なぜ名古屋弁が標準語ではないのか そんな世界線があったかもしれない
名古屋弁はなぜ標準語にならなかったのでしょうか。唐突に何を言い出したのかと思われるかもしれませんが、冷静に考えてみていただきたいのです。天下統一を成し遂げることはできなかったものの、戦国時代に統一へと足を踏み出した武将・織田信長は、愛知県中島郡生まれの名古屋育ち。そして農民の子として生まれ、のちに信長の遺志を継いで天下を統一した豊臣秀吉は名古屋市中村区生まれです。
名古屋弁は門外不出? 名古屋っ子はなぜかよそでは名古屋の言葉を使わない
前回、名古屋っ子は名古屋を出ると名古屋弁を使わないと書きましたが、よく考えればそれはどの地方にも言えることで、上京しても故郷の方言をそのまま使うのは関西方面の出身者だけです。これはやはり、全国区のテレビ番組でも関西出身の芸能人が関西弁を使用していることで、関西弁に対する免疫が全国の人々にあるということと、関西の出身者が関西弁は全国で使っても恥ずかしくないという意識を持っていることによるものだと思われます。
名古屋の少年はこうして名古屋弁を失う 名古屋っ子がよそに行った時に浴びる洗礼
「たわけ」「やっとかめ」「だがや」最近は名古屋弁の言葉も一部は全国区になりつつあります。これは既出のとおり「Dr.スランプ」という鳥山明先生の漫画が大きく影響しているのはもちろんです。しかし、全国区といってももちろん全国的に使われているようになったわけではなく、名古屋弁として有名になったに過ぎません。名古屋っ子は上京したりすると名古屋弁が抜けるというお話をしましたが、今回はその理由をさらに深く考察してみます。
ほかっとけって言ったじゃないですか 名古屋弁で発生する食い違い
学生時代はずっと名古屋で過ごし、社会に出る際に初めて名古屋を離れる人や、結婚で名古屋を離れる人、名古屋で就職してもその後の転勤によって名古屋を離れる人など、大人になって初めて名古屋を出るという人もたくさんいます。社会に出て初めて気づく名古屋弁その場合は前回お話したようなことで、言葉によっていじめに遭うだとか馬鹿にされるようなことは少なくなりますが、やはり名古屋っ子は名古屋弁をあまり使わなくなります。また、子どもとは違い言葉のすれ違いによって大きな失敗に繋がることもあります。今回も具体的な事例をもとに名古屋っ子が普段いかに名古屋弁と意識せずに名古屋弁を使っているかを検証していきます。
みゃーみゃーなんて言っとらん!つもりが名古屋っ子はいつも言っている
「名古屋みゃーみゃー通信」というタイトルで連載をしてきましたが、多くの名古屋っ子はこのタイトルに嫌悪感を抱いたのではないでしょうか。江戸ことばなら「てやんでい」「べらんめえ」。大阪弁なら「おおきに」「なんでやねん」。博多弁なら「ばってん」といった具合に、方言にはそれらを代表する言葉、他の地方の人がイメージとして持っている言葉があります。地方に旅行へ行った際、そういった言葉を実際に耳にすることで地域性を体感することができます。