▲この当時は名古屋でもCMが流れていました。東武ワールドスクウェア。
東武ワールドスクウェア(栃木・日光市)
名古屋から車で8時間かけて、わざわざ栃木県の日光までやってきたのにはワケがあります。以前から相方はミニチュアモノが大好きで、ドールハウスの美術館や小さな食品サンプルのショップなどに出かけたことがあるのですが、やはりミニチュア好きならここは外せないでしょうということで、日光市(当時・塩谷郡藤原町)の東武ワールドスクウェアへとやってきました。
東武ワールドスクウェアとは、一日で世界旅行気分を味わえる施設です。と言いますと、名古屋っ子は愛知県犬山市のリトルワールドを思い浮かべると思います。あちらは世界中の建物が移築され、文化や食事を体験できる施設として「一日世界旅行」なわけですが、東武ワールドスクウェアはそれとはちょっと趣向が違います。こちらは世界中の有名な建築物や世界遺産、遺跡などが全て25分の1の縮尺で模型として再現されているのです。ですから、自分が25倍の大きさになった感じで、世界中を見て回れるというわけです。なので、ミニチュア好きの相方にはたまらない施設というわけです。
現代日本ゾーンと言うか東京ゾーンね
▲国会議事堂。森の中なので首都機能移転したみたい。
全部で21ヶ国、102点の建造物が精巧に再現されていて、6つのゾーンに分かれています。まずは「現代日本ゾーン」。こちらには東京駅、東京タワー、新東京国際空港、国会議事堂、東京ドームなどが再現されています。日本ゾーンという割には、東京ばかりじゃないか!と腹を立てたいところですが、それはいけません。ここは関東。東京=日本なのですから。東京タワーは25分の1のサイズでも結構大きいですね。本物の方はデジタル放送用アンテナの増設で、不恰好になってしまいましたが、こちらは今もスラっと昔ながらの体型を維持しています。東京駅の模型にはちゃんと人がたくさんいて、もちろん電車の中にも満員で通勤ラッシュが再現されていて、列車や新幹線は走っています。新東京国際空港(現・成田国際空港)も飛行機がグルグルと動き回ります。さすがに飛びはしませんが。
▲東京駅では電車も新幹線も実際に走ります。
騒々しさが伝わるアメリカゾーン
続いては、東京が日本の中心なら、世界の中心はこの国、というわけで、「アメリカゾーン」です。ホワイトハウスや自由の女神、エンパイアステートビル、クライスラービルがあり、足元にはニューヨークの街並みが広がっています。芸が細かいのは、そんなニューヨークでは交通事故が発生していて、パトカーや救急車が出動しています。そして、ワールドトレードセンターもここでは健在です。私たちがここを訪れた約1ヶ月後、テロによって本物の方は無くなってしまいました。ニューヨークのビル群は、東京タワーよりも高いことがわかります。全て同じ縮尺で作られているので、直接その大きさを目視で比較できるのがこの施設の良いところですね。
▲ここでしか見られなくなったワールドトレードセンター。
雨でちょっと心配になるエジプトゾーン
この日は雨が降っていまして、思わず見た目で雨のなかで大丈夫なのかな?と思ったのが、砂地でできているように見える「エジプトゾーン」です。ここにはピラミッドやアブ・シンベル大神殿、スフィンクスが再現されています。特にクフ王のピラミッドは実際には高さが146メートルもあり、その大きさに驚かされます。25分の1で見ても、この時代にこれだけのものを作ったのかぁという感慨を覚えましたので、実際に見たらそれはすごい迫力なのでしょうね。
▲絶対ありえないんですけど、溶けてしまいそうな印象。
綿密さに驚くヨーロッパゾーン
そして「ヨーロッパゾーン」へ。パルテノン神殿や凱旋門、バッキンガム宮殿やベルサイユ宮殿を見ることができます。ベルサイユ宮殿は本当に大きい。また、パルテノン神殿の綿密さにはビックリしました。忠実に再現されているわけなので当たり前ですが、本当にこれは遺跡なんじゃないかと思えるほどでした。でも、見る角度によっては、そのパルテノン神殿の向こうにニューヨークの街並みが見えてしまったりするところも、面白いですね。
▲本当に遺跡みたい。でも後ろに見えるニューヨーク。
さすがに全部は再現できないアジアゾーン
5つめは「アジアゾーン」。タージ・マハルや興仁之門、万里の長城の一部などが再現されています。残念ながら万里の長城は全てが再現されているわけではありません。でもそれは当たり前です、万里の長城の本物は全長2,700キロメートル。25分の1で再現するとその長さは96キロメートル。無理ですね…。そう考えると、万里の長城の規模のすごさかより実感できます。この万里の長城には人が沢山いるのですが、中に「三蔵法師一行」がいるはずなのです。でも私たちには残念ながら見つけられませんでした。
▲さすがに全部は再現できない万里の長城。
東京じゃない日本もありました
最後は東京じゃない「日本ゾーン」。清水寺や安芸の宮島、熊本城、岐阜・合掌造りの民家などがあります。安芸の宮島はちゃんと水に浸かっていて、趣があります。それぞれにはちゃんと観光客と思われる人々の姿があり、ツアーがガイドさんに説明を受けている様子を再現してあるなど、やはり芸が細かいです。
▲水面に映るのがこれまた美しい安芸の宮島。
これまでの展示は全て屋外のものでしたが、建物の中に「ヴァルディサーカス」という人形たちのサーカスがあります。フランスの職人がなんと51年の歳月をかけて作り上げたという芸術品です。曲芸師やピエロ、象、ライオンのミニチュアがいきいきとサーカスをしています。
▲ミニチュアのピエロや象がサーカスをします。
後世に語り継ぐ役割…確かに…
全部で102の建造物ですから、ここでは触れなかったものもたくさんあります。5年の歳月をかけて作られたもので、テーマパークとしてだけの存在ではなく、後世に建築物を語り継ぐ目的も兼ねているとのこと。確かに、ニューヨークのワールドトレードセンターは、本物はなくなってしまいましたが、ここに来れば往年の姿を見ることができますからね。皮肉なめぐりあわせですけど…。
ミニチュア好きな人だけでなく、いろいろな楽しみ方ができるテーマパークだと思います。全てが25分の1ですから、自分が25倍の大きさで存在できることで、ちょっと気が大きくなったりするという効果もあり、社会における自分の存在感に疑問を抱いている方にとっても、自信をつけられる良い場所でもある、というのは私が勝手に考えた効能ですので根拠はありません。
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