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花よりお茶より雑学より

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数奇屋風書院造り・茶室として借りられます-東山荘

 田辺通、正及神社の向かいには社宅があるのですが、やたらとアンテナが大きくピカピカな印象を受けます。実はここ、看板はありませんがある放送局の社宅なのです。テレビマンがテレビを綺麗に見られないなんてことがあっては商売上がったりです。アンテナのメンテナンスにはやはり力を入れているようです。その北側、田辺通2丁目交差点を西に進むと、石垣と黒壁が見えてきます。その角を左に曲がると東山荘があります。

 東山荘は1912(T元)年から十数年かけて築造された数奇屋風書院造りの建物で、自然回遊式の庭園があります。当初は綿布商の所有だったのですが、1936(S11)年に市の所有となり3年後に市民に開放されました。しかし1943(S18)年からは名古屋市長の公舎として25年使用されました。そして1968(S43)年再び市民に開放されました。茶室の利用は申告制になっています。ただのお茶会だけでなく朗読会なども開かれています。ここから西は急に懐かしい風景になります。「生みたて玉子直売」という看板を掲げる養鶏場が登場します。川沿いに南下して石川大橋を渡り、二本目を左に曲がると村上神社があります。

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▲なぜUHFアンテナが2本…。あ、デジタル用か。さすが放送局社宅。
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▲急にガラっと雰囲気がかわります。
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▲東山荘です。日本庭園は無料で見ることができます。

古墳の上にある神社-村上神社・東栄八幡社

 村上神社はおどり山古墳の上に建っています。瑞穂区内では古墳跡は多くあったものの、古墳自体が残されているのはわずかです。この古墳も高さ3.6メートル、直径40メートルの原形はとどめていませんが、境内地だけは古墳のまま残されています。神社の西側には昭和区で歩いた塩付街道が南北に走っています。汐路町という地名にその名残があります。塩付街道を北に歩きます。一本西となる汐路町2丁目交差点には名古屋女子大学短大部があり、そこから北西に歩くと東栄八幡社があります。

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▲養鶏場が登場し、さらに街の雰囲気は一変。
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▲古墳が残され、その上に建つ村上八幡社。
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▲南区呼続と、東区の古出来を結ぶ塩付街道。

交通安全を願う馬頭観音がたくさん-塩付街道

 このあたりは馬頭観音が多く、この八幡社の横、そしてそこから二本東となる塩付街道沿いの享栄高校近くにも馬頭観音が残されています。街道の面影はその観音さまと周囲の木に残るのみで、それほど古い建物は見当たりません。この先街道を進むと、昭和区の桜山で紹介した川澄地蔵、みやみち地蔵があり、塩付街道と熱田神宮へのみやみちの分岐点があります。では享栄高校の北側交差点を左に曲がり環状線に出ます。

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▲名古屋女子大学短大部。塩付街道よりも一本西。
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▲東栄八幡社。こちらは塩付街道から西に150mほど逸れたところ。
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▲享栄高校の向かいにある馬頭観音。塩付街道沿いです。

名古屋のあらゆる歴史を体感-名古屋市博物館

 環状線の両側には商店街が広がり、市立病院の南側には名古屋市博物館があります。博物館では常設展として尾張の歴史が紹介されていて、狩猟・採集の時代から稲作、古墳へと移り変わる様子や、信長・秀吉の天下統一までの道のり、そして宗春によって繁栄した城下町の繁栄ぶり、そこからものづくりの街へと移行していく過程、戦争、まつりなど尾張名古屋のあらゆる歴史を勉強することができます。ところで、名古屋まつりでは郷土英傑行列として地元の英雄三人を称えてパレードを行いますが、ここでは信長と秀吉しか紹介されていません。誰が洩れているかというと、それは家康です。家康は岡崎城で生まれています。岡崎は愛知県ですが三河になります。ですので尾張の歴史に限ると家康は郷土の英雄では無くなってしまうのです。すると、名古屋まつりで家康を称えるのは…という気もしてしまうのですが…。

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▲馬頭観音を間近に見ます。「おんあみり とどばんば うんはつたそわか」
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▲高校野球でおなじみの享栄高校。薬師寺保栄も卒業。
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▲塩付街道はこの先昭和区内へ。左に見えるのは市大病院。

 博物館の最寄駅となる、地下鉄桜通線の桜山駅構内には、江戸時代の名古屋が描かれた壁画などが展示されているので、それを見るだけでも面白みがあります。東山荘に博物館と少し硬い施設が多かったですので、商店街を歩きがてら休憩しましょう。駅前には火の神さまである秋葉社があり、環状線の両側はアーケードになっていて懐かしい感じがします。

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▲博物館、常設展の入場料は大人300円、高校大学生は200円、以下無料。
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▲地下鉄桜山駅には壁に昔の絵が複製で展示してあります。
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▲駅前にある秋葉社。商店街の守り神です。

お月見だんごももちろん名古屋流-山田餅本店

 この商店街でおすすめなのが山田餅本店です。ここでお花見の餅を買って山崎川へお花見でかけるという人も多いそうです。かしわ餅にちまき、そして名古屋まつりの季節には秀吉出世大福と、季節に合わせた和菓子が人気なのですが、中でも一番のおすすめがお月見だんご。全国的にはお月見だんごといえばまん丸なものが多いのですが、この山田餅さんはもちろん名古屋流。名古屋っ子ならわかりますよね、里芋の形をしたお月見だんご。定番商品でも、黒糖ういろは名古屋っ子なら思わず懐かしいと声を上げる味です。また、名古屋っ子なら知っている本当の名古屋名物、おにまんじゅうもあります。豆大福に草もち、本当に目移りしてしまいます。

 名古屋っ子には懐かしい、そして他の地方の方には目新しい品揃えではないでしょうか。私は名古屋名物には詳しいと自負していましたが、おにまんじゅうが名古屋名物だと知ったのは比較的最近のことでした。やっぱり名古屋にいると、どれが全国区でどれが名古屋名物かわかりませんね。でもいいや、おいしければ。

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▲瑞穂通商店街。通称博物館前商店街です。

 やっぱり花より団子、お茶より団子、雑学より…団子かな。

>>中川区へ続く

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