段、アイデア。まさに、今の自分に一番必要な力です。

 実は今年、そんな創意工夫の力が最も必要である、新しいことにチャレンジしようと思っていますので、しっかりとお参りしました。そして、神様からの答えであるおみくじは「大吉」!こいつは春から縁起がいい。

 ところが…。大吉の割りに、おみくじに書いてある内容が厳しいんです。内容だけ読むと、とても大吉とは思えないんです。

 ですよね。そうも簡単に、創意工夫で大成功なんて、なるわけないですものね。頑張ってこその大吉、ということですよね。

 無病息災・子孫繁栄・商売繁盛・創意工夫。深川神社への初詣、夢に近づくために、今年も一生懸命頑張ろうという気持ちになることができた初詣でした。

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