新箱根(岡崎市)
「箱根」といえば、神奈川県と静岡県の境にある観光地で、東京から多くの人が訪れる温泉街です。そんな箱根が名古屋の近くにもあるのです。「いやいや、箱根は地名であって、他にもあるとかそういう性質のものではないでしょう…。」というご意見もあるかもしれません。でもあるんです、名古屋の近くに箱根が。しかしそれは本家とは違い、風情が違うだけではなく、なぜか精神力や判断力を必要とする場所となっています。
その場所の名は「新箱根」。しかし、新箱根という地名が存在するわけではなく、観光ガイドや地図にも一切載っていません。新箱根とは一体…。
「新箱根」とはどこにあるのか
まずは新箱根の位置をご説明しましょう。国道1号線を名古屋から豊橋方面へと走ります。岡崎市の中心部を抜け、並走する名鉄名古屋本線の本宿駅を越えたところで国道473号線へと右折すると新箱根へと行くことができます。この道路は国道1号線から蒲郡市街へと抜けることができる唯一の無料道路です。
すぐ近くには音羽蒲郡インターと蒲郡市街を結ぶ有料道路、音羽蒲郡有料道路(通称三河湾オレンジロード)があるのですが、250円かかるために、この国道473号は抜け道として多くの車が利用しています。しかし、その交通量の割りにこの道路は険しく、強靭な精神力を要します。
三河湾オレンジロードは無料化されました
国道1号線と国道473号線が交わる交差点には、国道473号方面に「蒲郡」という表記がされています。しかし、つい数年前までこの表示は「新箱根」となっていました。
蒲郡という表記をしてしまうと、有料道路を使わずとも蒲郡に行けることが大っぴらになってしまうために新箱根という表記にしていたのか、それとも、地名というわけでもない「新箱根」を行き先表示として掲げる意味が無くなってしまったからなのか、理由はわかりませんがとにかく行き先表示から新箱根という表示は消されてしまいました。
現在は交差点名に「新箱根入口」と残っているのみになっています。再三申し上げていますとおり、新箱根は地名ではないため、この信号機以外でその文字を見ることは困難を極めます。
国道473号線を進むと警告が…
国道473号線を南へと走ります。最初は片側1車線が確保されており走りやすいのですが、とてもこの先に箱根っぽい観光地があるような雰囲気はありません。しかし、道路が細くなり「鉢地峠道」という標識が現れるあたりから様子が変わります。「この先路面不良・通行注意してください」という看板や「この先落石注意」といった警告表示が連続します。
路肩は無くなりすれ違うのがちょっと怖くなります。しかしそんな道にもかかわらず、有料道路を通るのがもったいないからか、大型車両がビュンビュン走っていきます。
どう見てもすれ違えないトンネル
この道路を走ることの何に強靭な精神力が必要なのかといいますと、それはこの先のトンネルです。「鉢地坂トンネル」。このトンネル、細いんです。なのに500メートル弱と長く、タイミングを図るのが大変なのです。大型車が来ようものならすれ違うことなど不可能です。
もちろんトラックはバックなんかしてくれるはずもありませんから、トンネルに入る際、ダッシュで抜けられるか見極める力が必要となるのです。そして思い切って走り抜ける精神力も。
ちなみに、この道路が開通したのは1934(S9)年のことで、ここから見る蒲郡の景色が箱根に似ているという理由で「新箱根観光道路」と名づけられたことが「新箱根」と呼ばれる理由となっています。当時は観光バスも走っていたとのことです。
現在は観光地とは言えませんが、現在も観光地であった面影は残っています。実際、それを目的に多くの人が訪れています。岡崎市側から走っていくと、道路沿いに天守閣のようなものが登場しました。いよいよ観光地の登場でしょうか。ところがこちらも、判断力が必要となるのです。
新箱根の実態はラブホテル街
実は現在の新箱根は、ラブホテル街となっています。と言いましても、いわゆる国道沿いやインター近くにあるようなラブホテルではなく、昔ながらの連れ込み旅館を彷彿とさせる、間違っても横文字ではなく、日本語のホテルばかりが立ち並ぶエリアとなっています。お城のように見えたのは「竹千代」。
新箱根で1位、2位を争う人気のホテルです。ワンガレージ式で、部屋の名前も「松」「竹」「楓」「本丸」「二の丸」など純和風。料金は休憩3,000円台ととてもリーズナブル。しかしそれで驚いてはいけません。
その先には竹千代と人気を二分するとも言われる「夕月」。なんとこの日は満室御礼の看板が立てられていました。こんな山奥に来る人がいるのかと思いきや、隠れ家的な雰囲気が良いのか、意外と人気があるのです。いや、隠れ家的といいますか、実際バレては絶対に困るような、隠れなければならない関係の人たちが来ているような気がしないでもないですが。
タイムスリップ感ハンパ無いラブホ
このように、ラブホテルがかなりの数立ち並んでいる新箱根。ラブホテルの名前でご想像いただけると思いますが、どれもかなり年季の入ったものばかりですので、それなりに覚悟は必要かと思います。いつかはラブホテルの内部レポートをしてみたいと思いますが、現状では相方の了解が取れていません…。
そうそう、この新箱根のラブホテル街で何の判断力が必要なのかといいますと、ホテルの看板が立っているにもかかわらず、いざ道路を曲がってみると廃墟だったりすることがあるのです。確かにこのエリアでこのホテルの数では、競争は激化しているのでしょう。
なかには2,000円台の看板を出している店も。しかも道路は細いですから、Uターンは困難を極めます。ラブホテルの看板を見て、そのホテルが営業しているのかどうか、彼女が文句を言わないレベルのホテルかどうか、瞬時に見分ける能力が必要となります。
付き合い始めの若いカップルにはちょっとオススメはできませんが、普通のラブホテルには飽きてきたですとか、昭和テイストなラブホテルを体験したい方、そして何より、知られてはマズい関係のカップルにはオススメのエリア、それが新箱根です。
※竹千代は閉鎖されました
コメント
爆笑しながら拝見させてもらいました。これからも、期待しています。
この新箱根で深夜バイクで通行していたところ、竹千代ホテルを過ぎた辺りにあるガードレール脇で幽霊を目撃し怖い思いをしました。その奥にはお墓があり、首吊り自殺もあったそうです。
(2007/01/21 7:40 AM)
>makoto.nさま こんにちは
記事に興味をお持ちいただきありがとうございます。バイクで深夜にあそこを通るのは、いろいろな意味で怖そうですね~。私は霊感がありませんので、たぶん幽霊を見ることはできませんが、見えたら本当に怖いでしょうね…。これからもよろしくお願いいたします。
(2007/01/21 4:47 PM)
もう、25年位名古屋の神宮前に住んでいますが、新箱根とは、つゆ、知らず、眼から鱗が出ました。かつて、本郷(名古屋の)に、住いし頃、東海日産の、波止場に通っていました。東名で岡崎まで、この国道使ってました。なつかしい。
(2007/02/09 9:22 PM)
>camelさま こんばんは
新箱根は地名にはなっていませんから、あまり一般的にはそう呼ばれないでしょうね…。鉢地峠と言った方が通じるかもしれませんね。
(2007/02/12 1:26 AM)
トッピーさんご無沙汰
昭和の時代は、若者もイキましたよ新箱根。
というより、三河でラブホテル街(?)っていったら、あそこと豊橋の多米でしたから
(2007/02/12 6:03 PM)
>柴田晴廣さん こんばんは
お久しぶりです。
やっぱり新箱根は由緒あるラブホテル街なのですね。最近はラブホテルも競争が激しくなっているみたいですけど、新箱根は昭和路線でそのまま残ってほしいですね。
(2007/02/14 8:51 PM)
大変楽しく(懐かしく)見させていただきました。
15年くらい前は毎週夕月さんのお世話になっていました。
その当時でもR23ni比べて安かったものです。
(2007/07/27 5:43 PM)
>洋さま はじめまして こんにちは
私がこのホテル街を知ったのが10数年前のことで、当時はいろんな意味で入ることができなかったのですけど、やはり当時から安かったのですね。通りがかると見ますけど、夕月さんはいつも満室のようで、新箱根人気No1みたいですね。
(2007/07/28 4:26 PM)
久しぶりに新箱根を走り閉めてしまったホテルが多く時代の波を感じました。
相方に当時一度しか入ったことの無い竹千代を誘うと快諾を得たので入ると、偶然にも10数年前と同じ部屋でビックリするやら、懐かしいやらでした。
夕月はやはり満室でした・・・(6部屋位しかありませんから)
おじさんのつぶやき失礼しました。
(2007/08/03 1:12 AM)
>洋さま こんにちは
ですよね、結構閉まってるホテルが多いですよね。竹千代は自動車を1階に停めたはずなのに、そこから階段を下って部屋に行くのが何とも…しかもその階段も何とも独特の感じで、時代を感じるといいますか、異世界への階段と言いますか…という感じですよね。
(2007/08/13 5:13)
先日、彼女とドライブ中に「新箱根」を通りました。オレンジロードを曲がりそこねたので、「このあたりを曲がれば」と適当に入ったのですが^^:「なんでんなとこに妙に安いラブホ群が?」と思ったところ彼女が「ここ、新は箱根よ。だれかのブログで紹介されてたわ」と。・・で探しあてました^^ あのトンネルはすれ違いが怖かったですね
わたしは興味深々なのですが、彼女は「無料でも怖そうだから嫌!」^^: 幽霊を見たとのコメントで、よけいに思いを強くしたようですよ^^:
(2007/08/14 10:15 AM)
>ナイト ウィングスさま こんばんは
探していただきありがとうございます。男としてはやっぱり興味が湧きますよね。ウチの相方の場合は、怖いというよりも綺麗かどうかの心配をしてましたね。まあ、そのあたりは大丈夫だと思うのですが、古いことは古いでしょうから、女の子にとってはやはりそれなりに覚悟が必要なのかもしれませんね。ぜひ説得なさって一度行かれてみて感想を聞かせてください…。
(2007/08/17 1:47 AM)
今頃だけど、2008年の夏に自転車でサイクリングをしてたとき、この峠を通りました。
蒲郡方面に行ってトンネルを過ぎた後右カーブでガードレールに接触!転落しそうになりました。
気づいたらぶつかってたという出来事だったので、何がなんだかわかりませんでした。速度は控えめで、昼間でちゃんと前見て走ってたんだけどな~
幽霊と関係あるのかな~?
(2009/04/07 4:30 PM)
>かめさま はじめまして こんばんは
そ、それは大変でしたね…。何かの力でガードレールにひっぱられたということでしょうか。無事でよかったですね。
私は感じませんでしたけど、霊感の強い人は気を付けたほうがいいかもしれませんね…。まあそれに、カーブが急なことは間違い無いですしね…。
(2009/04/08 10:02 PM)
masaです。
遅ればせながら、私にもコメントさせてください。
イラストマップ国道473の北端にある東名高速の
ガード下をくぐったところに私の家があります。
ずいぶん昔のことですが、高校3年の夏休み、
蒲郡の図書館めざし毎日自転車で新箱根を越えてました。
ラブホテルを横目にやり過ごし受験勉強です(笑)。
昭和初期、外貨獲得のため政府が国際観光ホテルの建設を進めたことがあります。
第1回の指定ホテルに全国4ホテルの一つとして選ばれたのが
蒲郡ホテル(現蒲郡プリンスホテル)。
蒲郡は当時有数の観光地として賑わったようです。
愛電自動車(現名鉄)が新箱根線という、峠を越える路線バスを走らせました。
今はもう姿を消しましたが、当時は観光への期待が大きかったんでしょうね。
ところで掲載地図に山綱町の地名がありますね。
同町には「女郎買道」「恋ノ口」といった地名が今でも残っています。
旧東海道の藤川宿はすぐ近く。
かつて元気な若者が峠を越え恋を求めてやってきた名残りのようです。
>masaさま こんばんは
そういうお話を伺いますと、
蒲郡がかつて、いかに注目を集めた観光地であったかが、
わかりますね。
もちろん今でも、蒲郡プリンスホテルの格式の高さは、
とてもとても気軽に立ち入れる雰囲気ではありませんし、
当時の面影を残していると言えるのでしょうね。
峠を越えて恋を求めて…ですか、
新箱根の歴史は相当古いものがあるんですね。
蒲郡観光、ちょうど来月、
1泊で蒲郡に行こうと思っています。
今の蒲郡を存分に満喫したいと思います。
masaです。
来月、蒲郡観光ですか。
それなら、ぜひ海辺の文学記念館に立ち寄ることをお勧めします。
http://www.city.gamagori.aichi.jp/sangyo/kanko/bungakukan/
なかなか味わい深いですよ。
蒲プリのコーヒーラウンジも、僕の行きつけです。
コーヒーが1000円ですが、
三河湾を見下ろし、天気がよければ遠く渥美半島が遠望できます。
>masaさま こんにちは
情報ありがとうございます。
海辺の文学記念館、外観から趣がありますね。
コーヒー1,000円ですか…でもやっぱり、
老舗の蒲プリですものね。一度は行ってみたいかな…。
このサイトに触発され、相方と竹千代いってきました。
暖房はきくし、コタツはあるし、おばちゃんがドリンク2本くれるし、週末で4000円8時~翌朝10時宿泊ってのも嬉しい!
ゆっくり落ち着けて、部屋もきれいなのでお勧めですね
少し古い感じがするのと、さすがに最新のホテルに施設は負けますが、多くを求めすぎなければ必要十分すぎます。
思ったよりも綺麗だったので拍子抜けしました。
和室2室で、ベッドルームは布団ではなくきちんとしたキングサイズのベッドです。
ゴムはありませんでしたし、自販機も故障しているのはご愛嬌ですが。
タオル2つ、歯ブラシなど必要最低限のものはそろっているので、困ることは無いでしょう。出前も取れるみたいです。(少し高め)
色々買い込んでいけば一晩じっくり楽しめそうです。
どうせなら朝12時くらいまでやってくれたらいいんですが~
>れさま こんにちは
この記事をご覧になって行かれたとのことで、
とても嬉しく思います!ありがとうございます。
竹千代に行かれたのですね。
自分も竹千代は休憩で利用したことがありますけど、
なかは意外とと言ったら失礼ですが、
ちゃんとしてますよね。
確かに、自販機は故障してた記憶があります(笑)
古ささえ割り切れば、使い勝手はいいですよね。
詳細なレポートありがとうございます。
ここで幽霊を目撃したわけではないですが、少し怖い体験をしました。
10年ほど前ですが、大学の友人が蒲郡の友だちの家に行くというので岡崎方面からここを使って車で送って行きました。
真夜中だったので、以前にに新箱根で体験した話をしながら向かっていました。
ちょうどトンネルに差し掛かる手前でトンネルの入り口を上から光が差しているのを確認しました。しかし、トンネルの前に来たら光はなく、街灯らしきものもありませんでした。
速度を落として友人に今ここに光があった!と言いましたが友人は見てないから信じないといいました。
そしてトンネル内に入った瞬間オーディオから流れる音楽がピタッと止まりました。
一時停止を押したわけでもないのにやばいなこれはと思って途端、友人が悲鳴を上げました。
話によると運転席側に人がいたとの事。僕はオーディオを見ていたのでそれは見れず急いでトンネルから出ました。
すると音楽が流れ始め急いで峠を抜けました。
それ以来、新箱根は通ってないですがふと思い出し書き込みをさせていただきました。
駄文、長文失礼いたしました。
>もじゃさま コメントありがとうございます
あのトンネルは、普通に通るだけでも怖いものですが、
そんなことがあったら本当に驚いてしまいそうです…。
並行する有料道路が無料になったことから、
今後は新箱根のほうは交通量が減ると思いますので、
またトンネルの表情が変わるかもしれませんね…。
うろ覚えで申し訳ないですが。
10年ほど前に相方と新箱根にある「四海波」?
↑
名前がうろ覚えです^^;
に入りました。
中が土足、というかスリッパで移動して、一段上がっての居間、トイレとお風呂に行くのもスリッパで土足的な道でした。
寝室が階段を上り二階部分という、とてもゴージャス?な造りでした。
寝室の内装はお城の天守閣みたいな造りで、期待以上の回転ベッドでした。
どの部屋も結構素敵で、きれいだったのをよく覚えています。お風呂がちょっと寒かったっけ・・・。
もうつぶれちゃったかもしれないですが、今一度行ってみたいと相方とよく話に出ます、無くなってないといいな。
印象に深く根付いていたので、つい書き込みしてしまいました。
>こんさま コメントありがとうございます
ホテル名がちょっとわかりませんが、
行かれたんですね~。
内装が天守閣で寝室が2階って豪華ですね~。
そして回転ベッドというところがまた味がありますね。
ただ、新箱根のホテルは最近、
閉めるところも増えていると聞きますので、
ちょっと寂しいですね…。
貴重なお話ありがとうございます。
つい最近岡崎から蒲郡に帰る際にこの道を自転車で通りました。入口に差し掛かったのが夜の8時くらいであたりは真っ暗。。。ホテルも古びた感じ(中は良いとの評価ですが)ですし、今はオレンジロードが無料になったため車通りも殆どなくとても怖かったです><
ただこのサイトの心霊現象体験談を読む前だったのがせめてもの救いでした笑
もう夜に自転車では通りたくないです。。
>イッセーさま コメントありがとうございます
やっぱり、オレンジロードが無料になったことで、
交通量は激減してるのですね…。
夜に自転車は怖いですよね…さすがに…。
23年前ほどによく行っていました、夕月も一度行きました、懐かしい。
>名無しのオジサンさま コメントありがとうございます。
よく行かれてたんですかー!当時はもっと活気があったのでしょうね…。