約4年ぶりに私は名古屋空港国際線ターミナルにやってきました。私の相方が現在暮らすカナダ・バンクーバーに向かうためです。
先方の宿泊先や旅行の手配は相方にしてもらったので、こちらでは航空券を買い旅立つのみです。とは言え一人で飛行機に乗るのは初めて、しかも平日ということもあってか空港は人もまばらで、誰かについていけばいいというわけでもありません。大丈夫かな、と不安になりつつ同じ飛行機に乗りそうな雰囲気の人を探します。
名古屋空港
名古屋を午後5時5分に発つバンクーバー直行便、エアカナダAC010便に乗る予定です。エアカナダは2003(H15)年に一度破たんしていて現在は再建中です。相方からは「破たんしたエアカナダは人が少ないから、離陸までに搭乗手続きが終わらなかったりすることがあるらしいよ。」と脅されていましたが、この便はANAとの共同運航便なので大丈夫なはずだと自分に言い聞かせます。
▲ターミナルは本当に綺麗。この時はガラガラ...。
海外に行くといつもお米や醤油の味が恋しくなるので、この日は食べ納めというつもりで「かっぱ寿司」で昼食をとり、地下鉄藤ヶ丘駅から空港バスで空港にやってきました。この国際線ターミナルは1999(H11)年に新築されたもので現在もピカピカです。
▲名古屋空港を利用しよう!というシャチ飛行機のポスター。
しかし、2005(H17)年には常滑沖に中部新国際空港(セントレア)が開港することになっていて、開港後ここは県営の飛行場になってしまい今ほど利用されることはなくなってしまうはずなので勿体無い気もします。そして空港には「フライナゴヤキャンペーン」というポスターが貼られていました。「旅立ちは名古屋空港から、あなたの地元空港利用で航空路線の充実を...。」今さら...という感じで哀愁が漂います。
そこには金鯱が飛行機になっているイラストが...やはり名古屋っ子の心の拠り所はお城・金鯱です。そして空港内のフードコートには「新しき旅」というスーツケースを持った女性の銅像がありました。名古屋の公園にはあちこちに銅像がありますが、こんなところにまであるとは名古屋は本当に銅像が大好きな街です。
▲空港にまでも銅像。さすがデザイン都市。
エアカナダ機内
搭乗手続きを済ませ、出国手続きをします。しかし本当に人がいません。通常の平日なんてそんなものなのでしょうか。それでも、AC010便の搭乗ゲートに行くとそれなりに人が座っていました。どうやら昼から夕方にかけては飛行機の出発が無いらしく、このAC010便が夕方最初の便でした。それ以降は出発便がたくさんあったのでこの後は人が多くなったことでしょう。人がいない分出国手続きとかがすぐにできて逆によかったかも。
バンクーバーに住む相方に会うのは7ヶ月ぶりです。この飛行機に乗れば8時間後には会えるとわかっていても、飛行機を待つカップルや新婚さんと思われる人を見ると羨ましく思えます。するとアナウンスが流れていきました。「本日のエアカナダ・ANA共同運航便バンクーバー行きは機材交換のために17時15 分の搭乗予定と変更になります。」
普通ならそれくらいのことは当たり前なのかもしれませんが、やはり相方に脅かされているせいか些細なことでビクビクしてしまいます。
しかも、17時15分を過ぎても何もアナウンスがありません。後から出発予定のキャセイパシフィック香港行きが出発します。それから20分ほどしてようやく搭乗が始まりました。とりあえずホッと胸を撫で下ろします。17時45分、ようやく座席につきます。窓側の席でちょうど翼のところです。53分飛行機が動き出し18時3分に予定より58分遅れて離陸です。とりあえず飛びたったことに一安心です。
非常口の案内や機内食、免税品販売のお知らせとともに、英語でこんなアナウンスが流れてきました。
「ビールとワイン以外カナダドルで5ドル、アメリカドルで4ドルの現金を徴収させていただきます。」
え、ジュースもお金かかるの?お酒の飲めない私は焦りました。普通の航空会社ならジュースにお金がかかるはずはないと思えたのですが、「エアカナダは破たんしている。」という言葉がどうしても脳裏をよぎります。まだお金は一切両替していないので日本円しかありません。どうしよう...。
そしてカナダ入国カードが渡されます。英語ばかりで何が書いてあるのかさっぱりわかりません。しかも今回は相方が向こうにいるという安心感から、辞書も何も持ってきていません。「しまった...。」そんな不安を抱えつつ、次第に闇に包まれていく水平線の夕陽を眺めていました。