「愛知県内でテレビ愛知の地デジが映らない」
トッピーネットでは、一昨年の夏からこの問題を取り上げてきました。
きっかけは、小牧市の桃花台ニュータウンでテレビ東京の番組収録が行われた際に、ハイビジョン収録でなかったことを話題にしたとき、同席した桃花台在住の方から「ハイビジョン収録じゃなくても、どうせテレビ愛知は桃花台ではデジタルは映らないから私たちには関係ない。」という話を聞いたからでした。
それから調査をしてみたところ、尾張北部の広い地域や知多半島、西三河の一部での受信が困難であることがわかり、唯一の愛知県民向けテレビ局であるテレビ愛知が、デジタル化で愛知県内でも映らない場所があるとはどういうことだ!?と思っていたのですが、なんと急展開。2010年は、テレビ愛知地デジ10チャンネルのリベンジ元年となりそうです。
今回から3回にわたって、シリーズ「テレビ愛知2010年・地デジ10チャンネルのリベンジ!」としてお送りいたします。
・犬山南中継局2月開局-テレビ愛知にとっては超重要局
・常滑中継局新設-テレビ愛知の西三河難視聴も解消
・突如誕生・知多内海中継局-計画に無かったものがいきなり!
テレビ愛知の電波が飛ばない現状に社長も...
まずは現状についてです。名古屋にある民放テレビ局のうち、東海テレビ、CBCテレビ、メ~テレ、中京テレビの4社は愛知・三重・岐阜の3県をカバーする中京広域圏をエリアとしたテレビ局であるのに対し、テレビ愛知は愛知県のみをエリアとする放送局となっています。
そのため、電波の出力が他の局と比べて1/3に絞られている上に、アナログのUHF電波を発射している名古屋市東部に当初計画された「東山デジタルタワー」が計画中止に追い込まれ、岐阜県に程近い瀬戸市に「瀬戸デジタルタワー」が建てられたことで、岐阜県に電波を届かせてはいけないテレビ愛知は、過度に岐阜県側の電波発射が抑えられることとなり、他のテレビ局に比べてアンテナ位置も低く、電波の送信パターンも厳密に設定され、もともと電波が弱いことに輪をかけて、特に岐阜県方向への電波は弱められることになりました。
デジタル放送推進協会発表によると、テレビ愛知の名古屋本局(瀬戸デジタルタワー)デジタル放送エリアは以下のようになっています。
知多半島と犬山市は協会も認めるほどにエリア外ですが、一方この図ではエリア内となっていても、西三河の一部と、丹羽郡から江南にかけての瀬戸から見て岐阜市方向に当たる場所、そして小牧市の桃花台では映らない場所が多く、電気店に地デジ工事を依頼しても「ここはテレビ愛知が映らないので、ぎふチャンと三重テレビのどちらにしますか?」と平然と言われてしまうという状況が続いてきました。
すると昨年の7月23日、テレビ愛知の社長が記者会見を行ったという記事が新聞に出ており、そこに「他局との調整が必要だが、送信アンテナの変更についても、視野に入れなければならない。」とありました。このときは、スポンサー向けのリップサービスかと思っていたのですが...。
さらに2010年元日朝刊の新聞に掲載された、テレビ愛知社長の年頭のあいさつでも「愛知県内のどこでも地上デジタル10チャンネルを見られるように全力を挙げます」と発言が。その真意は果たして...。
犬山から愛北エリアをカバー
協会のエリア図でもカバーされていない犬山市。瀬戸デジタルタワーからの電波が届かないこの地域に向けて電波を発射する中継局が設置されることとなりました。
犬山南中継局です。
犬山南中継局はこれまでにも存在していたのですが、アナログ放送はNHKだけが電波を発射していただけで、いわゆるほぼ受信料徴収対策のためだけの存在で、特にどうしても必要な中継局というわけではありませんでした。そんな犬山南中継局に設置された、テレビ愛知とNHK名古屋のデジタル中継局が、昨年12月22日より試験放送を開始、そしてこの2月1日から本放送を開始するとのことで、さっそく見に行ってきました。
概要は以下の通りです。尊敬の念をこめてあのサイト風にお届けします。
犬山南デジタルテレビ中継放送所 愛知県犬山市字高根洞 標高約260m(尾張本宮山)
アナログの設備についてはこちらをご覧ください。 |
アンテナも出力もパワーアップ
これまでのNHKアナログは4L双ループ1段1面で、さらに出力も1w(デジタル相当0.1w)だったのに比べ、アンテナは4倍、出力も事実上3倍となり、一気にその存在価値を高めました。
送信アンテナが向いているのは、南西の犬山市南部の楽田駅方向と、北西の犬山市中心部方向。アンテナ位置から景色を眺めますと、犬山市を一望どころか、アンテナが向いている方向は、岐阜市内や大垣市内も一望。関ヶ原まで望めます。
これなら、犬山市はもちろんのこと、丹羽郡や江南市の一部、さらには各務原でも南側では広く受信可能になり、根本的な解決になりそうです。
なぜ桃花台に向けない...そりゃ無理だ
デジタル送信塔は、アナログ時代よりもアンテナ構成と出力がグレードアップしただけではなく、高さも稼がれています。さらに、この位置から現在はアンテナの向いていない南東方向を見ると、まさにそこは桃花台。南東方向にアンテナをつけさえすれば、桃花台も完全にカバーできることでしょう。
しかし、現在桃花台方向には電波が送信されていません。でもこれは、仕方が無いことのようです。なぜなら、なんと、この犬山南のNHK教育デジタル(49ch)と、桃花台のNHK教育アナログ(49ch)が同じチャンネルだからです。隣接チャンネルであれば、アナログとデジタルの共存は可能でしょうけど、さすがに同じチャンネルでは無理でしょう。
でもこれ、ひょっとすると、アナログ放送さえ終了すれば、桃花台向けにアンテナが設置される可能性が高い気がしてなりません。さらには、周波数さえ空けば、テレビ愛知だけでなく他の民放の電波も発射されるようになるのではないでしょうか。そう思わせるほどに、タワーが立派に高いのです。
一気に岐阜県境のテレビ愛知問題解消か
まだ仮定ではありますが、ここに桃花台向けのアンテナさえ乗れば、尾張北部での地デジ・テレビ愛知受信不能問題は一気に解消することになりそうです。
協会発表のエリア図では、犬山市しかカバーしていませんが、実際のところ、私のブログにも、この中継局の電波が岐阜県の鵜沼でも良好に受信できているという報告が既に寄せられています。ということは、県境の中継局によくある、岐阜県側への過度な電波抑制もそこまで行われていないように感じました。実際、アンテナのチルト(角度)もそこまで酷くないように見えました。
なるほど。テレビ愛知社長の自信はこの犬山南中継局が鍵となっていそうですね。既存局に比べて出力3倍、アンテナ4倍がその成果と言えそうです。
ところが、これでまだ驚いてはいけませんでした。
取材協力
・なにかな