「買物をしに、空港へと行ってきました。」
と言うと
「名古屋っ子は相変わらずセントレアが好きだなぁ。飛行機に乗るわけでもないのに、空港行くなって!」
と思われるかもしれませんが、今回は違うのです。
名古屋エリアの国際空港が常滑市の中部国際空港へと移り、県営の飛行場となった名古屋空港。名古屋空港は国内線の便が数本ある程度で、かつて国際線ターミナルビルとなっていた建物が不要となりました。
なんとその建物が、ショッピングモールとして生まれ変わったのです。空港のターミナルビルがショッピングモールに!それは日本初。しかも、面影を残してあるとのことで、楽しみにさっそく行ってきました。
もくじ
地元の雄・ユニーの意地
名古屋周辺には、ここ数年でたくさんの巨大ショッピングモールが誕生しました。それはどれもイオン本体やイオンモールが主導で、もうイオンのショッピングセンターだけでも飽和状態なのではないかと思わせるほどです。
イオンが次々と増殖していくなかで、地場のスーパーであるユニーも黙ってはいませんでした。かつてのユニー店舗の改装を含め、GMSのアピタを各地に展開していきました。確かにこの地方でのアピタの存在感は大きなものになってはいるのですが、巨大ショッピングモールのイオンに比べて、アピタはやはり小さいという印象を拭うことはできませんでした。
そこで、イオンに対抗すべくユニーが新たに手がけたショッピングモールが「○○ウォーク」です。群馬県に第1号「けやきウォーク前橋」をオープン、続いて第2号として大垣市に「アクアウォーク大垣」をこの地方で初めてオープン。
そして、それらに続く形で2008(H20)年10月25日にグランドオープンしたのが、「エアポートウォーク名古屋」なのです。
空港がお店?滑走路が駐車場?
かつての名古屋空港の一部をそのまま転用していますので、名古屋空港へと行くように車で向かいます。しかし、名古屋空港への入口とは別のところ、南側にエアポートウォークへの入口はあります。
オープンしたばかりで、週末になるとかなり渋滞しているとのこと。もし、名古屋空港の利用者がその渋滞に巻き込まれたら...それは大変なことです。ですので、しっかりと導線をわけているようです。
かつての国際線ターミナルビルが見えてきたら入口、交差点を曲がって、空港の立体駐車場...ではなく、看板に従って車を進めて行くと...。
なんと駐車場はかつての滑走路横の駐機場跡。
これは不思議な感覚です。しかも、その奥には現役の滑走路もあるわけで、みんなで滑走路に車を停めているような感じです。
さらには、ターミナルビルから滑走路へと突き出た、かつての搭乗口もそのまま残されており、空港の入っちゃいけないところに車で入っちゃってる、というイタズラ好きな子どもが喜びそうな感じに仕上がっています。
映画館へとフライト?
エアポートウォーク名古屋のなかには、深夜1時まで営業しているシネコン「ミッドランドシネマ」があります。規模は12スクリーン、1,835席。しかも、このシネマ棟とショッピングモールを結んでいる連絡通路も搭乗口です。買物の途中で映画を見に行く、それはまるで飛行機に乗るように搭乗口を歩くことになります。
そこまで感慨深く通路を歩く人もそういないでしょうけど。
面影しっかり残しました
ショッピングモール棟は5階構成になっています。1階はアピタの食品・日用品雑貨フロアと、テイクアウトのスイーツや惣菜、ファッション、美容院、カメラ店などなど。そして2階はアピタの衣料品・暮らしのフロアと、ファッション、無印良品など。かつてカウンターが広がっていた吹き抜け状態の3階にはファッションの店のほか、飲食スペースのターミナルコートやアミューズメントパークなど。その吹き抜けをエスカレーターで上がった4階には、レストラン街と紀伊国屋書店。最上階、5階はかつての状態に近いスカイラウンジとビューデッキという構成になっています。
アピタは近隣のアピタよりも規模は小さく、テナント構成に関しては、この地方初登場の一部のショップを除いては、近隣のイオンとあまり変わりはありませんが、注目したいのは飲食スペースのターミナルコート。
かつてのチェックインカウンターの雰囲気そのままに、フライトの予定を示す電光掲示板「フライトボード」までもがあります。もちろんこれは、空港のイメージを思い起こさせるために意図的に残されたもので、実際のフライト予定を表示しているわけではありません。
エスカレーターやテラスの位置はそのままなので、この案内板が、当時とは違う場所に設置してあることに気付くかどうかで、名古屋空港から出国したことがあるかどうか、判別することができます。
あれ?このゲームセンターって?
そして同じくかつてのチェックインカウンター跡にあるのが、アミューズメントパーク「NAMCOLAND HERO'S CAMP」です。
こちらは当時の面影はあまり残ってないかな...と思いきや、奥の壁面にあった広告スペースがそのままで、そこに「namco」といった看板が設置されています。当時と同じように吹き抜けで、4階側のテラスもあるので、同じように下を眺めることができます。
かつては、カウンターだったので広々していましたけど、所狭しとゲーム機が置いてあると、何だか狭く感じてしまいますね。
そしてここで驚くのが、すわ原寸大か?いや、そんなことはないですが、大きなウルトラマンと怪獣たち戦っている模型が、吹き抜けの天井すれすれまで展示されていることです。
ウルトラマンがテーマのゲームセンターって、はて...昔どこかで見かけたような...。そうだ、名鉄の日本ライン今渡駅に隣接してありましたよね?「SHOT M78・ウルトラマンアミューズランド」。
昔、相方と2人でよく行きましたよ。あそこはもう何もなくなっちゃいましたけど、まさかここで再び出会うとは、想定していなかった懐かしさがありました。
空港を一望
では、さらに空港を体感するために5階のスカイラウンジとビューデッキに上がってみます。横は金網がありますが、空港全体を見渡すことができます。
この日は名古屋空港で防災訓練をしていまして、その様子も見ることができました。名古屋空港のフライトスケジュールも書いてありますので、航空ファンも注目のスポットですね。この日も、大きなカメラを持った人たちがいました。
まあ、今はもうそんなには飛行機飛んでないんですけどね。
飲食店は激こみ
まだオープンして間もないということもあってか、飲食店はどこも行列。私たちは4階の「肉屋の正直な食堂」で昼食をいただくことに。ここは各席にIHのコンロが置いてあって、調理しながらアツアツの状態でいただけるというお店。ご飯と味噌汁のお代わりが自由です。
正直という店名のとおりメニューも明解で、牛肉を使ったメニューには「国産」と「そうでない肉」の両方があります。ここで、国産じゃない方を頼むのは...うーん、格差社会の下側にいることを宣言するようなものですよね。だからか、周囲を見ても牛肉メニューを注文している人は少なかったように感じました。
私は豚肉、相方は鶏肉。おいしかったですよ
食後、ちょっと喫茶店で休憩を...と思ったのですが、これが困ったことに1軒しかありません。1階のサンマルクカフェ。
これがイオンだったら、スタバとコメダがあったり、ドトールがあったりするのにねぇ。ふぅ...と言う感じ。
空港を改装したという面白味がある反面、当初からスペースの限界が決まってしまっているためか、店舗構成にちょっと偏りがある印象を受けました。
これだけ人出が多くて混雑している中で、喫茶店が1軒しかなくて、しかもフードコートにもスターバックスとかがいないなんて...ちょっとね。でもまあ、客足が落ち着けばそう感じることもないかもしれません。
ユニーにとっては、まだまだショッピングモール業態は始まったばかり。空港の面影を感じられる、エアポートウォーク名古屋。そういう点では面白いですよ。
あの女性像はどこへ旅立った?
そうそう、ドイツのミュンヘン空港から、この国際線旅客ターミナルビルが完成した際に寄贈されたライオン像を展示しているのはいいんだけど...。
かつてその場所にあった、旅立ちをテーマにした女性の像はどこへ?まさか、ライオンに...されて、どこかへ旅立ってしまったのですか?
今のところ、周囲に大きなショッピングセンターも無いために大勢の人でにぎわっていますが、ここから程近い、小田井に来年リニューアルオープン予定のイオンモール名古屋ワンダーシティとの戦いが目前に迫っていますね。
女性像は旅立ってしまいましたが、各テナント店舗が旅立たないように、頑張って欲しいですね、エアポートウォーク名古屋。