昭和区[6] 檀渓通
元は2000坪の別荘だった-昭和美術館
八熊通を東に歩いて行くと、桜の名所として知られる山崎川にぶつかります。せっかくなので山崎川沿いを昭和区の南端から歩きます。川沿いを南に歩いて行くと工事中の石川橋がありました。
▲石川橋は工事中でしたが、商店街は利用出来ました
ここがほぼ昭和区の南端です。石川橋は2004(H16)年の7月25日に新しくなります。周囲には石川橋商店街があります。そしてその石川橋のひとつ北側にかかる橋がその名も人道橋。車が通ることのできない、人だけが通れる橋です。
▲即席っぽい人道橋
そして歩いて行くと大きな片側2車線の道路にぶつかります。ここは横断することができない楓橋、そして八熊通が急に細くなって山崎川を渡るのが新橋です。
▲楓橋は横断できません
新橋からさらに川を越えて250メートルほど歩くと、右側に昭和美術館があります。このあたりはいかにもセコムなどのセキュリティがついてそうな高級住宅街です。ここから八事にかけての一帯には、本物のお金持ちが住んでいます。
▲急に道路が細くなった先にある新橋
昭和美術館は故後藤幸三氏が長年に渡って収集していた美術工芸品などを公開するために建てられたもので、後藤氏の生前は別荘だった場所です。その敷地はなんと2200坪。茶室や書院などもあり催事によっては抹茶をいただくこともできます。
▲高級住宅街に囲まれた昭和美術館
催事は季節ごとに変わります。優雅なひとときを過ごせそうですが、お茶席に慣れていない私がいざ参加したら、ガチガチに緊張してしまいそうです。
▲後藤氏の生前はここが別荘だったとは
江戸時代の景勝地は今…-檀渓跡
再び山崎川の新橋に戻り、川沿いを歩きます。次の橋が宝塔橋、そしてその次が檀渓橋です。橋のたもとにはかつてここが景勝地だったという「檀渓之勝蹟」の碑が残されています。
▲こちらは車も通る宝塔橋
山崎川はこの檀渓橋から急に湾曲していて、水・崖・樹木が作りだす風景が見事でした。栄3丁目のナディアパーク南にある白林禅寺の檀渓和尚がこの地に庵を結んで、その景色を楽しんだと言われています。
▲かつて景勝地だった檀渓橋からの眺め
「尾張名所図会」という江戸末期にまとめられた書物に、「川名川の下流にして深淵なり。この辺十五軒屋と呼ぶ地より新豊寺山へ至る道にて土橋を架し樋を伏せて幽邃いふばかりなり」という記述にて景勝地であることが紹介されています。
現在はすっかり整備され、かわべりはコンクリートで固められ、周囲にはマンションが立ち並び、景勝地の面影はありません。「檀渓之勝蹟」の碑は空襲によって真っ二つに折れてしまったのですが、46年後の1991(H3)年にようやく地元の人の手によって修復されました。
しかし、現在は開発によって景色が変わってしまっただけではなく、川にはゴミが浮かび、碑の周りの芝生にはゴミの入ったポリ袋がいくつも転がります。かつてここが景勝地だった頃に比べて汚れてしまったのは、その景色ではなく人の心のようです。
▲住民の力で元に戻った碑のまわりはゴミが散乱
え!ライオン!?だよねこれ-五軒家神明社
そしてその檀渓橋から少し東に歩いたところに、五軒家神明社があります。五軒家町の地名の由来ですが、万治年間(1658-1661)に5軒の家がここにあったことから名付けられたのだそうです。この神明社は当時からここにあったのですが、そのときは狛犬がありませんでした。
▲五軒家神明社です。なんか普通と違うな…
ところが、今は立派な狛犬…というか、どうみてもライオンが鎮座しています。社殿の前に2頭のライオン。こんな神社は初めて見ました。これは全国的にも珍しいのではないでしょうか。何かライオンに由来するものがあるのかと思いきや、戦後、このあたりのお金持ちがライオンの置物を寄贈したことからライオンが座っているのだそうです。
▲あ、狛犬がライオンだ!
神社にライオン、最初見たときは思わず笑ってしまいました。しかも2頭のライオンは雄叫びをあげているようです。それにしてもこの周囲には、昔からお金持ちが多く住んでいたようですね。こんなに立派なライオン、持っているだけでもすごいのに、それをポンと寄贈してしまうのですから。
出会いのエピソードを作るのはあなた-出合橋
山崎川に戻ります。そして檀渓橋の北で再び楓橋と同じ大きな通りの下を流れます。その通りが渡るのが出合橋です。出合橋と聞くと、ここで素敵な出会いがあったとか、出会いに恵まれる橋なのかと思いきや、ただ北側の広路地区と南側の石川橋地区との耕地整理組合の境目が出会った場所ということに由来しているだけです。
ということは、まだ出合橋には素敵な出会いのエピソードが無いということです。つまり、この橋で素敵な出会いをすれば、あなたの出会いは出合橋のエピソード第一号になれるわけです。それを目指してこの橋で出会いを探してみてはいかがでしょうか。と言っても往来するのは車ばかりで、人通りはありませんけどね。
▲出合橋のエピソードを作るのはあなた!
では、その出合橋の南側にある檀渓通3丁目の交差点から西に歩いて塩付街道へと戻ります。ところでこの通りにも鳥料理屋さんを発見しました。桜山には鳥繁商店という鶏肉屋さんがありましたが、この鳥料理屋さんも意味深な名前です。
その名も「ふれん鳥」。鳥と仲良くということでしょうか。あ、鳥と仲良くなったら鳥を食べられなくなっちゃうから、フレンドリーになるのは店主とお客さんですね。
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