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お寺が無い村・廃仏毀釈&美濃白川あんしん豚-つちのこの村・東白川村3

記事公開日:2008年2月5日 更新日:

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 幻の生物「つちのこ」生息地ということで、岐阜県東白川村にやってきまして、前回は世界で唯一のつちのこの資料館「つちのこ館」をレポートしましたが、この村にはつちのこと別に、いや別じゃないかもしれない、もう一つの特徴があります。

 それは、東白川村にはお寺が無いということ。

 じゃあお葬式はどうするの?お墓はどうなるの?そもそも、なぜお寺が無いの?

 と、気になるところですがその前に腹ごしらえです。

山の上に見晴らしの良いレストランが

 東白川村役場から北へ道路を登っていきますと、「こもれびの里」という施設群があります。ここでは木工や陶芸、パンやビザ作りなど体験活動ができるほか、実際に宿泊して体感することのできるモデル住宅「東白川の家」などがあるのですが、そのなかに「レストラン味彩」があります。

 レストラン味彩も、つちのこ館と同じく村の第3セクターであるふるさと企画が運営しており、山菜バイキング(予約制)やカレーバイキング、イタリアンランチなどバラエティに富んだメニューが用意されています。

 私は、薬を一切投与せずにおいしい水と微生物の餌で健康に育てたという「美濃白川あんしん豚」を使った「ソースかつライス」を注文しました。

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 味噌かつ定食もあったのですが、肉のうまみが分かる特製ソースを使っているという点に惹かれてこちらにしました。確かに、おいしい。しかも柔らかかったです。

 そして相方は、好みのパスタと好みのピザ、さらにスープ、サラダ、ドリンク、デザートがセットで1,200円とリーズナブルなイタリアンコースランチを注文。このピザが、かなりおいしかったです。

 この日は平日でしたが、お店は多くの人で賑わっていました。店員さんもとても丁寧で、やっぱりこの村は観光に賭けてるんだ!というのが伝わってきました。

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仏教の村が神道の村に

 東白川村の中心部は「神土」と呼ばれています。そしてその役場にあるのが、「四つ割の南無阿弥陀仏碑」です。なぜ南無阿弥陀仏の碑が4つに割られているのか、それはこの東白川村が「神道の村」だからです。

 前回の「つちのこ館」の方のお話を伺いましたところ、この東白川村はかつて仏教の村として知られており、村内にもお寺があり、役場の場所には安泰山常楽寺というお寺があったそうで、昔は神土村と越原村を檀徒としていたとのこと。しかしです。

 当時このあたりを治めていた苗木藩は1868(慶応4=明治元)年に廃仏毀釈を行うこととし、領内の全ての寺院に対して廃寺帰俗を申し渡したのです。廃仏毀釈とは、簡単に言えば仏教を捨てて神道になりなさいということです。

 そのとき、南無阿弥陀仏碑は破壊されたのです。

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今もお寺は無い

 加茂・恵那地域を領地としていた苗木藩は廃仏毀釈を徹底して行ったことで有名で、特にこの東白川村は1889(明治22)年に成立して以降、一度も合併や分割をされることなくそのまま存在しており、なおかつ、お寺を復活する運動も起きなかったことから、現在も神道の村として続いているのです。

 ですから、村にはお寺は無く、墓地はただ墓地として存在しています。

 ちなみに、お葬式や結婚式なども神道式で行われることが多く、お葬式にはお坊さんではなく神職の方がやってきます。ですので、もし参列される葬儀の場所が東白川村である場合は、間違っても「御仏前」と書かないようにしましょう。

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神棚の生産も盛ん

 神道の村ということで、東白川村は神棚の産地としても知られています。漁師町など地域によっては毎年神棚を変える地域があり、そういった地域から注文があるそうで、つちのこ館にもお土産として神棚が販売されていました。つちのこ神社の横にあったお社が、真新しいものだったのも頷けます。

 では、東白川村の家では神棚を毎年変えたりするのかと思って聞いてみますと。

「私たちはもう家に作り付けですから。」

 なるほど。家にはもう新築時から神棚が作られているというわけですか。さすが神道の村です。

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神の使い...なのかな

 神道の村、東白川村。

 ですから、この東白川村につちのこが良く出るとなれば、それを祭って「つちのこ神社」を創建しても何ら不思議は無いというわけです。蛇はよく神の使いと言われることがありますが、ひょっとしたら、そうなのかもしれません。

 つちのこを見て寝込んでしまった方がいるという話がありましたが、ひょっとするとそれは、神に対する畏怖の念がそうさせたのかもしれません。

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 時は平成、大合併の波は刻一刻と東白川にも迫っています。明治の頃から神道の村として、他の自治体と一切交わるなることなく120年の時を迎えようとしています。

 つちのこが発見されれば、一躍東白川の名が全国に知れ渡ることでしょう。でも、見つからないからこそ夢があり、そこに神秘性があるのもまた事実。

 今年も5月3日には夢とロマンを求めて多くの人がつちのこ捜索にやってくることでしょう。つちのこは単なる「大きなヘビ」かそれとも「神の使い」か。

 どちらにしろ、私は怖くて生け捕りはできないなぁ。

2011.6.14追記 宮崎県児湯郡西米良村も、同様にお寺の無い村として存在するとのことです。

関連情報

東白川村の廃仏毀釈
レストラン味彩
東白川村

こもれびの里(岐阜・東白川村)

東白川村 こもれびの里

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