尾張(西愛知) 東海あまのじゃくツアー

プールはあるけど...入らない-岩屋堂に紅葉を見に行く

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 少し前のお話になりますが、先月の20日、今年も紅葉の季節がやってきたということで、近場に見に行ってきました。

私の住む瀬戸市内で紅葉の名所といいますと、この時期はバスツアーにも組み込まれる「定光寺」を真っ先に思い浮かべますが、その定光寺と双璧をなすと言っても過言ではない存在で、同じようにお寺周辺にある紅葉にもかかわらず、定光寺とは全く性格の違う名所である「岩屋堂公園」へと向かいました。

 岩屋堂公園は以前から紅葉の名所なのですが、今年は特に話題となっていて、NHK名古屋のニュースでも取り上げられました。そして、幼少期を瀬戸市で過ごした瀬戸っ子にとって、岩屋堂と言ったらアレですよね。

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知っている人は知っている

 岩屋堂公園は、瀬戸市の北東部にある岩の祠とその近くを流れる鳥原川からなる公園で、自動車ですと国道248号「品野町6」交差点を東に曲がり、看板の指示に従って鳥原川沿いをさらに東へ進むとあります。

 普段はどこの駐車場も無料なのですが、この時期は「有料駐車場1回500円」という看板が立てられていて、多くの車が停まっています。気分的に、ここで車を停めたくなってしまいますが、あえて無視して無視して、有料駐車場をいくつか無視して進みますと...。

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 道路が車両進入禁止となる直前のところで、鳥原川に橋が架かっていて、その対岸には100台の無料駐車場が完備されているという、まさにこれはトラップ。

 瀬戸市観光協会の案内にはこの無料駐車場が記されているのですが、多くのガイドブックやガイドサイトには有料駐車場しか案内されていません。つまり、知っている人だけ無料なのです。

 でもね。有料駐車場に車を停めて歩いていくと、無料駐車場が目に入るわけで...。逆にこの時期は、無料駐車場を管理する市も民間に委託して有料にするとかした方がいいんじゃないですかね。

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瀬戸の奥座敷

 岩屋堂には「権兵衛」「角甚」「深川」といった料理旅館があり、川のせせらぎを聞きながらゆったりとした時間を過ごすことのできる、まさに瀬戸の奥座敷といった風情があります。しかも、道路はこの先で行き止まりとなっており、通り抜ける人や車の姿も無く人里離れた感があります。

 かつては、「岩屋堂温泉」という表記があちこちに見受けられたのですが、今は...どういうことかは想像におまかせします。

 紅葉の季節は露店も多く出ており、定光寺とはまた違って、ひなびた観光地感もあり、ちょっと遠くまで小旅行に来たような錯覚に陥ります。まあ、実際にもちょっと遠いですけど。

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今、注目されている岩屋堂の紅葉

 岩屋堂の紅葉がここ最近特に注目されたのは、昨年試験的にライトアップが行われたからです。

 でも、「紅葉のライトアップなんてどこでもやってるでしょ?」と思われるかもしれません。岩屋堂のライトアップで特筆すべき点は、行政主導でも観光団体主導でもなく、地域住民「品野つくし会」によるボランティアで行われているという点です。

 昨年の試験点灯が好評だったため、今年「第1回ライトアップ岩屋堂」として正式に開かれることとなりました。

 さらには、どうしてもこういった紅葉スポットというのは段差があったり、通路が狭かったりして、お年寄りや車椅子の方々は敬遠しがちということで、バリアフリー化にも取り組んでいて、スロープや手すりが設置されるようになったのです。もちろんそれも全て住民の手によるボランティア。これこそまさに、名古屋の多くの観光地に欠けている、もてなしの心ですね。

 ライトアップ期間は11月15日から24日の午後6時から9時ということで、既に終了していますが、もみじまつりは12月14日まで開かれています。

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岩屋堂って何?

 紅葉を見るのが目的でやってきましたが、せっかくなので岩屋堂を見て回ります。岩屋堂というからにはお堂があるはず...と思いきや、それはとてもワイルド。

 岩屋堂はその名のとおり、岩窟なのです。

 この岩窟、正式には「岩屋山薬師堂」といいます。今から1300年ほど前の725(神亀2)年に僧・行基が ここで草庵を結び、この岩窟のなかで聖武天皇の病気平穏を願って3体の仏像を彫刻し、1体の薬師瑠璃光如来を本尊として建立されたのが岩屋山薬師堂なのです。目や耳の病気平癒に霊験があると伝えられています。

 現在この岩屋堂は、ここから西へ500メートルほど行ったところにある、浄源寺の奥の院となっていて、11月最後の日曜には大祭が行われているとのことです。

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 さらに、その岩窟の奥には毘沙門天を祀るお堂があります。毘沙門天といえば七福神の一人で、財宝の神様ですよね。ここはしっかりお参りしておかないと。

 そういえば、毘沙門天の使いってムカデでしたよね。そう、ここはそんな使いがたくさん出てきてもおかしくないような山奥。天の岩戸で蛇に出会ったように、ムカデにも遭遇できるかな?と思いましたが、さすがにこの季節には見かけませんでした。見かけなくて良かったような、ご利益が欲しかったような...。

 ちなみに、毘沙門天の使いがムカデなのは、ムカデは鉱脈を想起させるからなのだそうです。昔、お金のことを「お足」と呼び、足がたくさんあるムカデからお金がたくさん...ということなんですね。

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そう、瀬戸にとってお金といえば

 岩屋堂近くには暁明ヶ滝という、少々上品な滝が流れています。滝と紅葉というのもなかなか風情が...と思ったのですが、残念ながらここでは滝と紅葉という風景にはなりません。

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 そして気になるのが、そこにポツンとある銅像です。見ると「加藤新右エ門」と名があります。瀬戸で育った私にもピンと来ない名前です。

 ちょっと調べてみましたところ、どうも江戸時代に下品野で有力な竈屋さんだった方みたいですね。

 今では信じられませんが、当時、瀬戸の陶器といったら今の自動車産業みたいなものでした。尾張藩にとって陶器は重要な産業で、たとえ失業しても瀬戸に行けば仕事がある、まさについ数ヶ月前までのトヨタ状態だったのです。尾張藩は瀬戸の陶器産業を手厚く保護し、発展させたのです。

 まさに、ムカデが見つけた金鉱ならぬ、ムカデが見つけた粘土がお金に変わったというわけです。

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プールがある意味がわからない?

 岩屋堂は地元民にとって紅葉の名所というわけではなく、6月にはホタル、そして夏には避暑地として親しまれています。その岩屋堂公園の玄関口にはプールがあり、7月中旬にはプール開きが行われます。

 私は幼い頃からこの岩屋堂で何度も泳いだ経験がありますが、プールに入った経験はありません。

 このプールがなぜ存在しているのか、疑問なほどでした。

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 それはなぜかといいますと、岩屋堂公園を流れる鳥原川は途中でせき止められている部分がありまして、適度な深さの自然のプール状態となっています。子どもたちはみんなそこで泳ぐんですよ。

 幼少期を瀬戸で過ごした方なら、誰もがそんな経験をしているのではないでしょうか。

 透き通る冷たい水が流れる無料のプールのような川がある横で、人工的に消毒された水がたまったプールに入る意味なんて無い気がしますよね...。

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 この鳥原川、ちょっと変わった名前ですがそれには由来があります。さきほど、岩屋堂の説明のところで、行基が聖武天皇の病気平癒を祈願したとありましたが、その際、小鳥たちも木の実を供えたという言い伝えがあり、鳥原という地名がつけられたそうなんです。

 そんな伝説が地名に残され、清らかな水が流れるところに鳥たちや子どもたちが集まり、ボランティアの手によって誰もが安心して紅葉を鑑賞できる環境が形成されつつある岩屋堂。いろんな意味で癒されますね。

 無料駐車場の手前に設置された有料駐車場、というトラップさえなければ。

岩屋堂公園(愛知・瀬戸市)


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