- ふぐを食べるなら日本一の愛知県で
- でもやっぱり日間賀といったらタコもね
- てっさ、てっちりってそういえばどういう意味?
愛知県民なのに「ふぐ」を食べたことが無いなんて…。
唐突に何を?と思われるかもしれませんね。ふぐと言うと、多くの人は真っ先に下関を思い浮かべるでしょうが、実は数十年前から、下関のふぐの漁獲高は減少しています。しかし今でも、行政の後押しもあって「ふぐの集積地」としては存在感を示していて、全国からふぐが集まってくるというわけです。
では、実際にふぐが獲れるのはどこなの?
ふぐのなかでも食用で最も高級とされる「とらふぐ」。そのとらふぐの生産量日本一を誇るのが、愛知県なのです。(H18年調査実施している都道府県のなかで1位)
私は、そんなとらふぐの獲れる愛知県民なのに、これまでふぐのコース料理を食べたことがありませんでした。これからは地産地消の時代!これは食べなければ!という理由付けをして、ふぐの島・日間賀島へと向かいました。
日間賀島のイメージ戦略
知多半島の先にある師崎港から名鉄海上観光船に乗り、篠島を経由して15分。タコとふぐで有名な日間賀島に到着です。
篠島と日間賀島といいますと、かつて漁場を争って漁師がモメたり、篠島の船のりばが名鉄直営なのに対して、日間賀島の船乗り場は直営で無いことから、篠島のほうが高速船運行が優遇されていたりと、ふたつの島の間にはギスギスした空気が流れていることで有名ですが、篠島は漠然と海の幸というイメージであるのに対し、日間賀島は「たこ」と「ふぐ」のキャラクターも作り、イメージをかなり前から明確にしているので、ふぐと言って私たちは迷わず日間賀島を選びました。
島に到着すると、案内看板にはフグのイラスト。そしてタコのオブジェがお出迎え。
それはオブジェ・それは本物…
さすがタコらしく、ツボに入っています。このオブジェは、ちゃんと西港と東港の両方にいるというから驚きです。しっかり徹底していますね。この日も多くの人が記念写真を撮っていました。やっぱり日間賀島といえばタコなんですね。
イメージ戦略はさらに、島を歩く人たちの足元にも。島のマンホールは日間賀島オリジナルのタコのデザインになっているのです。
マンホールにタコのイラストと「ひまかじま」の文字。いいですね。こういうさりげないところでアピール!ですね。しかし…。
一方で汚水用のマンホールは、同じ調子でタコのイラストに「おすい」の文字。
うーん…。
そしてもちろん、オブジェやイメージだけではありません。島のあちこちには普通に、タコが干してあります。もちろんこれは、観光客向けのイメージ創出でも、アピールでもなく、実際に干してあるものなので、ウチの相方のように「何これー!」と言いながら、触ろうとするのはやめてください。
ふぐの民宿へと超特急で直行!
今回、ふぐ料理をいただくのは民宿でして、お昼のコースを予約しておきました。港に着くとお出迎えの車が。その軽自動車で民宿まで乗せていただいたのですが、さすが運転も離島クオリティ。細い急坂をグングン進みます。
「たまに島から出て運転すると、この勢いで飛ばしちゃって何度も…(以下自粛)」
そ…そうでしょうね。
日間賀島の茹でダコに本気で衝撃
高台にある「民宿ふみ」でふぐ御膳をいただきます。とその前に。せっかくの日間賀島ですからやっぱりタコも食べたい!ということで、あらかじめ茹でタコも追加でお願いしてありまして、ふぐ湯引き(皮刺し)、ふぐ小鉢、先付けと一緒に登場したのですが…。
これがもうね。びっくり。こ、こんなにやわらかいタコってあるの!?という感じで、驚くほどの感触でした。新鮮だからこそでしょうね。茹でてあるのにあそこまでやわらかいとは…そしてこれがおいしい。さすがタコイチオシの島だけのことはあります。
いよいよふぐ満喫です
そしてやってきましたー!「てっさ」です。
てっさといったらやっぱり、その独特な盛り付けに目が行きますよね。皿の色が見えるほどの薄切りでずらりと重なるように並べられています。
これは、ふぐの食感を楽しむための盛り付け方で、1枚ずつ食べるのではなく、薄く切られたものを何枚か重ねていただくことで…ああ、もうたまりません。程よい噛み応えと口のなかに広がる風味。はぁ~ため息です。
ふぐの味はしっかりと
ふぐってこんなにおいしいんだ!と感じたところで、ふぐの唐揚げです。レモンを絞っていただきます。
口のなかに入れた瞬間、じゅわーっとして、そしてしっかりとした味が。魚の唐揚げとは思えないほどに味がしっかりしています。これがふぐの唐揚げの味なんですね。今まで食べたどんな唐揚げとも違う、独特な味わいでした。
いよいよです。そう「てっちり」です。
鍋のなかにふぐの身を入れた瞬間、外側がすーっと白くなります。
骨の周りについた身を、骨から外すようにしていただきます。もちろん、さっきの唐揚げとは全然違うのですが、やはりしっかりとしたふぐの個性を感じることができる、主張のある味ですね。これはおいしい。
てっちりってこんなにおいしいものだったんだ。
あっという間にたいらげてしまいました。そして、せっかくふぐのお出汁がしっかりと出た出し汁をそのまま…なんてことはありません。もちろんぞうすいです。
これまで食べたどんな雑炊とも違う、これがふぐの味!とわかる雑炊をいただいて、もうホント大満足のふぐ御膳でした。
県内だけど小旅行気分で昼食を
さすがふぐ職人の島日間賀島というだけのことはありますね。
日本では、全国で食べられているふぐのうち、半分以上が大阪府で消費されています。大阪にはふぐのお店もたくさんあって、ふぐを調理できる人の数も多いからだそうです。
やはりふぐのこれだけのコースですから、それなりの値段にはなりますが、とらふぐ生産量日本一の愛知県ですから、ぜひとも愛知県民は一度は食べておく必要がありますね。これは。ていうか、食べないともったいない…。
日間賀島は「名古屋から一番近い島」。最近では、伊勢湾岸道が開通したことで、三重県方面からのお客さんが増えているそうです。昼ごはんを食べにやってくるだけでも、船に乗って海を渡るので、気軽に小旅行気分も味わえますし、オススメです。
もちろん、しっかりと飲んで一泊…もいいですよね。実は泊まっても、それほど昼食だけと料金が変わらないという…。
当たるかもしれないからこそおいしい?
そういえば、なぜふぐの刺身を「てっさ」、ふぐの鍋を「てっちり」と呼ぶのかといいますと、これはそれぞれ「鉄砲の刺身」「鉄砲のちり鍋」を略したものなのです。
そう、ふぐは鉄砲、当たったら命が危ない!というわけです。
もちろん、ちゃんとした方が調理していれば大丈夫です…よね。最近では、毒の無いとらふぐの養殖も研究されているとか。
いやいや、綺麗な薔薇ほどトゲがあるというわけで、やっぱりふぐも毒があってこそ、じゃないですか?違う?例えがおかしい?
ああ、また食べたいなぁ~。
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