トッピーの放送見聞録

中京テレビが開局以来の本社移転・丘陵地から都心へ...自前の鉄塔は置き土産?

記事公開日:2016年11月4日

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★中京テレビが丘陵地から都心へ全面移転
★開局以来のイメージチェンジ・合わせてロゴも変更
★現本社にある「東山タワー」に何やら動きが

 東京では、テレビ東京が11月7日に新本社へと移転します。1985(S60)年から31年間本社を置いた虎ノ門(神谷町)から六本木3丁目へ...といっても近所。現在の本社から直線距離で約500メートル、新本社は新しく建設されたビルに入居する格好となります。一方で、まったく違う場所に新たに建設した自前の新社屋に全面移転するのが、名古屋の中京テレビです。11月21日の予定です。

 中京テレビは、他の名古屋のテレビ局が都心に局舎を構える中、名古屋の都心から離れた八事の小高い丘に構えた局舎から、1969(S44)年の開局以来ずっと放送を続けてきました。今回建設された新社屋は、名古屋駅から程近い笹島の大規模再開発エリア「ささしまライブ24」に立地。丘陵地の住宅街にあるテレビ局から、名駅に近い都心のテレビ局へ、大きくイメージが変わることとなります。

 そして、八事の中京テレビにはシンボルとなっている自前の電波塔があります。移転によってそれはどうなるのか...なんと、移転直前に大きな動きが。

中京テレビが郊外にあった理由

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 そもそも、名古屋の他のテレビ局がすべて中区や東区といった都心に本社構えているなかで、なぜ中京テレビは昭和区の丘陵地に本社を構えていたのでしょうか。これは、中京テレビが当初、「中京ユー・エッチ・エフ・テレビ」として設立されていることからわかります。

 名古屋のテレビ局は、NHK総合(3ch)を皮切りに、CBCテレビ(5ch)、東海テレビ(1ch)、NHK教育(9ch)、名古屋テレビ(11ch)の順に開局しています。ここまでの5局は電波の帯域が「VHF(1ch~12ch)」で、アナログ放送の電波は名古屋テレビ塔から発射されていました。

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 すると岐阜県のラジオ岐阜が(7ch)での開局を目指し、テレビ局の開設準備を進めるのですが、この時期になると国の方針でVHF帯域でのテレビ局新設は認められなくなり、新たな「UHF(13ch~62ch)」帯域での認可となります。ラジオ岐阜は、日本初の民放UHFテレビ局として岐阜放送と改称して(37ch)で開局、続いて名古屋でもUHF局が放送を開始します。中京テレビ(35ch)です。

 VHFとUHFでは電波の帯域が離れており、電波の飛び方もまったく違うことから、UHFでVHFと同等の放送エリアを確保するには3倍の出力で電波を発射しないといけないなど環境が異なり、また、この時点で名古屋テレビ塔は新たな放送設備の増設をするスペースを確保できず、中京テレビは自前でのテレビ塔建設を余儀なくされたのです。

 そのため、中京テレビは郊外の昭和区の丘陵地、標高65メートルのところに高さ162メートルの「中京テレビ鉄塔(通称:東山タワー)」を建設。ふもとに本社とスタジオを構えたのです。名古屋テレビ塔が高さ180メートルですから、規模としては遜色ないほどの大きなテレビ塔です。

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 1969(S44)年3月1日に中京テレビは開局。見てもらうためには、これまでのテレビ塔向けのVHFアンテナとは別に、中京テレビ向けのUHFアンテナを全世帯に別途建ててもらわなければ見られず、苦難のスタートとなりました。

 当初中京テレビは、名古屋財界と日本経済新聞資本で開局。名古屋テレビが日テレとNET(現在のテレ朝)の人気番組を混合して放送していたことから、中京テレビは日テレとNETの「人気の無い番組」と、同じ日経系の東京12チャンネル(現在のテレ東)の番組で編成を成り立たせなければならず、朝の放送開始は9時30分、東京12チャンネルのニュースを流さないとニュースが編成できない時間帯があったりと、番組面でも苦難の始まりでした。

 ところが紆余曲折あり1973(S48)年4月1日、それまで日テレ系メインだった名古屋テレビがNET系に一本化。逆に中京テレビが日テレ系となり、日テレの番組と東京12チャンネルの人気番組を混合した編成に。さらには苦難のスタートであったことから自社制作意欲も高く、強力な番組ラインナップとなり一気にUHFアンテナ普及率100%を達成します。

 その後、テレビ愛知の開局によって日経資本とテレ東の人気番組は明け渡したものの、日本テレビ系の好調さも手伝って、現在では名古屋地区で圧倒的な業績トップのテレビ局へと変貌しました。

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本格移転は名古屋のテレビ局では初

 名古屋のテレビ局はテレビ愛知を除いて全局、移転や新築を経験しているのですが、どの局も隣接地へ新局舎を建てており、今回の中京テレビのようなまったく違う場所への本格移転は初となります。

 テレビ愛知は開局以来ずっと同じ局舎が「大須」にありますし、「新栄」のCBCテレビも、「東桜」の東海テレビも、同じく「東桜」のNHK名古屋放送局も局舎は建て替わっているものの、ずっと同じ地域にあります。名古屋テレビは開局当初、仮の本社を栄に設けていましたが、すぐに「東別院」に移転。地デジ化に伴い新局舎に移転していますが、やはり場所はすぐ横でした。

 今回中京テレビは、昭和区の「八事」から中村区の「笹島」へ。名古屋のテレビ局として初の本格移転となるのです。きっとこの先も、名古屋のテレビ局がこのような移転をすることはないでしょう。

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ささしまライブ24地区とは

 今回、中京テレビが新社屋を建設した「ささしまライブ24」地区は、かつて国鉄の貨物駅である笹島駅があった約12.4ヘクタールの場所で、1986(S61)年の貨物駅廃止後は「都心に残された貴重な大規模未利用地」として有効活用が期待されていたのですが、長い間、大規模イベントが行なわれる場所となっていました。

 1990年代には「キルメス名古屋」「キルメスファンタジカ」といった期間限定の遊園地が運営されます。2004(H16)年になると、あおなみ線の「ささしまライブ駅」が開業。翌年には愛・地球博サテライト会場として活用され、ポケモンのテーマパーク「ポケパーク」などを展開。350万人を超える来場者がありました。

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 その後、本格的な開発が進むこととなり、2011(H23)年度に中京テレビが土地を取得。新社屋の建設が決定したのです。

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このタイミングでFMアンテナ移設・東山タワーに動き

 中京テレビはこれまで、番組制作部門は昭和区の本社、営業部門は栄本部と、分散していた機能を新社屋に全面移転。開局以来の本社は使われなくなります。そこで気になるのが、中京テレビ放送鉄塔(通称・東山タワー)です。

 実は、中京テレビはもう鉄塔を放送用には使用していないのです。2003(H15)年にスタートし、2011(H23)年に完全移行した地上デジタル放送。地上デジタル放送の電波は全局が「UHF」。名古屋のテレビ局はすべて、新たに建設された「瀬戸デジタルタワー」からの電波発射となり、名古屋テレビ塔、東山タワーともに、テレビ放送の電波を発射するという役目は終えているのです。

 しかし、東山タワーは現在も電波塔であり続けています。名古屋地区のFMラジオ放送局「NHK-FM」「FM AICHI(@FM)」「ZIP-FM」「Radio NEO」の4局の電波を発射しているのです。

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 一方で、AMラジオ局によるFM補完中継局(ワイドFM)の電波は、ここからは発射されていません。瀬戸市の三国山山頂にある送信所から電波が出されています。

 中京テレビは移転するにあたって、この東山タワーをどうするのか?FMラジオ局にどこか別の場所に移ってもらって、タワーは取り壊すのではないか?三国山に一本化すればそれが可能ではないか?といった憶測もあったのですが...。

 2016(H28)年10月、NHK名古屋放送局からひとつの発表がありました。「FMラジオの放送用アンテナ等を新しい設備へ切り替えます」まさか...やはり...と思ったら。

 なんと、NHK-FMとFM AICHI(@FM)、ZIP-FMのアンテナが、これまでの東山タワーの上部から、先端部へと移設されることになったのです。かつて中京テレビの送信アンテナがあった場所にZIP-FMとFM AICHI(@FM)、そしてNHK-FMのアンテナが新設されています。

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 中京テレビが本社を移転するこのタイミングで、FM局がわざわざ東山タワーの先端部に送信アンテナを移設。これはつまり、中京テレビ移転後も東山タワーは存在し続けるという意思表示ともとれます。中京テレビの本社は無くなりますが、送信鉄塔はこれからもあり続けることになりそうです。

11月21日より新社屋から放送予定

 発表どおりに進んでいるのであれば、11月21日より「笹島新社屋」からの放送となる中京テレビ。長年使われてきた「U 中京テレビ」というロゴマークから、「C CHUKYO TV」という新しいものに変りました。

 ただ、キャラクターはこれまでどおりチュウキョ~くんが活躍するようです。人気高いですからね。

 ロゴ変更は社屋移転のタイミングではなく、既に変っており、現社屋のロゴもすべて一新されているのですが、なぜか、現社屋のニューススタジオにある「NNN 中京テレビ」というパネルだけは、中京テレビの文字も旧ロゴ、さらに「NNN」のロゴも旧ロゴと、歴史を感じさせてくれます。まもなく見納めです。

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 よく、テレビ局は「移転のジンクス」が言われます。新社屋に移転すると、視聴率や業績がダウンし、不祥事が起きる...。しかし、キー局の日本テレビの好調ぶりはとんでもないですし、中京テレビには無縁かな?という気もしますが、どうでしょう。それに中京テレビにとってこれはただの移転ではなく、いくつも背負っていた十字架の最後の一つからの解放になるのです。

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 中京テレビの新社屋横には公園が建設されており、そちらに向けて大型モニターもあり、憩いの場となりそうです。毎年夏に黄色いTシャツを着て行なわれる恒例の長時間特番にも活用されることでしょう。栄との兼ね合いがどうなるのかは気になるところですが。

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 開局から47年。「不人気番組を押し付けられたテレビ局」「アンテナを別途建てないと見られないテレビ局」「郊外の丘陵地にあるテレビ局」と、3つの十字架を背負ってスタートした中京テレビ。日本テレビ系列に一本化したことで人気番組を放送できるようになり、地デジ化によって電波的に他のテレビ局と同じ条件となり、2つの十字架をおろしました。そして最後の十字架を今、ようやく降ろすときが来ました。

 周囲はまだまだ工事真っ只中。ビルに囲まれるような形になるかもしれませんね。そうなると、今のような形で中京テレビの本社の姿を見ることができるのは、期間限定かもしれません。

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 華々しいスタートダッシュを切りそうですね。

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 その本社移転のタイミングが、テレビ東京とほぼ同じというね。かつて日本経済新聞社資本で、東京12チャンネルの番組を数多く流し、また、中京テレビの最初のヒット番組「お笑いマンガ道場」を東京で最初に放送したのは東京12チャンネルだったということが、何か因果のような気もしないではありません。

 昨年、ご縁があって中京テレビの社屋に入らせていただく機会があったのですけれども、最後の最後に体感できてよかったです。ぜひとも、新社屋も見てみたいなあ~と、ここでアピール。

関連情報

中京テレビ(名古屋・中村区)MAP

35.160813, 136.882497

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