- サル類動物園は世界的に珍しい存在
- モンパくんでイメージ統一
- モノレールはすっかり遺物に…
ここ最近名古屋では、動物園からサルが逃げたり、野生のサルが都心にやってきたりと、サルのニュースが相次いでいますね。それで思い出したわけではありませんが、数ヶ月前に行きました、犬山市の日本モンキーパークをレポートしたいと思います。
名古屋っ子にとっては馴染み深いといいますか、もうそこにあって当たり前で、冬になれば焚き火にあたるサルの姿でおなじみの施設ですが、実は世界的に見て珍しい存在なのだそうで。ここ最近は行動展示なども取り入れていて、かなり近くで見る子ともでき、また、運営が名鉄本体から子会社に移管されたことから、イメージ一新で頑張っている様子も伺えます。
ただ…終了してしまったアレが寂しさを醸し出していますが…。
遊園地と動物園の合体施設なんです
日本モンキーパークは、かつて「犬山ラインパーク」という名称で1960(S35)年に開業しており、遊園地やプールからなる遊戯施設と、財団法人日本モンキーセンターが運営する世界サル類動物園で構成されています。入園料は共通で、自由に行き来することができます。以前は名鉄本体が運営を行っていたのですが、2003(H15)年に分社化され、現在は子会社の「名鉄インプレス」の運営となっています。
私は東尾張で育っているので、遠足で訪れたという記憶は無いのですが、この犬山市のすぐ北側に住んでいる相方は、何度も遠足で訪れているため、もはや勝手知ったる庭のようなものだと豪語しています。私の場合はそれが愛知青少年公園だったのですが、モリコロパークとなり幼少の頃の記憶は通用しなくなってしまいました。
しかし、モンキーパークは分社化された頃からイメージを一新しており、遊園地部分はジャンルごとに「恋する楽園モンパティ」「プレジャーランド」「水の楽園モンプル」「遊びの楽園モンパラ」とそれぞれ名付けられわかりやすくなっています。
モンパくんでイメージ統一
イメージ一新の中心となっているのが、2006(H18)年に登場したイメージキャラクター「モンパくん」と「モンピーちゃん」。
遊園地の施設的には、日本一のスピード…だとか、世界で唯一の…といった、特筆すべきものはありませんが、お子さんと普通にレジャーとして楽しむには充分だと思います。
たぶん、ほとんどの施設はモンパくん登場前からあるものばかりなのでしょうけど、「モンパ君のお化け屋敷」「モンパのサーカスパイロット」「モンピーのふわふわハングライダー」など、ちゃんとそれぞれにモンパくんたちのイラストが配されていて、おかげであまり古さを感じさせないというだけでなく、「おサルの遊園地」というイメージ付けがしっかりしています。たださすがに「アンパンマンハッピースカイ」でモンパくんとアンパンマンが共演!といった感じの暴挙には出ていませんが。
ああ…すっかり遺物に…
私たちは子ども同伴というわけではないので、遊園地はさらっと見る程度にして、動物園方面へと向かいます。ただ、「恋する楽園」と「遊びの楽園」に別れているところをみると、実は前者はカップル向け…なのかな。カップルで「ごきげんアンパンマン」「ぷかぷかドルフィン」というのもアリ…か…。
遊びの楽園モンパラを越えると、かつてここを走っていた「名鉄モンキーパーク・モノレール線」の「動物園駅」跡があります。トッピーネットでは運行していた当時にモノレールをレポートしていますので、興味のある方は「元祖!跨座式モノレール!でもサヨナラ…モンキーパーク」をお読みいただきたいと思います。
現在もどうするわけでもなく、駅は当時のままの状態となっていて、車両もそのまま放置といいますか、良く言えば「展示」されています。運行当時はシルバーの車両と、動物のイラストが描かれた車両があったのですが、ここにあるのはシルバーのものです。
動物のイラストが描かれた車両は、可児市の温泉施設「湯の華アイランド」で展示されているそうですが、すっかり湯の華ペインティングがなされていて、当時の面影は全く無いようです。うーん。だとすると、何を意図して温泉施設に独自ペイントで廃止されたモノレールの車両を展示しているのか、狙いがわからない…。
駅はホーム側だけでなく、改札側も当時のままとなっていて、券売所のあったところには「モノレールは終了いたしました」というシャッターが降りています。これってたぶん、運行当時に「(本日の)モノレールは終了いたしました」という意味で書いたものなのでしょうけど、今では「モノレールは(永遠に)終了いたしました」に意味が変わっています。
いくら営業中の遊園地のなかにあっても、やはりこういう事実上廃墟な施設には、独特な空気が漂います。何といいますか、生気が無いといいますか…。建物というのは、その存在意義がなくなると、どこにあろうが「廃墟」になるということがよくわかります。
ちょっと大人の…!?
では続いて、動物園エリア「世界サル類動物園・日本モンキーセンター」へ。
さっそく左手にはテナガザルたちがお出迎え、そこでちょっと気になったのが、右手の「わくわく動物村」。ウサギひろばなどがあって、「ウサギや大きなリクガメなど、さまざまな動物たちとふれあえるよ!」という子どもたちウェルカムな文言の横に、どう見ても不釣合いな看板が。
「付属ちょっと大人のキモカワ動物園」
わくわくに付属で大人のキモカワ…。
入口にはその「わくわく」と「キモカワ」の紹介写真が混在していて、かわいいモルモットの写真の横に「世界最大!ふれあいできます!マダガスカルオオゴキブリ!キモイ!気持ちイイ~!実はカワイイ~!?」とあります。これは勇気がいりそう…。
「ほら、だいじょうぶだね。大人もチャレンジしましょう。」ともあります。カワイさを追求したわくわく動物村とキモカワを混在させているところにセンスを感じましたね。いや、写真を見た限りですけど、世界最大のオオゴキブリ…こ、今度はチャレンジしてみようかな…。
誰がデンジャラスなんだろう
続いては、サルたちが頭上を行きかう「デンジャラスゾーン」があります。いわゆる最近流行の行動展示というところですね。もちろん檻も柵もありません。当然これって、サルたちが上から落ちる危険性なんてありませんから、デンジャラスの意味するものって、見物客側のことですよね?一体どんなデンジャラスな事態が発生することがあるのか…気になります。
そしてその先には、ヤクニホンザルたちがいるモンキーバレイがあります。毎年焚き火に集まるサルたちの映像が流れますが、それはここですよね。
私たちは昔からこういったサル山を見ることに飽きないといいますか、悲喜こもごものサル社会を見ているといろいろなことを考えさせられますね。上下関係に子育て…他人事には思えない…なんてことを考えてると、全然楽しくなくなってしまいますね。
毛づくろいをしている姿を見るとほのぼのしますけど、やっぱり、エサを巡ってケンカとか、こっちがドキドキしちゃいますよね。サルにとってはこっちの方がデンジャラスゾーンかも?でも、そんなことを言ったら、人間なんて常にデンジャラスゾーンで暮らしているようなものですね。気を抜けば下の格差に転落…怖いよぉ。
もっと間近にサルを体感
デンジャラスゾーンと繋がっているのですが、周囲を水に囲まれた「リスザルの島」は、まさにサルたちのいる島にお邪魔させていただくという感じです。すぐ目の前で、リスザルが青いコンテナケースに入ったリンゴなどを食べています。
まさにサルを体感!という感じなんですけど、この青いコンテナケースが写真栄えしないといいますか、もう少し木目調とかだといいのにな…と、いや別に、写真に収められることがここの目的ではないことはわかっているんですけどね。なんとなく。
続いて、ヒヒの城、ミュージアムのあるビジターセンターを見て、その先にあるのが「waoランド」です。その名の通り「ワオキツネザル」たちがいる場所で、こちらもワオキツネザルたちが生活している空間に、人間が入っていく格好になっています。
背中に子どもを乗せていたりととってもカワイイ。日食のときには、サルたちの行動に異変があるのでは!?と、注目されましたが、何も動じずだったそうです。
そりゃそうかも…。私たちが「カワイイなぁ」と言いながら、走りまわっているサルたちを見ている足元で、「フゥー」と座り込んでいる奴がいました。あまりの落ち着きぶりに全然気が付かなかったよ。だよね。ファンサービスも疲れちゃうよね?
怒らせてゴメンね
その先には、アジア館、南米館、アフリカセンターと、各地域に生息するサル類たちがたくさんいるのですが、そのなかで私たちが気になったのは、ニシローランドゴリラの「タロウさん」。
タロウさんは、檻の外側、つまり人間が見る側に背中を向けてもたれていたのですが、私たちが近づくと奥のほうへと行ってしまうのです。その時は、「人間が嫌いなのかな?」と思った程度だったのですが、一周して再びタロウさんのところに戻ってくると、他の人たちが見ているにもかかわらず、また柵にもたれているではありませんか。
お!と思って、横顔を写真に撮りたいな…と、私たちが近づくと再び奥へと行ってしまうのです。なぜ?と思って、ちょっと離れて観察していると、やっぱりまた柵にもたれているではありませんか。しかも、他の人が来ても動きません。
よし今度こそ!と思い、再び私たちが近づくと、やっぱり奥へと歩いていってしま…と思ったらなんと今度は、私たちに向かって殴りかかってくる素振りを見せるではありませんが。その拳は柵に当たって「ゴーン」と音が鳴り響きます。
な…なぜ…。
タロウさんは、午後3時からエサやりの公開があるとのことで、同時刻開催だったモンパくんのグリーティングはあきらめて、再び3時タロウさんのところにやってきました。エサやりは室内で行われるのですが、やっぱり私たちのことを敵視していて、他の観客には何もしないのに、私たちの方向に向かってガラスに殴りかかってきます。
な、なぜなんだ…。
あまりにもタロウさんの動きが露骨だったので、係員の方に聞いてみました。すると…。
ここにはかつてメスのゴリラ「ハナコ」さん(推定42歳)がいて、「タロウ」(35歳)と19年にわたって仲よくしていたとのこと、しかし今年2月に突然病死。タロウは一人ぼっちになってしまい、それ以来、人間のカップルを見ると攻撃的になってしまうようになったのだそうです。
そうとは知らず、怒らせてしまってゴメンね。でもやっぱり、またモンキーパークにやってきたら、タロウさんに釘付けになってしまいそう。チラっと横目でこっちを見る姿が、とてもカワイかったなぁ。
次のお嫁さんがくるといいね。いや、ちょっと待てよ…、タロウさんって実年齢で35歳なんですね。人間に換算してとかじゃなくて、本当に年上なんだ…あ…カワイイなんて言ってすみませんでした…。
※日本モンキーパークと日本モンキーセンターは別の施設となりました
コメント