幻の未確認動物(UMA)のひとつである「つちのこ」。
岐阜県東白川村では20人以上の目撃者がいて、かつてつちのこの死体を葬ったと伝えられる墓の土を祭った「つちのこ神社」があり、毎年「つちのこフェスタ」と称して捕獲イベントがある…というお話を前回しました。ちょこっと探してみましたが、うっすら雪が残るこんな冬場に見つかるわけも無く、断念。でもせっかくここまで来たのですから、つちのこのイメージを掴みたい。
そこで東白川村にある、世界で唯一と言われているつちのこの資料館「つちのこ館」へと向かうことにします。そこで、東白川村がとても独特な村であることも知ります。
つちのこに村は賭けています
東白川村の中心部から、県道を少し白川町側へと戻ったところに「つちのこ館」はあります。専用のバス停があるほどで、建物には青と緑のデフォルメされたつちのこたちがディスプレイされています。かつてはおどろおどろしい、リアルな質感のイラストだったようですが、やはりつちのこをフレンドリーな存在にしたいのか、カワイらしいものに差し替えたようです。
ちなみに、このつちのこ館を運営しているのは、東白川村の第3セクターである株式会社ふるさと企画。合併もせずに単独で残って行くには、つちのこに賭けるしかない!という思いが伝わってきます。
一見、特産品販売所のようですが…
つちのこ館に入ると、お店の方が甘酒を無料でサービスしてくださいました。このつちのこ館では、コーヒーや食事などが提供されているほか、地元の特産品がずらりと並べられています。もちろん、つちのこグッズもいっぱい。
東濃檜を使った、つちのこの形をイメージしたハガキ(定形外)や、つちのこクッキー、つちのこのストラップなどなど。このストラップ、陶器でできているのですが、目といいウロコといい妙にリアルでなかなか味があります。胴体にはロープが巻かれていて、捕獲されたつちのこになっています。果たしてその日は来るのか?
つちのこブームに火がついた
あれ?資料館は?と思っていると、それは2階にあるとのこと。お店の方に300円の入館料を渡しますと、「こちらを差し上げますのでお使いください」と言って、小さなペンライトを渡されました。押すと赤く光る小さなキーホルダータイプのペンライトです。なぜ資料館でペンライト?と思ったのですが、それには理由がありました。
2階に上がると、まずは「東白川村つちのこ資料コーナー」。この村での目撃例や、つちのこの特徴などが、つちのこ館館長の見事な手書き文字でパネル展示されています。
なかでも注目すべきは、1988(S63)年の11月に目撃したという今井さんの目撃観察ドキュメント再現写真です。しばらく見ていたものの「つちのこ」だとは知らず、そのまま見逃してしまい、つちのこだと聞かされてから、何度も同じ場所を探すも二度と見ることは無かったそうです。
この目撃談は村の広報に掲載され、つちのこブームの火付け役となったとのこと。
つちのこ目撃者サミット開催
しかし世間では、何かを飲み込んだヘビではないかとささやかれ、村の「槌の子探そう会」が中心となって、他にもつちのこの捕獲作戦を実施している、奈良県下北山村、広島県上下町(現府中市)、兵庫県美方町(現香美町)とともに、ツチノコ研究家も招いて「ツチノコ目撃者サミット」を開催します。
結果、日本蛇族研究所の先生によって、ヘビの誤認説はあり得ないということが学術的に証明されることとなります。
しかもつちのこは、円形になってタイヤのようにグルングルン猛スピードで回ったり、2メートル以上もジャンプするとのことで、実際に遭遇したらかなり捕獲は難しいものと思われます。だからこそ、これまで捕獲例が無いのかもしれません。
他にも、様々な文献資料や、捕獲道具の実物なども展示されています。矢口高雄先生の「幻の怪蛇バチヘビ」という作品が印象に残ります。また、目撃談の新聞記事もたくさんありましたが、見ていると、どうやら平成元年からしばらくはつちのこブームがあったみたいですね。
ペンライトはここで使う!
「つちのこの知識をいっぱい詰め込んだら、さあーつちのこ探索に出発です!」という看板があり、その先には部屋の入口みたいな扉があり「つちのこ体験室」と書かれています。扉を開けると、時々フラッシュのように光るものの、基本的には真っ暗。しかも草木が覆い茂る空間が再現されています。
ちょ、ちょっと怖いんですけど。
4年前に東京ジョイポリスでめちゃくちゃ怖い「スカイハイ」のアトラクションを体験してからというもの、私たちはこういう類のものが苦手なんです…。
つちのこ体験室は結構リアル
おそるおそる入ると、あちこちにつちのこの模型が置かれているのですが、全てケースの中にいるので、実際に触ることはできないのですが、これが動くんです。
目撃者によって伝えられた動きを再現していて、目が赤く光ったり、すばやく動いたりします。モーター音のようなものが若干気になりますが、なるほど、こうやって見ると、つちのこがどういうものなのかということが良くわかります。
赤いペンライトで照らすと、さらに怖いです。これは一種の演出ですね。でも、こんなのと実際に遭遇しても、生け捕りは難しいですよね。捕まえるぞ!と用意をしてれば、まだ心構えも出来るかもしれませんが、いきなり遭遇して捕まえる勇気は私にはありません。
体験館には、つちのこはいくつもいるのですが、最後の1匹はしばらくじっと見ていたほうがいいです。他のと同じように素早く前後に動いているだけのように見せかけて、たまに「ぐおー」と起き上がります。
ますます、捕まえるのなんて無理無理。
実物を見なくて良かった…かも
つちのこ資料館を出て、お店の方にお話を伺います。
今でこそ、賞金をかけてつちのこ捜索のイベントを行ったり、こういった展示をしているものの、かつて村では、つちのこはどちらかというと縁起の悪い存在だったとのこと。つちのこを見かけること自体も良いことではなく、さらには、見たということを人に話すのも縁起が悪く、かつて見かけた人のなかには、「変なものを見た」と人に話した後、しばらく寝込んでしまった人もいたそうです。
いやー、本物のつちのこを見なくて良かった…。縁起が悪いというのもありますけど、だって、もし見かけたとしても捕まえる自信もありませんし…。ちなみに、追いかけると逆襲し、犬を食い殺した例もあるとのことなので、捜索する際にはお気をつけください。
さて、この東白川村にはもう一つ興味深い特徴があります。それは、この村にはお寺がひとつも無いということです。ヘビといえば神の使い。まさか、そんな…。
次回は、なぜ東白川村にはお寺が無いのか、に迫ります。
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