港区[13] 名港
一宮市から東海市までつながる-名古屋高速4号東海線
江川線と並行するように国道154号線が南北に走っています。この先の築地口で2つの道路は合流します。港北公園はその江川線と国道154号線を結んでいます。港北公園からは国道154号線を南に歩きます。
▲国道154号を北に望みます。白鳥庭園まで続きます
公園を出て右に曲がると、マンションがずらっと並んでいますが、港らしい倉庫街もあります。その倉庫の横に高速道路の橋脚らしき工事中の場所があります。周囲にはまだ全く高速道路ができそうな気配がありません。
▲倉庫は無くなるとマンションに姿を変えます
この高速道路はどこから来てどこへ行くものなのでしょうか。実はこれ、名古屋高速4号東海線で、河童のいた中川区山王と東海インターを結ぶものです。山王から江川線の上をずっと通ってきて、アピタ東海通店の南で斜めに折れ、国道23号と竜宮で交差して東海市方面へ抜けます。
2005(H17)年には山王側の工事が着工され、2010(H22)年の完成予定となっています。現在計画されている路線のなかで完成予定が最も遅く、この東海線が完成すると、名神高速道路一宮ジャンクションから東海ジャンクションまで一直線で走り抜けることができるようになり、混雑しやすい3号大高線のバイパスにもなり得ます。日本一料金が高い都市高速はまだまだ進化します。
▲高速道路の工事をしているのは、ほんの一部分のみ
名古屋三弘法の三番-善光寺・港新世界商店街
▲港へと続く国道154号
国道を南に歩きます。盲人情報文化センターを越え、国道23号の立体交差が見えてくると商店が目に付くようになります。
▲港新世界商店街。埋立地は確かに新世界ですね
歩道を緑のビニル屋根が覆っていたりとノスタルジー溢れる商店街ですが、その名は「港新世界商店街」。
▲懐かしい感じがするビニルの屋根
新世界というあたりが逆に昭和を感じさせ、ここが埋め立て地であることを象徴しています。国道23号への入口の手前を左折し、港新世界商店街のゲートをくぐります。すると右手に交番があります。その反対側、左手に名古屋三弘法の第三番、善光寺があります。
▲国道23号は、歩行者、原付などは通行できません
名古屋三弘法、一番は中川区高畑の宝珠院で厄除け大師、二番は港区多加良浦の弁天寺で開運大師でした。そしてここ三番の善光寺は道びき大師です。
善光寺は長野善光寺の分身一光三尊阿弥陀如来を本尊として祀ったのが始まりで、堂内には善光寺如来縁起の御絵解と、戒壇廻りが設けられています。現在の本堂は1927(S2)年に落成したものです。
▲道びき大師の善光寺。名古屋三弘法めぐり達成
毎年8月15日に行われる千灯供養では、一千張の提灯が灯され賑わいます。境内には東海道の道標が残されていて、「右・前ヶ須桑名、左・名古屋築地」と刻まれています。
善光寺の先で商店街は終わっていてその先は住宅街になっているのですが、なぜか道路がロータリー状になっています。かつては行き止まりでだったのでしょうか。ではその「左・名古屋築地」へと歩きましょう。
▲道路がロータリー状になっていますが、通り抜け可能です
埋立地という名前の神社-築地神社
善光寺から南へ歩くと、先ほどの国道23号への入口がありそれに沿って道路が迂回します。国道の高架をくぐります。周囲には小さな飲食店が多く、美味しそうな香りが漂います。後ろ髪を引かれつつも港消防署北の交差点から南へ歩き、2つ目の信号を左折すると築地神社があります。
▲築地の神社という名前から、勧請された経緯が推察できます
築地とは埋立地のこと。この築地神社は1938(S13)年、港の鎮守として海の守護神素盞鳴命を熱田神宮より勧請し創建されました。
毎年5月13日には、和妙(絹)と荒妙(麻)が奉献される熱田神宮の神さまの衣替え儀式「御衣祭」に伴って神御衣奉献行列が行われます。この儀式は熱田神宮と伊勢神宮にのみ残るもので、初夏の風物詩となっています。
▲こちらが築地神社の本殿
橋の名前にその存在が残っている-稲荷橋
先ほどの消防署の前の道を南に歩くと、稲荷橋という橋があります。それはこの築地神社の北側にあった築地稲荷に由来すると思われるのですが、築地稲荷があった場所は現在駐車場になっており実際のところはわかりません。
▲かつて築地稲荷があったと思われる場所。右奥の緑は築地神社
その稲荷橋の向こうは昭和に入ってからの埋立地になります。1907(M40)年に名古屋港が開港した際は、この稲荷橋の手前が港の先端だったわけです。
名古屋は名古屋駅を「名駅(めーえき)」、名古屋大学を「名大(めーだい)」、名古屋城を「名城(めーじょう)」と略すというお話を以前しましたが、もちろん名古屋港は「名港(めーこー)」と略されます。
そしてその略称は通称としてだけでなく、名駅と同じように正式な地名として採用されています。稲荷橋の北西一帯の地名は「港区名港」です。合理的な名古屋らしい地名がここにもあります。
間違ってもこの「名港」の頭に「お」をつけて、丁寧に呼ぶことのないようにご注意ください。関西ではセクハラになります。
ちなみに名古屋弁では、その体の部分や性行為のことを「おべんちょ」と呼びます。名古屋では小さな子どもがお弁当の歌をふざけて、「おべんちょ、おべんちょ、嬉しいな~。」などと歌った場合、後で先生にこっぴどくしかられます。
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