02.ぶらり中部 おでかけレポ~全国・海外~

一世を風靡したランズボローメイズが現存!-こだまの森

記事公開日:2007年7月8日 更新日:

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 このサイトでは5月に、巨大迷路を求めて岐阜県関市に行ったお話をしました。しかし、既にかなり前に巨大迷路は閉鎖されており、願いは叶わなかったわけですが、その岐阜県のお隣の長野県に現役の巨大迷路があるという話を耳にし、行って参りました。

 しかもなんとそれは、かつて巨大迷路ブームを巻き起こしたあの会社のフランチャイズの迷路で、当時を思い起こさせるものがたくさんあり、しかもちゃんとメンテナンスされていて綺麗な状態で、まるでタイムスリップをしたかのような錯覚に陥りました。ランズボローメイズにいざ挑戦です。

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 中央自動車道の中津川インターを降りて国道19号線に乗り、どんどん北上します。中津川から2時間弱、長野県木祖村の「やぶはら高原こだまの森」へとやってきました。こだまの森は、キャンプ場や様々な遊具のある公園からなる施設です。この日は平日ということもあり、一家族が公園で遊んでいる以外に人影は見られませんでした。

 すると駐車場の正面にありました!「ランズボローメイズ木曽」。巨大迷路です。受付ではゆる~い音楽がかかっており、郷愁ただよう昭和な観光地風情を漂わせていました。しかし受付に誰もいません。まあ、当然ですよね...。というわけでこだまの森の総合受付へ。

「あのー、迷路をやりたいのですけど。」

 と言うと、係の人はとても申し訳なさそうな表情をするので、まさか、やっていないとか!?という緊張が走ります。しかし返ってきた答えはそうではなく。

「迷路ですか...。有料なんですけど...ひとり500円なんですけど...いいですか?」

 なるほど。係の人は有料だということを言うことに申し訳なさを感じていたわけですね。もちろん、やります!だって、この巨大迷路体験のために高速道路の料金とガソリン代にその何倍もかけて来てるわけですから。

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 入場券を受け取りランズボローメイズの入口へ。10年ぶりの巨大迷路です。入場券をタイムレコーダーに差し込んでスタートです。ところが、打ち込まれた時間がにじんで見難い。すると「※時間が読みにくい時は」という注意書きがあったので読んでみます。なになに...。

「※時間が読みにくい時は、係員にも読めません。インクの感じで予想してみてください。」

 なにー!そのかわし方に脱帽。まあ、タイムレコーダーの針を見て、何とか「14時36分」と予想できましたので大丈夫です。

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 巨大迷路は2階建て構成になっていて、立体交差もあり、まさにあの当時流行した巨大迷路です。ちゃんと整備が行き届いており、塗装が剥げていたりすることなく、まるで20年前ままのようです。ただあの頃と違うのは、迷路内に私たち2人しかいないということ。

 流行していた頃は、人だらけで移動するのに人が邪魔で、トラブルが無いようにと警備員が迷路内をウロウロしてたくらいでしたね。でも人が多いせいで、すぐに迷路の正解がわかっちゃったりもしたんですよね。

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 入場券の裏には、アイウエオに対応する記号のような文字が書かれており、その文字を使った看板が貼られています。「おしえないで」とか「みぎかな?」といった、他愛の無いことしか書いていないのですが、気になって解読してみたくなるのが世の常です。

 これは短時間クリアを阻む作戦でしょうね。短時間でクリアできてしまうと、「たった○分に500円?」とか言われちゃいますからね。ちなみに、入場券やこの看板には顔に刺青をした黒人の絵が描かれています。これはマオリ族と思われます。それについては後ほどお話します。

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 受付で入場券を渡される際、お姉さんは簡単に迷路の説明をしてくれたのですが、「4つのスタンプを押してください」と言った後に、自分の言葉に疑問を持ったらしく、他のスタッフに「スタンプを押すことに何の意味があったんでしたっけ?」と質問していました。するとその人は「スタンプはチェックポイントです」と笑って教えてくれましたけど、説明を忘れてしまうほどまでに巨大迷路をやる人は少ないのですかね...。

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 4つのチェックポイントは迷路のそれぞれの角にあります。4つのうちどこから行っても構わないので、一番近いところを目指すのですが、それは大抵行き止まりになってしまいます。急がばまわれです。チェックポイントは2階建てになっていて、階段で上らなくてはならないのですが、階段に上がれるのは、ひとつしかない正解の方向からやってきた場合のみです。

 チェックポイントに到達したときに「○はいれます○ おめでとう入口です」と書かれていたら大正解。その先に上への階段があります。

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 逆に間違った方向からチェックポイントに到達してしまった場合には「×はいれません× 入れまへんがなきついでホンマ」と書かれています。なぜ大阪弁...?。それは、当時このランズボローメイズをフランチャイズ展開していた会社「メイズプロダクツ」の本社が大阪だったからでしょうね。迷路自体はペンキが塗り替えられていて古さを全然感じないのですが、さすがに看板は色褪せていて、時の流れを感じます。

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 チェックポイントは「M」「A」「Z」「E」の4つ。シャチハタ状のものとスタンプ台で押すタイプのものがあるのですが、スタンプ台は当然使えるような状態ではありませんでした。巨大迷路が流行していた当時、私が名古屋近郊で体験したのもきっとこのランズボローメイズだったのでしょうね。看板やチェックポイントの構造に見覚えがありましたから。ここに来なければ、20年前のその記憶は封印されたままだったことでしょう。

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 メンテナンスが行き届いており、一見綺麗に見えた迷路。しかし、我々の行く手を阻むのは、行き止まりだけではありませんでした。それは蜘蛛の巣。なかには蜘蛛の巣が通り道全体を覆っている場所も。なんとか手で蜘蛛の巣を払って先へと進みます。蜘蛛の巣で行く手を阻むというアトラクションは、当時にはありませんでした。

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 この日天気は良く、梅雨の合間とはいえかなり暑かったです。もちろん迷路の間はトイレもありませんし、ジュースなども販売されていませんから、迷路に挑戦する前に水分補給できるように飲み物を買っておきましょう。もしこれから巨大迷路にチャレンジする方が万が一いらっしゃいましたら、参考になさってください。

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 スタートしてから27分。ようやくゴールです。ゴールにももちろんタイムレコーダーが。これで記録がわかるわけです。案内看板によりますと、この日の巨大迷路レベルは「B:ふつう」。平均タイムは19分ということでしたから、ちょっと平均より遅かったということになります。まあ、迷路を楽しむと言うよりも、懐かしさに浸っていたのでその分時間がかかったのかもしれません。

 レベルには他に「C:か~んたん」「A:てごたえアリアリ」「S:げきムズやばい」「SS:誰も帰って来れない・ギャー」とあります。どういうことかといいますと、このランズボローメイズは迷路のついたてが可動式になっていて、自在に差し替えることができ、コース設計をその都度変えることが出来るのです。それがランズボローメイズの特徴です。

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 ランズボローメイズは、MAZEの創作活動に15年を費やし、巨大立体迷路を考案したニュージーランド人「スチュワート・ランズボロー氏」が手がけたもので、今から20年前に流行したときには、国内に150ヶ所もあったほどの人気でした。ランズボローメイズはフランチャイズ契約で全国に広がったのですが、当時大人気だったわけですから、なかにはもちろん偽者もあったようです。なので、ここには今でも、

「長野県で本物を体験できるのはランズボローメイズ木曽だけ。」

 という文言が記されています。

 いや、今や長野県だけではなく、中部地方でもここだけですし、偽者もなにも巨大迷路自体が他にありませんから...。

 たぶん当時は、長野県内に偽者の巨大迷路があったんでしょうね。

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 こだまの森には巨大迷路だけでなく、なんとも懐かしい遊具がたくさんあります。しかしどれも色褪せることなく、しっかりとメンテナンスしてあるところが良いです。ロープにぶら下がって滑ってみたり、ラッパ状の筒で糸電話のようなことをしてみたり、童心に帰ることができます。

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 公園の奥には、キノコの形をしたベンチとテーブル、そして白雪姫と七人の小人の人形が置かれているのですが、注目すべきはその奥にある雲梯(うんてい)です。「スカイウォーカー」と名づけられた雲梯で、その長さはなんと100メートルで、なんと日本一。横木の数は299本。雲梯って、長ければいいってものかな...と思うかもしれませんが、日本一なら意味があるというものです。

 相方が挑戦するも、すぐに挫折。子どもの頃と違ってスイスイとはいきませんね。ちなみに私は、横木を握った段階で完全に足がついてしまうので、体験することはできませんでした。

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 こだまの森では他にも、ジャンボすべり台やパターゴルフ場、野外音楽堂、さらにピクニックガーデンやキャンプ場、コテージがあり、渓流釣などもでき、巨大迷路以外にも楽しめます。

 20年前の巨大迷路ブームは異常で、なかには1年で数十万人の入場を記録したところもあったそうです。でも、最盛期には国内に150ヶ所もあったとのことですから、都市部ではあっちにもこっちにも巨大迷路という状態になり、しかも一度体験したらしばらくはいいですから、すぐに競争が激化して廃れていってしまったのでしょうね。

 今では国内で巨大迷路を体験できるのはわずか数ヶ所。そのなかでも、このこだまの森の巨大迷路は、登録商標となっている当時の「ランズボローメイズ」という名前を使用し続けており、なおかつ入場券のデザインも、巨大迷路が生まれたニュージーランドの原住民であるマオリ族のイラストを使い続けており、メンテナンスも行き届いていて、まさに20年前の巨大迷路ブームをそのまま体感できる施設となっています。

 私は当時10歳チョイでしたから、まさに当時夢中になって巨大迷路を楽しんだ世代です。

 あれから20年。当時の子どもは今や20代後半から30代。ちょうど社会の荒波にもまれ、いろんな軋轢に巻き込まれ、人生の迷路に迷ってしまう時期です。そんな時は、ぜひランズボローメイズに挑戦してみてください。あの頃のピュアな気持ちを思い出すことが出来るかもしれません。そうすれば、人生の迷路もきっとクリアできる...かどうかはやっぱりその人次第。

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やぶはら高原こだまの森(長野・木祖村)MAP

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