- 名鉄と日立のノウハウが詰まったモノレール
- JR東日本グループになり利便性アップ
- 空港アクセスでポケモンなのも…
トッピーネットではこれまで、「夢の鉄道…モノレール」という特集を組んで、廃止されたものから世界最長の現役のものまで、様々なモノレールを見てきました。
また、名古屋近郊では、廃止が発表される直前に、名鉄モンキーパーク・モノレール線を取材し、「元祖!跨座式モノレール!でもサヨナラ…モンキーパーク」という記事をアップしました。
今回は、東京の都心と羽田空港を結ぶ「東京モノレール」に乗ってきました。このモノレール、実は名鉄のモンキーパーク・モノレール線と繋がりがあり、現在はJR東日本傘下となったことで大きな改革が実行され、さらには、ポケモンと全日空と、いろいろな点と点が線でつながる路線なのです。では、東京モノレール羽田空港線の始発駅である、浜松町駅へと向かいましょう。
ポケモンモノレールの始発駅には
JR東日本と東京モノレールが乗り入れている浜松町駅。ここが東京モノレールの始発駅となるわけですが、この浜松町駅に、2007(H19)年に日本橋から移転してきたのが「ポケモンセンタートウキョー」です。
ポケットモンスターのオフィシャルショップであるポケモンセンターは、全国に7つの店舗を展開しています。東京モノレールの浜松町駅から、JRの線路をくぐった反対側、汐留芝離宮ビルディングの2階にあり、休日ともなると多くの親子連れでにぎわっています。
その浜松町駅から出発する東京モノレールには、「ポケモンモノレール」というラッピング車両があり、取材した6月末はまだテレビアニメ版の「ポケットモンスターベストウイッシュ」のラッピングとなっていました。
7月21日(土)より、新デザインに変わることとなっていて、この夏公開のポケモン映画にあわせ、片面は「キュレムVS聖剣士ケルディオ」、もう片面は同時上映の「メロエッタのキラキラリサイタル」をモチーフとした車両に変わることになっています。
この、東京モノレールのレポートで「ポケモン」の話題から入ったのには、実は理由があります。ポケモン好きだから取り上げたわけではありません。東京モノレールの歴史を遡ると、複数の鉄道会社、航空会社という「点」が、ポケモンという「線」でつながるのです。
名鉄モンキーパークモノレールとのつながり
先に紹介しました、名鉄モンキーパークモノレール線は、ラインパークモノレール線として1962(S37)年3月21日に開業。2008(H20)年12月28日の廃線まで、46年に渡って、日本初の「跨座式モノレール」として運行されました。
数あるモノレールの形式のなかで、名鉄のモノレールの方式は「日立アルウェーグ式」。コンクリートのレールの上を、空気の入ったゴムタイヤで走行するというものでした。この方式を、東京オリンピックが開催された1964(S39)年に運行を開始した、東京モノレールはそのまま採用しているのです。
さらに、方式がそのまま採用されただけでなく、純民営で開設された東京モノレールに名鉄は資本参加。東京モノレールは技術面でも資金面でも名鉄の力を借りて出発したのです。
現在はJR東日本グループ
名鉄は、1965(S40)年に東京モノレールの経営からは手を引き、その後の東京モノレールは日立グループとなり「日立運輸東京モノレール」として長らく運行が続けられます。そして東京モノレール株式会社を経て、2002(H14)年に転機が訪れます。
日立が資本から大きく抜けることとなり、JR東日本が東京モノレールの筆頭株主に。同じタイミングで全日空と日本航空が資本参加。JR東日本の出資比率は70%にものぼり、JR東日本グループとなるのです。これをきっかけに、大きな改革が行われました。
浜松町駅と羽田空港第2ビルを結ぶ17.8キロを走る東京モノレール。それまで全てが各駅停車だったのですが、2007(H19)年、待避線を完成させたことで「空港快速」と「区間快速」の運行を実現。利便性を高め、競合を意識した運行となったのです。
ここでもポケモンがかかわってきます。ポケモンの広告代理店は「ジェイアール東日本企画」です。JR東日本グループの東京モノレールに、ポケモンが描かれているのは必然といえる状態になったのです。
加えて、このとき大きく資本から抜けた日立ですが、今も出資は残っています。そういえば…日立のお店もポケモンをキャラクターとして採用していますよね。
空港を結ぶポケモンラッピング車両といえば
浜松町駅と羽田空港を結ぶ東京モノレール。空港アクセス路線の車両に、ポケモンが描かれているという構図、実はこれ、名古屋にもあるんですよね。
名古屋の場合は、名鉄がポケモンラッピング車両を運行しており、中部国際空港とのアクセス路線である名鉄空港線にもその車両を走らせています。空港とのアクセス路線にポケモン車両を走らせ、時には空港で、ポケモンジェットを運行している全日空とともにイベントを開催。東京と名古屋で全く同じキャラクタービジネスモデルを展開しているというわけです。
その、ポケモンジェットを運行している、全日空の筆頭株主はなんと名鉄。ここでも、つながっているのです。
JR東海の入る余地なし
東京モノレールと名鉄。東京モノレールとJR東日本。全日空と名鉄。ポケモンの広告代理店はジェイアール東日本企画。そして日立。
これらの関係は全て、つながっているのです。そのレールに、ポケモンは乗っているのです。
ポケモンは全国各地の鉄道会社と提携して、スタンプラリーやラッピング車両の展開を行っており、毎年、映画のその一覧のクレジットに、多くの人は違和感を感じることでしょう。私も最初は感じました。
JR東日本/JR西日本/JR北海道/JR九州/名古屋鉄道
もちろん、別枠で全日空もクレジットされています。
昭和30年代からの東京モノレールの沿革を見ることで、この位置に「JR東海」ではなく、「名古屋鉄道」が入っていることが、必然であるということがわかります。
まさに、一見無関係な点と点が、ポケモンというフィルターを通してみることで、昔から実は強固につながっていることがわかる、とは言いすぎでしょうか。
東京モノレールの基礎となった、名鉄モンキーパークモノレール線は廃止され、東京モノレールと名鉄の関係も大昔に無くなってしまっていますが、名古屋で試して東京で本格実現という経緯が、名古屋っ子には嬉しく思う一方で、東京モノレールに乗ると、なんだか、本家を取られてしまったという寂しさも覚えてしまいます。
潮風と名鉄の残り香を感じながら、羽田空港へと向かうポケモンモノレールを見送って、天王洲アイル駅を後にしました。
すると、天王洲アイル駅には懐かしいデザインのピカチュウが。そう、ここはテレビ東京天王洲スタジオの最寄り駅。ここにも、ポケモンつながりが。
コメント
ポケモンを隠れ蓑にしても隠し切れない鉄ちゃん魂をビシビシ感じます。
>びょん吉さま コメントありがとうございます
あくまでも、ポケモンという視点からの、
企業と企業のつながりのお話です…。