04.北区 名古屋を歩こう

捨てられた母子の怨念は今も...

記事公開日:2004年5月5日 更新日:

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世界でオンリーワンのアイスクリーム-茶っきり娘本舗

 大曽根からさらに西へと歩きます。すると杉村・大杉町界隈になります。かつてこのあ
たりには北風を防ぐ防風林として、杉囲いの家が多かったそうです。杉の名のつく地名が
多いのはそのためです。

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▲大杉町商店街です。売り物件には「陽春価格」の文字。チャンスは今!? 画像 ▲路地を曲がると、車が通れるかどうかわからないような細い道...。

 ここに、果敢に名古屋新名物を作っている、ジェラートアイス屋さん「茶っきり娘本舗」があります。キャ
ッチフレーズは「世界にここにしかない、オンリーワン・アイス」。どんなものがあるの
かと言いますと、「極上てん茶入り抹茶アイス」「ほうじ茶アイス」「玄米茶アイス」さ
すが茶っきり娘さん。お茶にこだわっています。どこが名古屋名物なのかと見渡すと...。
「手羽先アイス」「きしめんアイス」「八丁味噌アイス」...なるほど、確かに果敢です。

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▲茶っきり娘本舗です。八丁味噌アイスにチャレンジ!

藩主の重病をあっさりと全快-普光寺・豪潮寺

 大杉町商店街をまっすぐ進み、大杉公園を南に入ると曹洞宗普光寺があります。1577
(天正5)年に長母寺を本寺とする真言宗として建てられたのですが、後に織田信長の持仏
で快慶作と伝えられる「阿弥陀三尊」となり、曹洞宗に改宗しています。

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▲普光寺です。善光寺じゃないですよ。 画像 ▲となりにはゼンヌ幼稚園が併設されています。

 そしてそのすぐ南には豪潮寺があります。ここは豪潮寛海律師の終焉地と言われていま
す。豪潮寛海は熊本の生まれで、幼少の頃から仏門に入り、経典の会得などが速く神童と
呼ばれていました。16歳で比叡山に入り、一食一菜、三衣一鉢で難行苦行を行い、顕密二
教の蘊奥を極めました。その後、熊本に戻り広く名声を高めたのですが、尾張十代藩主斉
朝が重病の際、再三の要請により名古屋にやってきて祈祷をすると、斉朝の病気はすぐに
全快したそうです。このお寺は豪潮が亡くなった150年後に、その偉徳を偲んで創建され
たものです。

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▲こちらは豪潮寺。数多くののぼりがあり、地域の信仰の厚さを感じます。

常識破りのお寺の鐘-久国寺

 再び大杉公園の北側の通りに戻り、少し西へ行くと久国寺があります。ここは徳川家康
の守護仏を、三河の法蔵寺から貰い受けて建立されたお寺なのですが、何と言っても目を
引くのが鐘です。「伝統的な梵鐘のスタイルを打ち破った昭和の大梵鐘"歓喜"」と言う
説明の通り、鐘からいくつもの突起物が出ており爆発しているかのようです。確かに常識
を打ち破っています。実はこの鐘、あの岡本太郎さんが1965(S40)年に製作したものです。
触ると手を怪我しそうなくらい、突起しています。さすが、芸術はバクハツです。

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▲こちらが久国寺です。言宗智山派のお寺です。鐘のデザインを岡本太郎さんに依頼するとは...。 画像 ▲岡本太郎さんデザインの鐘は、やっぱり普通じゃなかった。

捨てられた母子の悲しいお話-尼ヶ坂・坊ヶ坂

 そして、そこから南東方向に歩いていくと名鉄瀬戸線・尼ヶ坂駅があります。尼ヶ坂に
はその名のとおり尼ヶ坂という坂ともうひとつ、坊ヶ坂があります。現在、尼ヶ坂は車が
通る大きな道路になっていますが、かつては杉の木が覆い茂る寂しい坂でした。昔は辻斬
りが多く出没し、通行人が幾人も亡くなりました。尼ヶ坂公園の西にある地蔵院は、久国
寺の住職が祀ったもので、それらの霊が眠っています。

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▲名鉄瀬戸線「尼ヶ坂」駅です。無人駅で少し寂しい感じがします。 画像 ▲蔵王山地蔵院です。辻斬りの被害者が眠ります。

 また、それより前の文化年間の頃、このあたりに住んでいた美しい女性が、青年武士と
恋仲になり男の子を身篭りました。しかし、身分の相違から別れさせられ、尼となり世を
捨て、子どもと寂しく二人で暮らしていました。しかし5月の雨の夜、どうしても男のこ
とが忘れられなかった母は気がおかしくなり、この坂道を覆い茂る杉の木に首をかけて自
殺してしまいます。

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▲尼ヶ坂公園には、地名の由来書きがあるのですが、悲しい伝説についてはなぜか伏せてあります。 画像 ▲尼ヶ坂。歩道も整備されておりかつての面影はありません。

 子どもは近隣の人に引き取られたのですが、すぐ南側(東区)にある709(和銅2)年創建
の古社・片山神社の森をさまよい餓死してしまいます。その後、尼が自殺した坂を尼ヶ坂、
子どもが亡くなった坂を坊ヶ坂と呼ぶようになったとのことです。坊ヶ坂は現在も細く曲
がった坂で、この日は天気が良かったにもかかわらず、昼間でも薄暗くひんやりとしてい
ました。今でもこの2つの坂では心霊現象が起こると言われており、聞いた話では、地元
の人の中には避けている人もいるそうです。
 

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▲坊ヶ坂。日は照っていてもなぜかひんやり...。 画像 ▲片山神社(東区)です。1300年も前からこの地に鎮座します。

 現在、辻斬りが出没することはありませんが、尼ヶ坂を通る際には、後ろから来る自動
車に充分お気をつけ下さい...。


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