トッピーの放送見聞録

キー局がキー局を買収の衝撃・InterFM897がTFMの傘下になりJFN加盟へ

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★InterFM897がJFN入りへ 事実上のTokyofm第2放送に
★InterFM897のこれまでの系列や提携関係は崩壊するのでは?
★県域放送だったTokyofmが広域放送を手に入れる

 これまで、木下工務店の傘下にあった外国語ラジオ放送局「株式会社InterFM897」が、Tokyofmが主要株主である番組制作会社「株式会社ジャパンエフエムネットワーク(JFNC)」に売却され、Tokyofmがキー局である「JFN」系列に入ることが明らかになりました。

 これまでもInterFM897は、ニフコから、テレビ東京、そして木下工務店へと何度か売却されており、親会社が変わること自体に驚きはないのですが、今回は事実上、Tokyofmによる買収であり、まったくの同業者の手に渡ることは衝撃的です。

キー局がキー局を買収

 Tokyofmは全国に38の系列局を持つ全国FM放送協議会(JFN)のキー局であり、一方のInterFM897は、3局体制ではありますが、外国語放送局の系列Mega-Net(メガロポリス・レディオ・ネットワーク)のキー局です。つまり、キー局によるキー局の買収。これはテレビに例えれば、TBSテレビがテレビ東京を買収するようなものであり、なおかつInterFM897がJFN系列に入るわけですから、これも例えれば、TBSテレビ系列にテレビ東京が加盟するというような、衝撃的な状況です。

県域局が広域放送を手に入れる

 県域のFM局による、広域の外国語放送局の買収。実は大阪で先行事例があります。大阪では、J-WAVEをキー局とするJFL(ジャパン・エフエム・リーグ)系列のFM802が、外国語放送でMega-Net系列のFMCOCOLOを買収し、合併。FMCOCOLOをFM802の第2放送と位置付けて運用することで、相乗効果を上げています

 基本的に日本の民間FM放送は、過疎地域の特例がある山陰(鳥取・島根)を除いて、県をまたいでの放送は認められていません。ですので、東・名・阪では広域となっているAMラジオ局と違って、TokyofmもJ-WAVEも東京都だけの放送局、FM大阪もFM802も大阪府だけの放送局、FM AICHIもZIP-FMも愛知県だけの放送局なのです。

 しかし、外国語放送局だけは特例で、事実上の広域免許が与えられており、InterFM897は東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の対象地域に、FMCOCOLOは大阪府・兵庫県・京都府・奈良県の対象地域に、そしてかつて存在したRADIO-iとRadioNEOは愛知県・静岡県の対象地域に、電波を飛ばすことができるのです。

 そのため、大阪府域のFM802は、FMCOCOLOを買収することで「第2放送」として2府2県のエリアを手に入れることができました。そして、今回の買収によって、東京都域のTokyofmは同じく「第2放送・InterFM897」として1都3県のエリアを手に入れることができるのです。

系列は崩壊へ

 これにより、ねじれ現象が起きてしまいます。前述のとおり、大阪ではJFL系列のFM802が、第2放送としてMega-Net系列のFMCOCOLOを運営しています。一方で、東京はJFN系列のキー局であるTokyofmがそのMega-Netのキー局であるInterFM897を買収します。

 キー局が他の系列のキー局に買収され、そのネットワークに加盟するという状況、これは前例のないことであり、さらにJFNとJFLは水と油。関係者によりますと「おそらく、Mega-Netは崩壊するのではないか。」と言われています。

 また、これまで首都圏の神奈川、千葉、埼玉にある独立系FM局にとって、InterFM897はキー局とはいえ同じ独立局のような存在で、競争相手とは認識しておらず関係は良好でした。しかし、Tokyofmの第2放送となれば話は別。ある首都圏の独立FM局関係者は「エリアも広く、JFNCは番組制作能力が非常に高く、地方局向けとは言えど、JFNCが制作している(いわゆるかつてのBラインの)人気番組をはじめ、多くの番組を首都圏で放送できる可能性があり、驚異的な存在となる。今までのような付き合いはできない。」とコメントしています。

JFN各局は「またか…」

 一方で、Tokyofmの系列であるJFNの系列局からは戸惑いの声も。Tokyofmは、2016年3月に放送を開始したデジタルラジオ「i-dio」が頓挫し、2018年度に67億円の特別損失を計上。さらに、i-dioの事業により生じた子会社の赤字を隠すために、子会社を連結決算から外す不適切な株取引を行ってきたと発表。Tokyofmはi-dioを今年(2020年)3月31日に終了させたばかりです。

 そこへきて、今度はInterFM897の買収。「またネットワーク費の無駄遣いになるのでは……。」と、系列局関係者は漏らします。

木下工務店はラジオ事業から撤退

 かつて木下工務店は、東京のInterFMを傘下に置き、RADIO-i閉局後の空白地帯だった名古屋に支局を開局し、大阪のFMCOCOLOを買収することで、東・名・阪の広域FMラジオ放送を手中に収める計画を立てていたと言われています。

 しかし、FMCOCOLOを買収することができず、大阪に手は届かず、東京と名古屋だけのエリア展開にとどまってしまい、事業は好転することなく、名古屋の「支局」からスタートした、RadioNEOが6月末に放送を終了したことは記憶に新しいところです。

 RadioNEOは、2019年3月期に経常利益・当期利益ともに黒字を計上していたものの、総務省の第1078回・電波監理審議会によりますと、売上高のかなりの部分を木下工務店に依存している状況であり、かつ、経営状況については債務超過状態であったことが明らかになっています。

 どこかの時点で、木下工務店はFMラジオ放送事業からの撤退を決めたのでしょう。そして、この「InterFM897のTokyofmへの売却」というゴールが決まり、それに向けて「名古屋を清算した」という流れで考えると、どう考えてもRadioNEOが残る道筋が無かったということがわかります。

 キー局によるキー局の買収。今後InterFM897は、外国語放送の免許はそのままに、「JFN系列のTokyofm第2放送」して運用されることになるのでしょうが、i-dioには外国語チャンネルもあったことから、i-dioもすべてが負の遺産というわけではなく、大阪のFM802とFMCOCOLOのように、相乗効果でInterFM897復活への道となる可能性もあるのではないでしょうか。

 一方で、名古屋のJFN系列局であるFM AICHIは、一度破綻したFM GIFUに経営参画しており、そちらを軌道に乗せることに躍起でしょうから、名古屋の外国語放送局をFM AICHI傘下で……という流れは、困難であったと思われます。

 RadioNEO廃局の裏には、この筋書きがあったのですね。

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