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日本五大名飯のひとつ可児の伝統「さよりめし」は今…地元で

記事公開日:2013年10月13日 更新日:

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★「さより」は岐阜ではさよりの意味ではなかった
★宮内庁が選んだ日本五大名飯のひとつなのに
★ご当地グルメブームの今こそこれは!

 B級グルメをきっかけに、ご当地のメニューの街おこしが各地で盛んに行われていますよね。その土地伝統のメニューだったり、ちょっとこじつけだったり、はたまた全く関係ないものをこじつけていたり...。そのご当地メニューの鉱脈を探すべく、どの地域も苦労しているわけですが...。

 逆に、せっかく、かつて宮内庁に名物料理として認定されたメニューがあるにもかかわらず、活かしきれていないどころか、なかなか口にすることすらできないご当地グルメが岐阜県可児市にあると知り、今回、特別にいただくことができました。

 可児市の伝統グルメの名は「さよりめし」です。

日本五大名飯とは?

 可児の「さよりめし」。これはかつて、1939(S14)年に宮内庁に「日本五大名飯」として指定されたという格式高い名物料理なのですが、私はこれまでその名を聞いたことはありません。一体どんなものなのでしょうか。

「日本五大名飯」とは、宮内庁が当時行った「全国郷土料理調査」において、日本を代表する郷土料理として選定されたものです。いわば、国がベスト5に選んだ、元祖ご当地グルメといえるものです。

 他の4つは...

深川めし(東京・江東区)...アサリのすまし汁でご飯にかけたもので、名物料理としていただけるほか、ギフト販売などもあります。

うずめめし(島根・津和野町)...しいたけ、ニンジン、高野豆腐などを賽の目にして味付けたものにご飯をのせ、薬味とともにだし汁をかけるもので、出すお店もあるほか、レシピ公開などもされています。

忠七めし(埼玉・小川町)...さらしネギ、わさび、柚子といった薬味をご飯にのせて、熱いつゆをかけて食べるもので、専門に提供する料理店や宿もあります。

かやくめし(大阪市)...もうこれはご当地グルメを脱皮して、炊き込みご飯として全国的にもメジャーな存在となっていますね。

 このように、日本五大名飯のうち4つは、今も各地で全国で名物料理として、その伝統と格式を生かして存在し続けているのですが...。

さよりめしとはさよりじゃない!

 岐阜・可児市の「さよりめし」だけは、ネットで検索しても扱っているお店は出てこないどころか、それ以外の4つのサイトにある紹介文がひっかかってくるほどで、さよりめしの情報の少なさにびっくりします。

 そんな中、ケーブルテレビ可児1階にある「ヘルシーランチ&カフェ・'50since」の水野さんが、イベント用に「さよりめし」を作るという話を聞きつけ、無理を言って1食わけていただき、また、お話を伺うことができました。

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水野さん「さよりめしは、特に可児市と御嵩町を中心に、中濃・東濃地区でこの秋の収穫を祝って食べられていますね。さんまの炊き込みご飯で、それぞれの家がこの時期になると作るものです。」

 なんと、さよりめしはさよりを使っているものではなく、さんまの炊き込みご飯だというのです。なぜ、さんまめしがさよりめしなのでしょうか?それには、この岐阜独特の事情がありました。

水野さん「海の無い岐阜県ではその昔、魚の種類があまり知られていなくて、細長い魚をみんな『さより』って呼んでいたのですよ。なので、さんまなのですけど、さよりごはん、さよりめしなのです。」

 なんと!海の無い岐阜県では海の細長い魚をすべて「さより」と呼んでいた時代があったんですね。それで、さんまめしなのにさよりめしになってしまったと。

 これ...、地元に伝わる伝統料理で、地元ならではのそういう逸話もあるだなんて、これ、ご当地グルメとして、喉から手が出るほど欲しい要素が2つも含まれているではありませんか。

 なんとかこじつけてご当地グルメを売り出してる地方からしたら、「可児なにやってんだもったいない」状態ですねこれ。

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ではいただいてみましょう

 秋の彩あざやかに、銀杏などと一緒にさんまが炊き込まれたさよりめし。いただいてみましょう。さんまをほぐしてご飯にまぜで、いただきます。

 これ、おいしくないはずが無いじゃないですか。これは間違いないおいしさです。程よいさんまの塩加減とご飯があいまって、食が進む進む。秋にぴったりの逸品ですね。

 しかしなぜ、今は食べられなくなってしまったのでしょうか。

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これを活かさない手は無いですよね

水野さん「さよりめしは、当時、新鮮なさんまを可児で手に入れることはできませんでしたので、塩のさんまをそのままご飯と一緒に炊き込んで、塩味でいただくというものになっています。家庭によって味が違うのですが、今回作ったものは、さよりめしコンテストで優勝したレシピなんですよ。」

 さよりめしコンテストなんて企画があったのですね。調べてみますと、今から5年前の秋、2008(H20)年10月に可児市観光協会が「さよりめしコンテスト」を開催しているのですね。そして今回、水野さんが作られたのがその優勝レシピ。ちなみに水野さんはそのコンテストの審査員だったそうです。

 さよりめしコンテストは、さよりめしを観光資源として活用しようと開催されたものの、残念ながら、火付け役にはなれなかったとのことです。

水野さん「宮内庁が指定した戦前は、かなり有名な存在にまでなったのですが、今では、さんまをご飯と炊いて食べるということは、なくなってしまったのですよね。なんとかこの文化を残していけたらなと思っています。まったくもったいない可児の財産ですね。宮内庁の指定という一番のお墨付きメニューなわけですから、さよりめしで街おこしというところまで発展するといいなと思っています。」

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 いやほんとそうですよね。地元の伝統メニュー、地元ならではのエピソードあり、宮内庁のお墨付き、そしておいしい。これだけの要素が揃っていて、ご当地グルメとして活用できていないどころか、食べられる店をネットで探すこともできない。こんな惜しいことってありますかね。

 でも、こんなにおいしいのだから、水野さんのお店「50Since」で出せばいいのに...と思ったら...。

水野さん「ウチはカフェなので...。あ、でも、予約をいただければ作りますよ!」

 それは残念!いつか可児市がさよりめしで街おこしとなる日が来るといいですね。

 たぶんきっとこれ、エピソードとしては面白いものの「この地域は海の魚の区別がつかず、細長い魚は全部さよりと呼んでいた」というところが、微妙に自虐というか、バカにされるのをおそれてるという理由もあるのかな。

 もったいない...。でもこれ、このまま可児が活用しないならと、御嵩や美濃加茂、その他中濃・東濃がもってっちゃって、「御嵩さよりめし」「美濃加茂さよりめし」「多治見さよりめし」なんて、ご当地グルメとして売り出しちゃうって手もあるよね。

取材協力

FMらら

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'50since-フィフティシンス(岐阜・可児市)MAP

(通常、さよりめしは扱っていません)

可児市広見7-90

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