東海3県で最も早く満開を迎えそうな場所に、先取りで行ってみよう!ということで、ウェザーニュース社のサイトにある「さくら開花情報」で調べてみると、26日現在で最も開花が進んでいるのは、豊田市足助地区の香嵐渓となっているではありませんか。たくさんの疑問を抱きつつ、とにかく行ってみました。
香嵐渓にお花見…?
香嵐渓といいますと、秋には紅葉の名所としてこの地方では有名なところです。でも、「お花見」や「桜」といったイメージは全くありません。
ウェザーニュースのサイトには「足助」ではなく、「香嵐渓」と書いてあるので、あの香嵐渓で間違っていないはず…です。
当ブログでは何度もご紹介していますとおり、私は秋には毎年香嵐渓に訪れていますので、その混雑ぶりは知っています。でも…ネットで「香嵐渓 花見」「香嵐渓 桜」と検索しても、全く情報が得られない現状では、込んでいることもないだろうという予想通り、すんなりと香嵐渓へと到着しました。
おお!観光客の姿が
でも、いざ到着してみますと、駐車場には結構たくさんの車が停まっており、平日午前中にもかかわらず、多くの観光客の姿がありました。
これは、ひょっとしたらお花見の超穴場スポットなのかもしれない!というわずかな希望を抱き、その人波についていってみることにします。
すると、カメラを構える人たちの姿が。でも、みなさんほぼ地面にカメラを向けています。何だろう…と思い、相方とふたりで首をかしげながら覗いていると…。
近くにいた男性が「これは二輪草だよ」と教えてくれました。するとその横には「ふたりは二輪草という歌の二輪草です」という立て札が。
私たちは存じ上げなかったのですが、川中美幸さんが歌っている「二輪草」という歌は、この花をモデルとしているのだそうです。川中美幸さんといったら、「今日も雲海で乾杯!」という台詞はしょっちゅう聞いているんですけどね…その歌は知りませんでした。
春の香嵐渓名物
そしてその先には、観光客がさらにたくさんいて、花を観賞しています。でもやっぱり、皆さん地面を見ています。
その目線を追うと、そこには一面紫色のカタクリ群生地が。例年は3月下旬が見頃だそうですが、今年はいつもより2週間ほど開花が早く、いつもならバッチリだったはずの3月26日の時点ではもうしおれかかっていました。
愛知県でカタクリが群生している場所は他にあまり無く、珍しいとのこと。まあ、おとなりの岐阜県可児市土田に行けばありますけどね。あちらは4月上旬が見頃とのことですから、今からでも間に合います。香嵐渓はもう間に合いません。
桜があったー!
うーん。周囲を見渡しても、観光客が集まっているのはこの二輪草とカタクリのある飯盛山斜面だけです。お花見目的で来てる人は…いないの…。え?お花見ってまさか…いや、そんなことはないはず。ウェザーニュースは桜の開花情報のはず。
不安を抱きつつも、でも、ウェザーニュースが「もうすぐ満開」という情報を出しているのだから、絶対桜が咲いているはずだ…と、三州足助屋敷の方へと歩いていきます。
すると、あるじゃないですか!もう満開寸前の桜が。
でも…数本だけですね…。
確かに、情報としては間違っていないけど、どう見てもお花見スポットではないですね。というわけで、東海最速でサクラは確かに咲いていますけど、最速のお花見…にはなりませんでした。
花より猪、花より鮎
こうなったら、花より腹ごしらえだ!というわけで、その桜の木の正面にあった、「檜茶屋」でお昼をいただくことにします。
このお店は、入ってまず注文をして会計を済ませるスタイルなのですが、私たちが店内に入っても、ホールで片付けている人はまるで見て見ぬフリ。誰も対応してくれません。そしてしばらくたって、責任者と思われる「お客さんだよ!」という声でようやく、中からおばさんが出てきました。
外観は茅葺き屋根、そして店内は昔ながらの雰囲気が漂っていて田舎風情となっていますが、それだけでなく、店員さんたちも商売っ気の無いまさに田舎というわけです。もちろんこれは、都会の過剰サービスに対するアンチテーゼとしてのスローライフの演出ですよね?
私はどうしても猪の肉が食べたかったので、猪肉うどんとこんにゃく田楽を注文。こんにゃく田楽の味噌は甘めで、ホント懐かしい味でした。
そして相方は、あゆの塩焼きと小鉢、五平餅とあったかそばがセットになった桧定食を注文。
鮎の塩焼きは豪快にガブリと。五平餅は、甘いこんにゃく田楽とは対照的にピリ辛でした。
お腹が満たされ、私たちは香嵐渓にやってきた本当に理由をうっかり忘れてしまうところでした。そう、東海3県で最速のお花見をするためにここに来たのです。
香嵐渓には桜は数えるほどしかありませんでしたが、でもやっぱり、情報どおり桜の開花は平野部よりもなぜか早く、満開のちょっと手前の状態にまでなっていました。
それならば、この香嵐渓から程近い、足助の古い町並みに行けば、昔の街道風情とお花見を楽しめるかもしれない!ということで、再び歩き始めることにしました。
このときはまだ、それがとても寂しい結末を迎えることを予想することはできませんでした。(つづく)
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