トッピーの放送見聞録

これまでに無いタイプのラジオ局を目指す-犬山に開局予定の地域ラジオ局

記事公開日:2006年6月13日

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 犬山市にコミュニティFM放送局が開局するという話を聞き、しかもそれが、どうもこれまでのラジオの概念とは違うコンセプトのようだということで、ラジオに詳しい「KAZ Communications」のA氏と二人で早速取材に行ってきました。

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生まれ変わった城下町に…

 犬山市は、名古屋の北にある愛知県最北端の都市です。北側には日本ラインと呼ばれる木曽川が流れます。河畔には白帝城という別名を持つ国宝の犬山城があり、お城から南側へは城下町が形成されています。年に1度行われ、国指定無形重要民俗文化財ともなっている「犬山祭」では、県の有形民俗文化財に指定されている13台の車山が街を練り歩き、からくり人形が舞い踊ります。

 その他、明治村、リトルワールド、モンキーパーク、お菓子の城といったテーマパークや、日本ライン下り、木曽川うかいといった体験型観光プランと、犬山は多彩な顔を持つ観光都市なのですが、そのなかで今、この犬山城の城下町が大きく生まれ変わりつつあります。古くからの城下町なのに「生まれ変わる」とはどういうことなのでしょうか。

 犬山城から南へ、一方通行の細い一本の道路があります。道の両側には昔ながらの建物がずらりと並び、道路は拡幅されることなく昔ながらの風景が広がります。福祉会館から本町交差点までの間には、国の登録有形文化財となっている町家の旧磯部邸や、祭りの車山を保管しておくための本町車山蔵などがあります。でもそれだけではないのです。

 この城下町では、空き家になってしまった古い建物を改修して店舗にする活動を行っているのです。空き店舗や空き家をデータベース化し、まちづくり会社が仲介となり、古い建物を生かしながら、そこに新しいものを受け入れることで、活性化しようという試みがなされているのです。

 中心市街地を活性化することは、犬山市にとって大きな課題です。

犬山まちづくりの活性化

 犬山市で中心市街地の活性化に取り組む「犬山まちづくり株式会社」の事務局長、森本さんにお話を伺いました。城下町の活性化という話になった際、城下町通りの利便性、安全性を高めるために、道路を拡幅するという話が上がったことがあるそうです。しかし、わざと拡幅せず昔ながらの細さを残すことを決断したというのです。

 城下町の細い通りの両側は、互いに声をかけられる距離感となっています。それを大切にしたいというのです。上からの押し付けではなく、自分達で街を活性化させたいというのが、犬山の特徴なのだそうです。これはかつて、犬山城の城下では武家よりも町家が多かった名残だと森本さんは言います。祭の男衆の心意気で街を活性化してしまおうということなのです。

城下町の目玉としてラジオ局

 この城下町では、電気屋さんもお団子やさんも、まるで江戸時代のままなのではないかという町家風情を残しています。しかし、それらの建物は江戸時代のままのようで、ままではないのです。ちゃんと改修工事をして、格子なども綺麗になっているのです。なので、見た目がとても美しいのです。

 その城下町に今、活性化の目玉としてラジオ局が作られようとしています。7月7日に開局を目指している「愛知北エフエム放送」です。この愛知北エフエム放送ですが、これまでのラジオ局の概念からは全く想像もできなかったアイデアで、本当の意味での地域ラジオ局を目指しているのです。

 このラジオ局についても森本さんにお話を伺いました。面白いのは、このラジオ局自体も昔ながらの町家の建物を改修してスタジオを建設している点です。現在は建物の改修工事が行われており、1階には格子戸付きのガラス張りのスタジオが作られ、2階に放送局の事務所が作られることになっています。古くからの建物を改修してラジオ局として使えるようにするためには、新たに建物を建設するのに比べ、コストは1.5倍かかっているのだそうです。

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誰でも出られるラジオ局

 そんな愛知北エフエム放送の計画の中で、最も面白いと思う試みが、誰でも1,900円払うと1分出演できてしまう「しゃべり砲台(放題)!!」という企画です。1,900円(※1,500円になったそうです)で1分間、何を喋っても良いのだそうです。しかも広告宣伝に使っても良いとのこと。

森本さんのお話では、例えば夕方、その日売れ残りそうな生ものが出てしまったスーパーの担当者がラジオ局にやってきて、1分間売り込みをしてもらっても良いそうなのです。広告宣伝費として見て格安です。そしてその1分間出演する人が、出演することを広めてくれることで、ラジオ局の存在を広めてもらえればということのようです。番組を担当するパーソナリティについては、開局に向けて現在勉強会を行っているそうなのですが、こちらも来るものは拒まずといった体制とのことです。

 昨今、各地で地域ラジオ局が誕生していますが、大手ラジオ局のただのミニチュア版という印象を受ける局が少なくありません。それらは、極端な言い方をすればただの「ラジオごっこ」です。しかしこの愛知北エフエム放送の取り組みは、住民に広く門戸を開き、地域ラジオ局のあるべき姿といえるのではないでしょうか。しかし今はまだ開局前ですから、実際に放送が始まった時、真価が問われることになります。

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存在の認知をどう高めていくか

 ただ、このラジオ局の存在をいかにして広めるかという点が大きな課題であると森本さんは言います。確かに、大胆で面白い試みをやっていても、それを聞く人がいなければメディアとして生き残ることができません。全国各地には、ただ東京からの番組を流すだけの地域ラジオ局や、残念ながら電波を止めてしまったラジオ局もあります。でも、この愛知北エフエム放送は、これまでの地域ラジオ局とは全く異なる方向性で、地域活性に役立つ存在となり得ると私は思います。

 ラジオを放送することが目的なのではなく、地域を元気にするためにラジオを放送する。

 これが愛知北エフエム放送がこれまでの地域ラジオ局とは大きく異なる点であり、だからこそこれまでのラジオ局に無い発想が生まれてくるのでしょう。犬山の城下町のこれからとラジオ局のこれからに注目です。愛知北エフエム放送の開局は7月7日午前7時7分7秒の予定です。

関連情報

愛知北エフエム放送 まちの放送室

愛知北エフエム放送 まちの放送室(愛知・犬山市)MAP

愛知県犬山市 犬山西古券5

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