サン・セット・ヤン中国庭園(ブリティッシュコロンビア州)
ギャスタウンからギャッシー・ジャック像のあるキャラル通り(Carrall St.)を南に少し歩くとチャイナタウンです。バンクーバーのチャイナタウンは、サンフランシスコに続いて北米第2の規模を誇ります。店の看板は漢字だらけ、魚介類の香りや独特な香辛料の香りが漂い、さっきまでのカナダらしさは一気に無くなりすっかりアジアにいるような錯覚に陥ります。
チャイナタウン
チャイナタウンは住宅街、レストラン街、商店街に区切られていて、商店街には漢方薬局、乾物屋さん、魚屋さんなどがあり多くの中国人が住んでいます。ちなみにバンクーバー全体では30万人の中国人が暮らしています。中国人が最初にカナダにやってきたのは1858年、当時はゴールドラッシュを狙ってやってきました。
最近は逆で、お金持ちの投資移民が増え続けています。投資移民とは、お金をカナダ国内に持ってくることを条件に永住権を与えられるものです。他にも、カナダは香港と同じく旧イギリス領だったこともあって、返還直前の香港から多くの中国人が移住したという経緯もあります。
▲乾物屋さんからは横浜中華街と同じ独特な香り。
それでも最近はこのチャイナタウンが手狭になりつつあり、バンクーバーの南にあるリッチモンドに新しいチャイナタウンが作られ、そちらにも多く中国人が住んでいるとのことです。
商店街を歩いていますと、ビデオ・DVD屋さんを発見しました。中国や韓国の作品がたくさん売られています。日本でも人気となった「冬のソナタ」はこちらでも大人気で、目玉商品として置かれていました。日本の作品もありますがアニメが大半を占めています。DVDが多く、日本語音声に中国語字幕というものが多く売られていました。
▲服屋さんもビデオ屋さんも全て漢字表記。
値段は日本に比べると相当安いのですが、これって正規品…ですよね。どちらかと言うと日本の一般的なアニメよりも、マニア受けの良い作品が多かった気がします。この店の趣味かも知れませんが。
ところで、商店街を歩いていますと鉄柵を良く見かけました。ショーウィンドーには決まって鉄柵がしてあり、店の入口も夜は鉄柵が閉められるようになっています。チャイナタウンは、日中は全く問題無いのですが日が落ちると一気に治安が悪くなるのだそうです。確かに、先程もたくさんのホームレスの姿を見ましたからね。夏場の週末に限っては夜店が出ることもありそうでも無いのですが、夜この地を歩くことはお薦めできません。
▲こちらは果物屋さん。店員もお客も皆中国系。
サン・セット・ヤン中国庭園
このチャイナタウンにはシティTVというケーブルテレビ局が本社を構えていました(当時)。ここからバンクーバー全体にケーブルテレビが放送されています。時には本社前で公開料理番組をやっていたりするそうです。そのシティTVのすぐ近くにあるのがサン・セット・ヤン中国庭園です。
▲孫中山(サン・セット・ヤン)像。神戸にも記念館があります。
ここは明朝様式の古典的な中国庭園で、中国以外では初めて作られたものだそうです。庭園自体に入るには入場料が6.5$かかりますが、庭園を横の公園から見るのは無料です。昔からこの地に中国文化が根付いていることを実感しました。
▲見事な中国庭園。ここまでは無料ですが…。
▲「あっちで写真撮ろうかな」と思ったら、ここから先は有料。
世界一のサン・キー・ビルと信号機
先ほどのキャラル通りに戻ると、ペンダー通り(Pender St.)との交差点にギネスブック公認の世界一があります。この角にあるサン・キー・ビル(Sam Kee Building)がその世界一です。一見、何の変哲も無いビルなのですが、よく見るとこのビル自体が物凄く細い。横のビルとくっついているために見た目はそんなに感じないのですが、このビルの奥行きはなんと178cm。
私の身長と全く同じなのです。その細さが世界一なのだそうです。元々は大きなビルだったのですが、ペンダー通りの拡張でこうなってしまったとのことです。それでも立ち退かない中国人の根性に乾杯です。
▲世界一細いビル。見難いですが、そのビルはグレーの部分のみです。
ところで、このビルの前の交差点で一瞬錯覚かと思うような音を聞きました。カナダの歩行者用信号は、渡り始めても良い時間、つまり日本で言う青の時間が極端に短く、とてもその時間で渡りきることはできません。その代わり、その後の赤点滅、日本で言う青点滅の時間が長く取ってあります。
つまり、あらかじめ信号を待っていた人しか渡り始めることができないようになっているというわけです。そんな歩行者用信号なのですが、青になった時に音がするのです。そう、視覚障害者用の音です。しかもその音が、「カッコー」と「ピュウ」で日本と全く同じなのです。これには驚きました。
日本には様々な視覚障害者用信号があります。関西では「♪通りゃんせ」が有名ですね。視覚障害者用信号機自体は1964年に東京で設置されたのが初めてなのですが、「カッコー」と「ピュウ」と音を使い分け、世界で最初に信号機の音に方向性を付けたのが愛知県警と名古屋電機工業です。
それが後に警視庁でも採用され全国に広まりました。この「カッコー」と「ピュウ」を東西と南北で音分けをしています。ただし、どちらがどちらという統一はされていません。
▲カッコウ・ピュウの信号機。
名古屋が発祥の地である「カッコウ・ピュウ」の視覚障害者用の信号機。信号の形や表示は違うのに音は名古屋のそれと全く同じでした。こんなところで名古屋発祥のものと出会えるとは…。と感激したのですが、バンクーバーの人は誰もこれが名古屋発祥ものだということは知らないと思います。いや、名古屋という街自体も知らない可能性もあります。
そこから西へ歩くとミレニアム・ゲートがあります。ここをくぐるとチャイナタウンを出ます。では、スタジアムを通ってダウンタウンへと戻り夕食を食べましょう。
名古屋との遭遇。それはこの信号機だけではありませんでした。この後立ち寄ったスーパーで驚愕の商品を見つけるのです。そんなのここで売れるの?
▲ミレニアム・ゲート。奥の茶色の建物がシティTV。
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