NAGOYANOW 愛・地球博体感レポート

愛・地球博が終わって

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愛・地球博を総括

 当サイト発行のメールマガジン「おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信」は2003(H15)年11月22日にスタートしました。創刊号の翌週第2号では、名古屋のオリンピック誘致失敗から万博誘致に至る経過を「名古屋-世界の中心都市としての義務」と題して取り上げました。そして今年の1月から開幕直前の3月までは、10回に渡って愛・地球博の特集を設けました。過去に名古屋で開催された「世界デザイン博覧会」の失敗からこの愛・地球博の収益性を考えたり、実際に開幕前の会場に入れていただき取材し、展示内容を先駆けてご紹介したり、瀬戸会場の背景も考察しました。そして開幕後は、万博に合わせて登場した名古屋の新名所をご紹介したり、実際に開幕後の万博会場のレポートも行いました。メルマガ「おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信」は、これまで万博に向かって走ってきたような気がします。

 結果として、愛・地球博の総入場者数は当初の目標だった1,500万人を大きく上回る2,2 05万人弱、まだはっきりとした数字は出ていませんが、黒字額は最低でも100億円は見込めるとのことです。今回は万博特集の最後として、この半年間を振り返ってみたいと思います。

開幕から話題となった弁当持ち込み禁止

 3月25日、雪が舞う中で愛・地球博は開幕しました。その前に行われた内覧会では、会場アクセスのリニモが大混雑するなど混乱が予想されましたが、来場者が思ったよりも少なかったことと、シャトルバスなど内覧会で運行されなかった交通手段に人々が分散したために混乱は起きませんでした。開幕日の入場者数は43,023人。結局この数字が期間中の最低入場者数でした。

 当初、会場には弁当が一切持ち込み禁止ということが話題になりました。しかし小泉総理が、弁当持込を認めるようにという鶴の一声を発したために一転。手作り弁当に限って持ち込みが認められるようになりました。それまでの弁当の持ち込み禁止について、博覧会協会は食中毒防止のためという理由を掲げていましたが、持ち込み解禁後にテレビで会場内の飲食店経営者が発した「これじゃあ商売あがったりだよ」という言葉に、別の理由を感じずにはいられませんでした。中で飲食代金を落すことが条件の入場料金設定、出店条件設定だったのかもしれません。

 4月に入っても入場者数はそれ程増えませんでした。この頃は夜に雨でも降ろうものなら、三菱未来館、JR東海電導リニア館、ワンダーサーカス電力館、ガスパビリオンが軒並み待ち時間ゼロとなり、トヨタも整理券を配るために呼び込みをしていたほどです。「トヨタの整理券まだありまーす。」「シャチハタのワークショップで記念品を作りませんかー。」など、後半では信じられないような掛け声が、ひと気の無い会場に飛び交っていました。日立もこの頃は当日予約機で予約が可能でした。4月も後半の23日になってようやく、開幕以来初めて入場者が10万人に達したのです。

 ゴールデンウィークはさすがに多くの人で賑わいました。5月4日にはあと少しで15万人というところまで行きました。この頃になると月曜の法則が登場しました。土日の週末が混雑するのは当たり前ですが、なぜか月曜が時にはそれ以上に混むようになったのです。日曜宿泊は旅行プランが安いために人気なのではないかという説がありましたが、トヨタの関係者に言わせると、そりゃトヨタのディーラーは月曜休みだから、社員がせっせと会場に足を運んでいるのだろうと、口を揃えて答えられましたが真相はわかりません。

 6月に入ると、毎日平均して10万人程度が訪れるようになりました。遠足という名の学徒動員のお陰です。愛知県内の小中学生は一部を除いて、遠足で愛・地球博を訪れました。この日程はクジびきだったとか。9月の閉幕間際になってしまった学校は可哀相ですね。遠足では何時間も待つパビリオンは見られませんからね。

 7月になっても入場者数は10万人に届いたり届かなかったりという状況が続きました。この頃から、口コミで人気パビリオンが形成されていきました。最たる例が「国際赤十字・赤新月館」です。赤十字館は映像展示がメインで、そこに映し出される映像は衝撃的でした。栄養失調に苦しむ難民、戦争の惨状、自然災害など、その復興活動にあたる赤十字の姿を映し出したものでした。

 その映像は衝撃的で、あまりの悲惨さにテレビのニュースでは放送できないような映像も含まれていました。狙撃のシーンもありました。当初は万博に似つかわしく無いのではないかという意見もあったといいます。しかし、その現実を見ておきたいと多くの人が足を運ぶようになりました。私が4月に訪れた際は待ち時間無しだったのですが、7月になると1時間、2時間を待つ行列ができ、閉幕間際には行列制限となる程の人気パビリオンとなりました。

 このパビリオンが人気になる姿を見て、まだ人間って捨てたものじゃないなと思いました。

 夏休みに入ると、入場者数がガクっと減ります。これは遠足による学徒動員が無くなったためです。それまでは日に2~3万人遠足の子ども達が会場を訪れていたのです。台風によって途中で閉場するおそれのあった26日の来場者数は63,529人。平日は10万人に届かなくなってしまいました。しかしそれとは逆に人気パビリオンに人が集中するようになり、日立グループ館が整理券制度を導入したその日に、整理券配布をめぐってトラブルが発生。日立は翌日から整理券配布を朝のみとすることとなり、朝開場を待ってゲートに並ぶ人が次第に増えていくようになります。

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▲4月の休日昼間のグローバルループ。人影もまばら。 ▲4月夜の赤十字赤新月館。私たちが入った際、待ち時間はゼロでした。 ▲夏休みに入って、逆に人が減るとは思わなかった。(7/23)

8月から急激に来場者が増大

 8月に入ると次第に入場者数は増え、日立やトヨタを狙って朝早くからゲートに並ぶ人の姿も多く見られるようになりました。さらに、外国パビリオンも人気を集めるようになり、かつては閑古鳥が鳴いていて、スタッフとゆっくり話をすることができたアフリカ共同館などにも活気が見られるようになりました。

 ここで協会がおそれていたのが、9月の集中来場です。8月が終わった時点で、まだ消化されていない入場券が数百万枚にも及んでいたのです。その不安は的中します。9月に入ると20万人を越える日が続出。結果、9月は平均して入場者数が20万人を越えるという状況になりました。かつては地元来場者の割合が圧倒的に多かったのが、この頃になると関西や関東方面からの来場者が増え、結果として来場者の地元民割合は6割。この数字は大阪万博や花の万博、つくば科学万博に比べて低くなりました。つまり今までの万博よりも、遠方の人を集客する力のあった万博となったのです。

 成功のキーワードは「カイゼン」です。「カイゼン」とはトヨタ自動車の経営方針。日々改善。これにつきます。しかしそのカイゼンは逆に不満も生み出しました。整理券配布方法やルールの変更は地元テレビや新聞だけが報じ、全国には知れ渡らなかったので、地元来場者が全ての面で有利で、遠方からの来場者が不利になってしまったのです。しかしこれは名古屋以外のマスコミのせいであって、協会のせいではありません。協会はホームページで情報を常に発信していたのですから。それは確かに見難かったですけど。

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▲9月は結局平均で1日20万人を割らなかった。

万博で何を見たのか

 私はこの愛・地球博に「日本の良さ」を見ました。古くから、日本人は自然に神が宿るという思想を持っていました。山を崇拝し、川を尊んできました。それらを汚す行為をすれば、自然災害という形で罰を受ける。その考え方は古臭いと思われるかもしれないですけど、現在、二酸化炭素を排出し続けている人間に対して、自然は海面上昇、ハリケーンといった災害という形で罰を与えています。この万博を機に「もったいない」という考え方を日本から世界に広げようという試みもありました。世界には「もったいない」という考え方が無いことに私は逆に驚きました。

 そして人との交流。見ず知らずの人と「あ、そのスタンプってどこにありますか」とか「このパビリオンはあれを見ておかなきゃだめだよ」とか、並んでいる時間にふれあうことが何度もありました。今の日本は、知らない人に声をかけると不気味がられますし、逆に犯罪に巻き込まれる可能性のある寂しい社会になってしまいました。

 しかしこの愛・地球博の場内では、万博という共通の話題によって、見ず知らずの人と、ふとしたことで交流を生むことができました。でもこれって、昔の日本では当たり前のことだったのですよね。朝、顔を合わせれば知らない人でも挨拶し、時間があれば世間話をする...。

 名古屋の街全体が、この万博のような和やかな街になる日が来ることを祈って、愛・地球博の話題を締めさせていただきたいと思います。あ、もちろん、会場のその後については随時追っていきます。でも閉幕後は開幕前と違って、入場するコネが今のところ無いんですよね...。

「ああ、日本に生まれてよかった。名古屋に生まれてよかった。」そう思わせてくれた万博でした。

 これでドラゴンズが優勝していたら最高だったんですけどね。そうはうまく行かないのが名古屋らしさかな。

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▲モリゾーとキッコロは閉幕後瀬戸市に住民登録されました。結構稼いでいるという噂だから市民税よろしく。

※以上は10/8にメールマガジンとして発行したものです。


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