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第13回
こだわりの生茹で味噌煮込みうどん
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2004.02.21 |

揺るぐことの無い名古屋の赤味噌文化 |
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名古屋名物の食べ物はたくさんあります。他の地方出身者に印象を聞くと、「名古屋は
なぜこんなにも味が濃いのか。」と言います。現在では、大手ファミリーレストランによ
るチェーン展開やインスタント食品の登場などにより、全国的に味覚の平準化が進んでい
ます。ところが名古屋はそれを受け入れはするものの、地場の味に対するこだわりを絶
対に放棄しません。逆に大手チェーンが名古屋だけはメニューを変えて迎合しようとする
ことも多いのです。何が一体「濃い」のでしょうか。

全ての原因は「赤味噌(豆味噌)」にあります。名古屋で「味噌」と言えば無条件に赤
味噌を指します。全国的には、北海道から関西にかけては「米味噌」、関西以西では「麦
味噌」が主に食べられています。そして愛知県だけが「豆味噌」なのです。もちろん、米
味噌・麦味噌と言っても一括りにできるものではなく各地で味は異なります。しかし愛
知県の赤味噌だけ、明らかに違うのがビジュアルです。

味はともかく、まず味噌の色自体が他の地方の人には受け入れ難いのです。最近は名古
屋以外でも売られるようになったのでご存知の方も多いと思いますが、それは濃いコゲ茶
色の塊で何か別のものを連想してしまいそうです。特にインスタント味噌汁の味噌を絞
り出す時の感覚には、名古屋っ子の私でも嫌なものを感じます。そして赤味噌はどんな
料理に入れても色を変えることなく、赤味噌自身の主張が前面に出ることになります。他
の地方ではどんな種類の味噌でもこういった色のものは無く、どうしても「名古屋の料
理は見た目が汚い」と抵抗を持つ人が多いのです。

対して名古屋っ子は、それが幼い頃から当たり前で何も抵抗を感じません。私の家では
母は名古屋市生まれ、父も赤味噌の故郷岡崎出身ということで、味噌汁と言えば赤味噌と
いうのが当たり前でした。学校給食も当然そうでしたので、小学生の時の修学旅行で
行った滋賀県で初めて出会った「白味噌の味噌汁」を見て、逆に「なんだこれは。」と思い
ました。生まれて初めての白味噌の味噌汁は、味は薄いし、変な甘味はあるし、それでい
て塩辛いという印象でした。「何この味噌汁、しゃびしゃびじゃん。」と言ったものです。

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| ▲山本屋総本家の味噌煮込みうどん。まず色が独特。 |
味噌煮込みうどんは味噌汁にうどんが入っているわけではない |
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名古屋名物は、この赤味噌をベースにしたものがたくさんあります。私がその中でも最
も大好きな食べ物が「味噌煮込みうどん」です。簡単に説明すると、鍋焼きうどんのスー
プが味噌汁のようになっているものなのですが、そう思って食べると全然違う食べ物です。

私は学生時代、数年間味噌煮込みうどん専門店にてアルバイトをしていました。まかな
いは味噌煮込みうどんでしたから、食べた回数は数え切れないほどです。そのため、味噌
煮込みうどんにはかなりのこだわりがあります。それは味だけではありません。麺の茹で
具合、具材についても中途半端は嫌なのです。

では、簡単に味噌煮込みうどんの作り方を紹介します。と言っても相当こだわっていま
すので、このまま作ると名古屋以外の方はちょっと食べにくいかもしれません。

まず、準備です。干ししいたけ1枚を水で戻します。そしてこの戻し汁を使って昆布と鰹の合わせダシを
とります。この時かなり濃くなるようにします。日高昆布がオススメです。

調理開始です。コンロに土鍋をかけますが、まだ火はつけてはいけません。土鍋に
赤味噌を入れます。私の場合はカクキューの八丁味噌に限ります。どうしても無い時はス
ーパーで売られている普通の赤味噌でも良いですが、味は大幅に変わってしまいます。量
は大さじ3〜4杯です。そして鰹節で濃くとったダシ汁と、昆布でとったダシ汁の両方を、
鰹ダシ7に対し昆布ダシ3の割合で土鍋に注ぎます。この時、土鍋の7分目の量になるように
します。そして箸でしっかりと混ぜてください。味噌の塊が無くなるように根気良くです。
ここで、他に酒やみりん、鶏ガラスープの元を好みで入れる人もいます。

そうしたら、斜めに幅1センチくらいに切ったネギを1/2本分と、幅1センチに切った油
揚げ1/2枚を入れます。この時ネギは白い部分と緑の部分をバランスよく入れましょう。
両方の味を楽しみたいですからね。そして一気に強火で熱します。ここで戻した椎茸を入
れる人もいますが私は入れません。そうして人肌くらいに暖かくなったかな、というと
ころで鶏肉を入れます。鶏肉は2〜3センチに切っておきます。名古屋コーチンでなければ
ならない、ということはありません。味噌と違い大勢に影響はありませんから。

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| ▲スーパー「バロー」で購入してきた材料たち。全部で○千円…。 |
▲材料を必要分出しました。中央左がカクキュー八丁みそ。 |
▲椎茸の戻し汁で昆布ダシをとります。 |
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| ▲沸騰する前に昆布を出し、鰹を入れて煮沸させます。 |
▲土鍋に味噌を入れ、そこにだし汁を注ぎます。 |
▲しっかりと混ぜます。みそが完全に溶けるように…。 |
麺は味噌煮込み専用のものを |
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そうして、プツ、プツ、ともうすぐ沸騰しそうかな?という雰囲気になったところで麺
を入れます。うどんは生麺で少し小麦粉がついたような状態で構いません。間違っても白
玉うどんや下茹でをしたうどんを入れてはいけません。打ったままの生麺で、しかも塩分の少ない味噌煮込み用のものでなければなり
ません。決して麺を切らないように何度かほぐすようにかき混ぜます。

沸騰したら、蒲鉾を入れ中火で約1分半煮ます。ここまではかき混ぜることが適度に必
要ですが、ここからは食べるまで鍋に箸を入れては絶対にいけません。そうしたら今度
は生卵を割り入れ、弱火にし、蓋をして30秒煮ます。そして火から下ろしテーブルに置き
ましょう。この時間が余熱で30秒と計算します。さぁ、これで完成ちょうど食べ頃です。

お好みで七味唐辛子をかけます。この作り方ですと沸騰してから余熱を含め、生麺をた
った2分しか煮ていないことになりますが、これ以上煮ると味噌煮込みの醍醐味である
「麺の固さ」が失われてしまいます。アルバイトをしていた当時、他の地方の方が味噌煮
込みうどんを食べにくると、「生茹でだよ、コレ。お昼時で忙しいから?」と文句を言わ
れることがありましたが、それが味噌煮込みうどんなのです。スパゲティで言えばアルデ
ンテ直前という感じです。うどんに芯がはっきりと残っている状態がベストなのです。

それでも好みがありますので、名古屋っ子でもしっかりと茹でたものが好きな人や、な
かには「白玉でお願い」と注文される方もいましたがそれはもう別の食べ物です。赤味
噌味の鍋焼きうどんになってしまいます。そういう方には「みそきし」をお薦めします。
名古屋の味噌煮込みうどん専門店に行きますと、こういった硬い麺ものが出てきます。

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| ▲土鍋を火にかけてすぐ、油揚げとネギを入れます。 |
▲人肌くらいの温かさになったら、鶏肉を入れます。 |
▲もうすぐ沸騰しそうかな?という雰囲気になったら麺を入れます。 |
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| ▲沸騰するとこんな感じ、何も見えません。お店でもこの状態で目の前に運ばれます。 |
▲1分半ほど沸騰させたら、卵を割り入れます。生でも食べられるくらいの新鮮なものを…。 |
▲さぁ。いただきます。我が家には穴の開いていない蓋が無いので、邪道ですが取皿です。 |
味噌煮込みを食す作法 |
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食べ方にも流儀があります。家で食べる場合は気にしなくても構いませんが、お店では
取り皿がついてきません。味噌煮込みうどんは蓋に取って食べるものなのです。そのため
普通の土鍋と違い、味噌煮込み用の土鍋の蓋には空気穴が開いていません。

ここからは完全に好みですが、私の場合、1杯目は普通にうどんとスープを取って食べ
ます。この時ネギをほとんど食べてしまい、ネギと味噌の味を楽しみます。そして2杯
目がメインイベントです。半熟状態の玉子を鍋から取り出し、味噌のスープと絡めます。
そこにうどんとご飯を入れかき混ぜます。これがもう至福のひととき。半熟の黄身と味噌と
ダシとうどんとご飯が絶妙な味を生み出します。私はこの味を続けて楽しみたいので、2杯
目のスープは飲まずに、うどんとご飯を食べたところでもう一度同じことをします。そう
して、4杯目、5杯目とうどんとご飯を混ぜて食べていきます。

でもこの食べ方、お店でやるのは名古屋っ子の私でも少し抵抗があります。お店ではご
飯の方に味噌のスープをかける程度に留めています。それは他のお客さんもやっています。
しかし、絶対混ぜた方がおいしいのです。

はっきり言って味噌煮込みは、見た目に綺麗な料理ではありません。濃い茶色の汁の中
に煮えたかどうかわからないうどんが入っているわけですからね。

簡単にご紹介と言った割にはなんか今回、レシピ紹介のようになってしまいましたね。
ぜひともお試しください。次回は、外食産業における赤味噌料理についてお話したいと思
います。

「♪ク〜ッキング、ク〜ッキング、シュッシュシュッシュ…。」

〜では今日の材料のおさらい・味噌煮込みうどん〜

うどん(生麺):1人分 干し椎茸:1枚 カクキュー八丁味噌:大さじ3〜4杯 ダシ鰹:少々
日高昆布:少々 ネギ:1/2本 油揚げ:1/2枚 鶏肉:40g 蒲鉾:4切れ 玉子:1個

「♪あなたに届け〜恋の味〜。できた〜。」(古いネタですみません)

以上、トッピーの楽しい夕食でした。

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| ▲半熟卵と赤味噌と麺のハーモニー。もうたまらん。 |
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| ▲「バロー」には398円で山本屋総本家の冷凍味噌煮込みが売られていました。こっちのほうが安いし確実…。 |
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