多度大社(三重・桑名市)
今年はどこに初詣に行こうか。これを私たちは結構悩みます。元旦に三重テレビで放送された伊勢神宮の特番を見たことですし、伊勢神宮へと行こうかとも思ったのですが、相方が多度大社に行ってみたいと言うので、伊勢はまた別の機会に行くことにしまして、桑名市多度町の多度大社へと行ってきました。
多度大社といえば白馬伝説。大型連休に行われる上げ馬神事はこの地方の風物詩となっています。そんな多度大社には、馬にちなんだ面白い絵馬やお守りがあるのです。これなら願い事がたくさんあっても大丈夫!というもの。願い事をどうしてもひとつに絞れないときは、多度の神様にお願いしてみましょう。というわけで名古屋からも程近い多度へと行ってきました。
3県が入り組む場所に
現在は桑名市となっていますが、旧多度町は三重、愛知、岐阜の3県が入り組んだところにありまして、愛西市(旧立田村)や岐阜県海津市の人にとっても多度大社は親しみのあるところです。私のいとこが立田村の人と結婚した際に、多度大社で結婚式を挙げまして、その際に私はここへやってきたことがあります。
相方は今回が初めての参拝なのですが、多度大社というと、大垣から桑名へと繋がる国道258号線から見える大きな鳥居の印象があると言います。
国道258号から多度大社へ行くには西へ曲がらなければならないのですが、その場所を間違える心配はありません。なぜなら道路に巨大な鳥居があるからです。しかし多度大社はその鳥居からまだまだ先。多度町総合支所を越え、次の鳥居が右手に見える多度大社前交差点を右折して到着です。するとその先が多度大社です。
入口には駐車場があり、休日や繁忙期だけは1回200円徴収されます。暇な日は無料です。人件費と駐車台数のバランスで決めているのでしょうね。係員さんがいたら「ああ、今日は取られる」と思って諦めてください。
この急坂は…上げ馬神事ね
駐車場で車を降りて歩いていきますと、急な階段があります。そしてその左手には見覚えのある土手のようなところが。こここそが、あの有名な「上げ馬神事」を行う場所です。毎年5月4日と5日に行われる多度大社の例祭「多度祭」で、上げ馬神事と流鏑馬神事が執り行われます。
氏子のなかからおみくじによって選ばれた少年6人が騎手となり、この坂を駆け上がります。坂を越えることができた馬の数によって、その年の米作りの吉凶を占うというものです。テレビで見てもかなり急なのですが、実際に見るとすごい。これは坂というよりも壁です。人を乗せた馬が本当にここを駆け上がることができるのだろうか…と思えるほどです。
でも実際に駆け上がるわけでして、そんな馬の勢いにあやかって人生も上に昇って行きたいと思っていると…。
鳥居をくぐると神馬の姿が
階段の上にある鳥居をくぐると、左手にいました!神馬です。神馬舎(じんめしゃ)のなかで神さまにお仕えしている白い神馬「錦山(きんざん)」です。サラブレッドの葦毛でもうすぐ12歳を迎えます。神馬の前には人参がのった小皿がいくつも置かれています。一皿100円で錦山にあげることができます。
100円を入れて人参を錦山にあげようとすると、近くにいたおじさんが、「指で『まわれ』っってやってごらん。」と言うのでやってみると、錦山はくるっと神馬舎のなかを一回転して戻ってきます。そして人参をあげると、それを食べた錦山は「ありがと、ありがと、ありがと」という感じで何度もお辞儀をするのです。愛らしい…。
松尾芭蕉と歯ぎしり除け
手水舎で手を洗って進みます。すると右手に松尾芭蕉の句碑と、左手に筆塚があります。筆塚には使い終わった筆がたくさん納められています。書道の上達の願いも聞いてくれるとのことです。反対側には芭蕉の句碑。
芭蕉が多度大社を参拝した際に詠んだ「宮人よ我名を散らせ落葉川」という句が彫られており、没後75年の際に、地元の俳人たちによって建立されたものだそうです。そしてその先にあるのが白馬舎。こちらは本物の馬ではありませんが、白馬がいます。そこに置かれているのが「歯ぎしり除け豆」。馬は歯が丈夫であることにちなみ、この豆を食べると歯ぎしりが治るといわれています。
白馬伝説
さて、多度大社の白馬伝説とはどういうものなのでしょうか。多度大社には、1,500年前から白馬が棲んでいると伝えられています。その馬には、多度山にいる神さまが降臨する際に乗ると伝えられていて、多度山から遠く濃尾平野までの人々の喜怒哀楽を見渡す白馬の姿を見た、という伝説が残されています。白馬は神の懐から、人々に幸せや喜び、出会いという縁を乗せて、多度の地へと舞い降りてくると語りつがれているのだそうです。
確かに、多度山からは遠く名古屋の街並みを見渡すことができます。名古屋駅のセントラルタワーズやミッドランドスクエアも簡単に目視できます。私は名古屋で生活しています。名古屋での人との縁こそが宝です。今年もたくさんの人と縁があって出会えますようにと、お願いすることにします。
参道を登っていきますと、いよいよ本宮と別宮があります。向かって左手の本宮「多度神社」には天津彦根命(あまつひこねのみこと)が祀られています。この神さまは天照大神の第3皇子であるため多度神社は「北伊勢大神宮」とも呼ばれ、北伊勢地方の産業開発、商工業繁栄の神さまとして信仰を集めているほか、五穀豊穣、雨乞い、川や海の安全にもご利益があるといわれ、この地域の生活に密接に関係した神さまです。
ここ最近三重県北部の経済発展には目を見張るものがあります。名古屋の好景気の影響ともいえますが、いよいよ天津彦根命が本領を発揮し始めたと考えることもできますね。
別宮「一目連神社」には天目一箇命(あめのまひとつのみこと)が祀られています。この神さまは、わが国の金属工業の祖神です。天変地異があった際には、龍神に姿を変えて天に昇り、雨を降らせるという言い伝えがあり、いつでも龍となって空に飛べるようにと、この一目連神社の神殿には扉が設けられていません。多度の神さまは本当に勢いがありますね。あやかりたいです。
わが国の金属工業の祖神
お参りを済ませて参道を降りていくと、川べりを工事していました。その工事用フェンスにもちゃんと白馬のシルエットが描かれていました。ところで、なぜ天目一箇命がわが国の金属工業の祖神なのかといいますと、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に隠れた際に、刀や斧を作った神さまだからなのだそうです。金属にまつわるお仕事をされていらっしゃる方は特に、ご利益がありそうですね。
天に昇る龍や、勢い良く駆け上がる白馬…本当に勢いがある神さまが祀られているということで、私もちょっと欲張って、今年は飛躍に繋がる人脈ができて、さらに空高く舞い上がれるようにとちょっと高望みなお願いをしてしまいました。
9つの願いごとをかなえてくれる
ではそのお願いに対する、神さまからの答えを聞くためにおみくじを引いてみます。すると「末吉」。私はいつもあまり大吉以外を引かないのですが、今回は末吉でした…。でも読むと納得。将来的には飛躍できるのだけれど、しばらくは健康に気をつけて、コツコツとやれとのこと。空に舞い上がるのはもう少し先のことになりそうです。それまでは地道にいくしかありませんね。
そして相方と一緒に、お守りや絵馬を買うことにしました。すると、欲張りな人にも大丈夫な絵馬が売られているのを見つけました。絵馬が9つ繋がっていて、それぞれに馬の絵が書かれています。馬が9頭でその名も「うまくいく絵馬」。絵馬が9つ繋がっているわけですから、9つ願いを書くことができるのです。
でも相方は、欲張ってはいけないような…大体9つも願いが思い浮かばない、と言って普通のひとつの絵馬にしました。私は「うまくいく守」を買いました。こちらはお守りの袋に9頭の馬が描かれています。
おみくじというのは、引く人と引かない人ではっきりわかれますよね。私の場合は、引いて良くないことが書いてあれば、それに気をつけることにしています。でも、気にしてしまう人は本当にそれで落ち込んだりしちゃいますからね。でも、多度大社なら万事うまくいく!はずです。
でも実際、9つ願いごとを書くって結構大変ですよね。その願いを聞いてあげる神さまはもっと大変だと思いますが…。
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