ここにもオルカ、グランパス-バンクーバー図書館

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バンクーバー図書館(ブリティッシュコロンビア州)

そろそろお腹が空いてきたので、UBCの構内で昼食をとることにします。入ったのは「99CHAIRS」という学生食堂風のカフェです。レジで注文し、番号を呼ばれたら取りに行くカフェテリア形式です。周りに日本人はおらず、UBCの学生ばかりのようでした。お陰ですっかりカナダの大学生気分。私はチキンフィンガーを、相方はパニーニを注文しました。

このパニーニがでかい。やっぱり違うなぁ。かつて相方と、大学の食堂でこうやって食事をしていたことを思い出します。学生時代に戻ったような気分でしたが、年齢は戻ることはできません。でも、日本人は年齢より若く見えるので、

99CHAIRS

「こうやってここにいると、現役大学生に見えるよね。」

と私が相方に同意を求めると、

「あなたは微妙だよねぇ~。でもこっちでは大学生は若いと限らないし、見える見える。」

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▲モニターには大リーグなどのスポーツ映像が映る、大学内のカフェ。

と、喜んでいいのかどうか微妙な回答。食事を終えて大学のグッズショップへと向かいます。ここでは学生が使う文具などの他にも、TシャツやぬいぐるみなどUBCオリジナルグッズがたくさん売られています。日本では大学名の入ったシャツやトレーナーを着ることはあまりありませんが、こちらでは良く見かけるそうです。

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▲パニーニは大きくて、しかも分厚い。

ここで私は、とてもカワイイぬいぐるみをみつけてしまいました。それはクマのぬいぐるみなのですが、マントこそ羽織っていないものの、卒業の時にかぶる四角い黒い帽子をかぶっていて、UBCの名が入っています。大学がこんなにもかわいいオリジナルぬいぐるみを作っているなんて驚きです。思わず自分用のお土産に買ってしまいます。他にも、卒業証書のレプリカが売られていました。

小さく「replica」の文字が入っているものの、これを家に飾ったらUBCを卒業したかのように見えます。しかもそれを大学のオフィシャルな売店が販売しているなんて…。おおらかですね。詐称はいけませんいけません。

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▲芝生でアメフトを楽しむ学生たち。

ORCAS IN THE CITY

大学生気分を満喫してUBCを後にします。ダウンタウンに戻るともう時刻は午後2時過ぎです。少しだけ街並みを見てお土産を買いに行きます。ところで、ずっと気になっていたのが、ダウンタウンにはあちこちにシャチの像があることです。バンクーバーはシャチに縁のある街で、アイスホッケーチーム、バンクーバーカナックスのキャラクターもシャチです。しかも街角にあるそれらのシャチは、ひとつひとつデザインも色も違います。

「たくさんシャチがいるけどこれ何?」

と相方に聞くと、

「これはそれぞれのスポンサーが設置したオルカに、地元のアーティスト達がペイントを施したもので、今年じゅうはずっと展示されているの。で、展示が終わったらオークションにかけて、その収益は恵まれない子ども達に寄付される『ORCAS IN THE CITY』というイベントだよ。しかも、シャチの姿はそれぞれの展示場所にちなんだ格好をしているものもあるよ。」

とのこと、ところでオルカって?シャチは英語でグランパスじゃないの?と聞くと、

「シャチは英語でキラーホエール(killer whale)、グランパス(grampus)とふたつの言い方があるけど、グランパスと言ってるのは聞いたことが無いね。で、このkiller whaleだと殺人鯨という意味になるからあまり良くないってことで、最近はorca(オルカ)と呼ぶようになってるね。」

なるほど。しかしバンクーバーという街は名古屋との共通点が多い。まず国の第3の都市であるということ。そして面積もほぼ一緒。さらには名古屋は金鯱、バンクーバーはオルカとそれぞれシャチをトレードマークとしていること。しかも地盤のスポーツチームのキャラクターとしてどちらもシャチを採用しているのです。

それにしても、名古屋ではJリーグのチーム名に「名古屋グランパスエイト」と「グランパス」を採用しているのに、英語でグランパスは一般的ではないというのは意外でした。でも「名古屋キラーホエールエイト」「名古屋オルカエイト」では、どちらもなんか様にならないな…。

「そうそう、たくさんオルカは展示されているけど、特にその場所ならではというのが、図書館の前にあるよ。」

ということで、バンクーバー図書館に行ってみました。図書館はロブソン通りとホーマー通りの角にあります。その建物はまるで古代の競技場を彷彿とさせるもので、カナダ人建築家モシェ・サフディ氏のデザインです。

中に入ると公立の図書館とはとても思えないモダンなガラス張りの吹き抜けになっていて、1階にはカフェがずらっと並びます。蔵書は100万冊を超えていて、日本語の新聞や雑誌もあります。オルカは図書館を出てスターバックスのある角に展示されているということなので、図書館を通り抜けます。

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▲一見競技場のようなバングーバー図書館。

そのオルカを見てビックリ。さすが図書館前に展示されているだけのことはあります。オルカの体は木目で、なんとオルカ自体が本棚になっていて本が置かれているデザインになっています。もちろん本物の本ではなく木で作られた飾りですけれども。しかも置かれている本のタイトルは「簡単にクジラに乗る方法」や Load of the Ringにかけた「Load of the Whales」といったユニークなものが並びます。

そして棚には本だけでなく、コーヒーの入ったスターバックスのマグカップが置いてあるのです。最初は、誰がこんなところにマグカップを置いたんだ…?と思ったのですが、そのコーヒーは作り物で作品の一部となっています。

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▲本棚になっている図書館前のオルカ。向かいにはスポンサーのスタバ。

プレートを見ると、このオルカのスポンサーはスターバックスコーヒー。図書館前だから本棚で、スポンサーがスターバックスだから読書でコーヒーと、なかなかユーモアのある作品になっていました。製作者はJudson Beaumontさんです。名古屋にも、街のあちこちに彫刻やデザイン性溢れるものがたくさんあるのですがどこかしっくり来ません。

名古屋が正統派な芸術を追い求めているのは理解できますが、こういったユーモアセンスが少しはあってもいいんじゃないかな。という気がしました。

芸術が街に溶け込むバンクーバー。共通点は多いのですから、名古屋ももう一工夫すれば、バンクーバーのようになれる気がするのですが。でも名古屋は、いつまでも垢抜けないから名古屋なのであって、こんなにセンス溢れる街になってしまうのも少し寂しい気がしますって…余計な心配ですね。名古屋が垢抜けるなんてことは私が生きているうちには無いと思いますし…。いつまでもそんな名古屋でいてください。

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▲図書館にはテナントとしてたくさんのカフェ。館内へは持ち込み不可。

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