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20「東谷山」
名古屋市内最高峰はまるで登山
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 名古屋市と瀬戸市のほぼ境にある東谷奇玉宮。その脇を愛知用水が流れ、正面には尾張戸神社の参道入口があります。尾張戸神社は東谷山山頂にある神社です。ここから山に登ることもできますが、フルーツパークなど、東谷山周辺にあるものを見ながら山をぐるっと回って、反対側の庄内川方向から登ることにします。再び石捨池の方に戻って東谷山フルーツパークに向かいます。
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▲東谷山のふもとにある、尾張戸神社参道入口。画像 ▲参道入口の横を愛知用水が流れていきます。

 東谷山フルーツパークは1980(S55)年に開園した名古屋市の施設で、果樹園や世界の熱帯果樹温室、くだもの館などの施設からなっています。レストハウスでは果樹園でとれた季節のフルーツを使ったデザートや、ジュースなどを味わうことができます。しだれ桜の名所としても知られており、春には多くの人が花見に訪れます。ただの観光施設ではなく、果樹栽培技術の研究や指導を通して、都市農業の振興を図る目的をもった農業公園でもあります。入場料、駐車場ともに無料ですが、花見などシーズンには駐車場が有料になります。
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▲休日には多くの人で賑わう東谷山フルーツパーク。画像 ▲春はしだれ桜の名所となります。画像 ▲菜の花の奥に見えるのは熱帯果樹温室。

 この東谷山フルーツパークからも東谷山に登る散策路があるのですが、県立看護大学の東側を通って一度庄内側沿いの道路に出ます。すると、新東谷橋までは県道15号だった国道155号線に出ます。東谷橋からフルーツパークへ真南に向かう道路は、細い割りに交通量が多く散策するのにはあまり良い環境ではないからと、東側のこの道を通る人が多いのですが、こちらはこちらで道路の出口にラブホテルがあり、家族連れの場合はどちらの道を歩くか迷うところです。
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▲フルーツパーク脇からも東谷山に登ることができます。画像 ▲国道155号からフルーツパークや東谷山へ行くには、ホテルが目印。

 その道路沿いには白鳥一号墳、四号墳、そして白鳥遺跡があります。なかでも白鳥一号墳は石室の入口に立派な扉が付けられていて施錠されています。この古墳は直径17メートル、高さ3.5メートルの円墳で、石室は全長9.8メートル、最大幅1.6メートルの平面徳利型両袖式の横穴式石室です。羨道は西に向けて開口しています。完全に形が残っている石室としては名古屋市内で唯一の存在です。1961(S36)年に石室の内部調査が行われ、須恵器、土師器、馬具、直刀、刀子、鉄鏃などが出土しています。6世紀後半の古墳で、1995(H7)年に名古屋市の史跡に指定されています。古墳群はさらに東谷山へと続きます。
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▲白鳥一号墳です。遠目に見るとよくわかりませんが。画像 ▲近寄ってみると石室の開口部がよくわかります。

 国道155号はこの先、瀬戸市地内に入ってしまい東谷山には行けません。東谷山へはそのラブホテルが入口となっている住宅街のなかを、東へ東へと歩くことになります。「この先行き止まり」という標識がある道が正解という、なんとも不合理なルートです。でも、東谷山への道は自動車が通れませんから、自動車優先社会の名古屋ではその表現が正しく、それが当たり前です。
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▲国道155号線はこの先瀬戸市を経て岐阜県多治見市へ。画像 ▲東谷山へは住宅街のなかを歩きます。画像 ▲「行き止まり」の標識が目印です。

 道路は次第に急坂となり、アスファルトには滑り止め加工が施されるようになります。そしていよいよ舗装が無くなり、「自動車の通行ご遠慮ください」という看板が現れました。しかしその横には「車上狙いにご注意」の看板。行き止まりと言ってた割には通行止めではなく「ご遠慮ください」とは控えめなんですね。やはり車には強く言えないのですね。そして周囲は県有林になります。実際には車がやってくることはなく、のんびりと森林浴を楽しめたのも最初だけ。さすが名古屋市内最高峰。結構坂はキツくまるで登山です。まあ、東谷山という山ですから最初から登山なんですけど。名古屋のチベット守山区をなめてはいけません。
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▲歩き始めは森林浴気分でしたが…。画像 ▲一般車両の通行は「ご遠慮」下さい。画像 ▲次第に坂がきつくなります…。軽い気持ちでは登らない方がいいです。

 クネクネと自動車が通れる幅の道を歩いていくと、ショートカットできると思われる階段が登場しましたので階段を進みます。階段脇には小さなお社があります。そしてその階段を登りきると、標高198.3メートル、名古屋市最高峰東谷山の頂上です。展望台に登ると眼下には守山区と春日井市、そしてその間をグネグネと流れる庄内川が広がります。あちこちに点在していた古墳が、更地の中にまるで緑のきのこのようにポコポコとあるのがわかります。あと数年もするとこの景色も一変して、住宅がびっしりと埋まるのかもしれません。いや、埋まらないとまずいですよね。負担金を皆さん支払って区画整理事業を行っているわけですからね。
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▲階段でショートカットできそうです。画像 ▲お社の横を階段で登っていきます。画像 ▲すると、展望台のある山頂に到着。

 では最後に、山頂付近にある史跡を見て締めくくりたいと思います。山頂には尾張戸神社があります。「延喜式」に山田郡尾張戸神社という記載があり、西暦135(成務天皇5)年に宮簀媛命の勧請と伝えられています。祭神は天火明命など五神です。1525(大永元)年に火災に遭ってしまうのですが、尾張守護欺波氏が再興しています。その後尾張藩祖義直、そして二代藩主光友の崇敬が厚く、社殿の修築などが行われています。疫病除けの神様として昔から信仰を集めています。一部テレビ番組で心霊スポットとして取り上げられたことがありましたが、そんな雰囲気は全くありませんでした。東谷山を見ながら周辺を車で頻繁に走ってはいるのですが、2000年近くの歴史を持つ神社が山頂にあるとは全く知りませんでした。これぞ徒歩の醍醐味です。
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▲中央を流れるのが庄内川。右が春日井市、左が守山区。画像 ▲瀬戸市方向。三国山や猿投山まで一望できます。画像 ▲山頂にある尾張戸神社も古墳の上にあります。

 すると神社の前にはゴミの投げ捨てを警告する看板が。見ると「瀬戸市長・瀬戸警察署長・岡崎営林署長」とあります。そうです。ここで名古屋市は終わりです。山頂の東側は瀬戸市です。すると南方向に「東谷山フルーツパーク750メートル」という看板があるので下ります。足元をガサガサとミミズが歩いていきます。ビクっとしながら少し歩くと、中社古墳があります。
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▲南方向、フルーツパーク方面へと散策路を下ります。画像 ▲古墳の上に小さなお社がある中社古墳。

 中社古墳は「典型的な丘尾切断型の古式な形態の前方後円墳」と説明があります。人の頭ほどの大きさの葺石が周囲に配置され、全長60メートル、後円部径30メートル高さ6メートル、前方部長さ30メートルの規模です。江戸時代に後円部が一部崩壊し、そこで筒型の銅製品が採取されたという記録が残っています。4世紀末頃作られたもので、山麓の白鳥塚古墳と同時期と考えられています。古墳の上には小さなお社がありました。まだまだ古墳は続きます。
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▲急な階段なので下るのも大変。

 中社古墳の南側には南社古墳があります。直径約30メートルの古式の古墳で、現在は高さ2メートルほどになっています。この古墳は未だ調査が行われておらず、築造時期などは不明となっています。5世紀代と考えられてはいるとのことですが、調査を待ちたいところです。というか調査する気あるの?
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▲調査が行われていない南社古墳。画像 ▲南社古墳の上からは瀬戸市方面が見渡せます。

 さて、このあたりにはニホンリスやムササビ、さらにはニホンカモシカまでもが生息しているとのこと。この日は遭遇することはできませんでしたが、こんなに豊かな大自然が名古屋市内であることに驚きです。
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▲ニホンカモシカやリス、ムササビが暮らす東谷山。ここも「名古屋市」です。

 かつては名古屋のチベットと揶揄された守山区にも、今急激に宅地化、都市化の波が訪れています。この東谷山自体の環境が急変するとは思えませんが、意識的に環境を守る気持ちを持つことが必要だと思います。生ゴミをエサとして山に生息するカラスが、子リスを食べてしまうという事例も報告されているのだとか。リス、ムササビ、ニホンカモシカの暮らす名古屋市でいつまでもあり続けて欲しいものです。
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 散策路を下山して東谷山フルーツパークにたどり着き、守山区散策は終了です。
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