バスは坂道をどんどん登ります。景色は次第に荒々しくなっていきます。山に見える白い部分は残雪ではなく、氷河です。
コロンビア大氷原は、カナディアンロッキーのなかで最も重要な観光ポイントであると、どのガイドブックにも書いてあります。今回のツアーでは、このコロンビア大氷原見学はオプショナルプランだったのですが、全員が参加を希望しました。ガイドさんの運転追い上げが実を結んだのか、どうやら間に合ったようです。
アイスフィールドセンター
バスは午後1時15分、アイスフィールドセンター(Icefield Center)に到着です。すると雪が舞いだしました。それほど気温は低く無いのですが、もし重ね着していなかったら辛かったと思います。
▲アイスフィールドセンター。もちろんトイレは必須。
ここから氷原の入口へは、一般車が乗り入れることはできません。ブリュースター・コロンビア・アイスフィールド・スノーコーチツアーズという会社の連絡バスに乗ります。バスに乗ると、前の席には既に他の日本人ツアーの人達が座っていました。我々はバスの後方に乗ります。ガイドさんも専門の人にバトンタッチです。そのガイドさんは日本人です。
▲このバスに乗り合いで出発します。
▲クネクネ曲がっている道路に、今から向かいます。
アサバスカ氷河
「こんにちは。今日は日本人のみなさんと、後ろの韓国人の皆様をご案内します。行きは日本語、帰りは英語で説明します。」
やはり、我々のツアーは韓国の旅行会社ということもあって、韓国人ということになっています。しかし、ここで嬉しかったのはそのガイドさんが日本人であり、なおかつ参加者の半分は日本人であったため解説が日本語だったのです。ですので、この氷原については細かいことまでわかりました。
▲見えてきました、これがアサバスカ氷河。
コロンビア大氷原は、北極を除いて最大規模を誇り、6つの氷河が流れ出ています。そこから水は太平洋、大西洋、そして北極海へと流れています。その面積はバンクーバーがすっぽりと入ってしまう大きさで、名古屋市とほぼ同じです。
ここで名古屋市という例えが出てきたのは嬉しかったのですが、多分他の参加者は名古屋市の面積と言われてもピンと来ないでしょうね。今回訪れるのは、その6つの氷河のひとつアサバスカ氷河です。アサバスカ氷河は全長6km、幅は約 1kmです。氷の厚さは薄いところで90m、厚いところでは300mに達します。
▲そしていよいよ六輪駆動の雪上車に乗り換え。
カナダには、かつて4回氷河時代が訪れました。このカナディアンロッキーは、氷河が大地を削り、彫り上げられた姿なのです。だから日本の山とは違い、岩が削られた姿をしているのです。
このアサバスカ氷河が一番大きかった時代は、北はジャスパーから南はカルガリーまで数百キロに渡って広がっており、それだけ広がるのに数世紀かかったとのことです。1万年前に最後の氷河時代が終わっていますが、それ以降年々面積は縮小しています。
氷原は、雪がただ積もっているのではなく、積もった雪が夏の間にわずかづつ溶け蓄積されます。それが30メートルの厚さになったとき、下層の雪はその雪自体の重みで圧縮されて氷になります。さらに雪が積もり、氷が厚くなると氷が流れ始めます。このアサバスカ氷河も現在流れ続けているのですが、そのスピードは肉眼で確認できないほどゆっくりとしたものです。
連絡バスにのること8分、今度は六輪駆動の雪上車に乗り換えです。タイヤはものすごく大きく、身長155センチの相方が並ぶとほぼ同じ高さです。走り出すとすぐに、ジェットコースターかと思うような急斜面が現れます。まさか、そこを降りるのか…。もちろん他に道はありません。
ものすごい角度をゆっくりと下っていきます。氷河の先端には、氷河から溶けた水に含まれていた沈殿物が、流出河流堆積物を形成しています。そんな泥のようなところを過ぎると、一面の銀世界です。
▲乗り心地は…はっきり言って悪いです。
ガイドさん何してんの…?
日本語のガイドがあってよかったな、そう言えばいつものガイドさんはどうしているのかな、と見ると、日本人ツアーの女性ガイドさんに電話番号を聞いています。隅に置けないなぁ。
雪上車を降りると、周りは全て真っ白。氷河が日光を反射して目を開けていられません。サングラスが無いとつらいです。ツアー参加者は誰もサングラスを持っていませんでしたが、ガイドさんはしっかりサングラスをかけていました。ちなみに、カナダは紫外線が日本の5~6倍と言われています。
▲氷河に到着。300mもの厚みがある部分も。
しかもここでは雪焼けをする可能性がありますので、日焼け対策はしっかりしておいた方が良いかもしれません。雪の上を歩きます。と言っても固まっていますから足を取られることはありません。相方はこういうところでよく転ぶので、かなり気をつけています。それにしても眩しい。もちろん景色は綺麗ですが、その自然の脅威をまざまざと感じさせられます。氷が流れる力でこの山脈は形成されているのですから。
▲まぶしくてまぶしくて、目を開けていられません。
▲雪崩が起きそう…。でもゆっくりしか動かないから大丈夫。ホント?
アイスフィールドセンターに戻ります
再び雪上車と連絡バスでアイスフィールドセンターに戻ります。すると、自動販売機でペットボトル入りの氷河の水が売られていました。
▲雪合戦をする陽気な人達。でもそれ程寒くはありません。
「この水、雪山をバックに写真を撮ったら様になるんじゃない?」
相方はそう言うと、ペットボトルを買い、それを持って外にでました。
「置くところ、置くところ…。あ、ベンチがあった!」
▲雪上車は氷河の上を走ります。
どうやら写真を撮るのに良いポイントを見つけたようです。その時です。相方は地面の段差に気づかず、ペットボトルとデジタルカメラを手にしたまま、大転倒したのです。氷河で転ばなかったことで安心していたのか、こんなところで転ぶなんて…。とりあえずベンチに座らせようとするのですが、痛みで動けません。すると周りの人達が集まりました。なんか大事になってきたぞ…。
▲相方が痛みをこらえて撮影した、渾身の力を込めた一枚。
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