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日本人が捨てるもの、日本人が残すもの・五箇山と白川郷の合掌造り集落

記事公開日:2002年8月16日

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▲たくさんの合掌造りの建物が移築された合掌造り民家園。

 世界遺産とはユネスコ総会で成立した世界遺産条約に基づき、リストに登録されたものを指します。日本は1992(H4)に批准・加盟し、日本の自然や文化遺産も登録されるようになりました。岐阜県には中部地方唯一の世界遺産登録物件があります。それは「白川郷・五箇山の合掌造り集落」です。岐阜県飛騨地方の白川郷と、富山県の五箇山にある合掌造り集落が1995(H7)年12月に文化遺産として世界遺産に登録されました。

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世界遺産になって白川村への観光客が急増

 世界遺産に登録されたお陰で、白川郷への観光客は急に増えたといいます。白川村は岐阜県といっても北西部の端っこにあり、同じ岐阜県に住む相方の家から、高速道路を使ったとしても車で2時間はかかります。岐阜県は愛知県と隣接する南部に人口が集中しており、大半の岐阜県民は同じ岐阜県といっても白川郷や飛騨地域を遠くの観光地として認識しているようです。

 このように、岐阜県民が多く住んでるのは南部の都市地域なのですが、白川郷が世界遺産に登録されて有名になったことで、逆に全国的には、岐阜県イコール雪深い山奥というイメージが定着し、東京などに行った際に岐阜県民の相方が「岐阜県から来た」と言うと、「冬は雪が大変でしょう~」などと言われることが多くなったと、相方は嘆いています。

 白川郷が世界遺産になったことで県全体のイメージまでもが変わってしまう。世界遺産って結構すごいことなんですね。だから全国各地が登録活動に必死になるわけですね。

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▲周囲には池や田畑もあり、かつての集落を再現。

合掌造りをじっくりと

 さて、合掌造りとはそもそも一体何なのでしょう。昔ながらの茅葺きの屋根で、屋根はかなりの急傾斜となっています。これは雪が落ちやすく、除雪がしやすいようにという目的なのですが、屋根を急傾斜にすることによって同時に家屋内の空間が広くなり、その生まれた空間では養蚕などが行われていました。

 この合掌造りはこの岐阜県と富山県の県境付近の集落独特のもので、現在も茅を葺き替えるなど保存状態も良好であり、同時に周辺の自然環境も歴史を感じさせるものとなっています。

 もちろんそれぞれが民家だったわけですから、かつてはあちこちバラバラに建っていたわけですが、現在は展示保存するために合掌造り民家園として移築されており、建物そのものだけではなく、昭和初期のこのあたりの暮らしぶりを感じることができる展示や、体験などが実施されています。囲炉裏やはたおり機、そして馬の姿も。

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▲冬は囲炉裏が暖かそう...。

村人は流出してしまい無くなる危機に

 ところで、ここに展示保存されている合掌造りには、もちろん人は住んでいません。なぜなのかと聞いてみました。白川村では、昭和40年代の高度経済成長期に村人がたくさん流出していったのだそうです。それは、集落がまるごと無くなるほどに激しいものだったとのこと。

 このままでは合掌造りは無くなってしまうということで白川村は、江戸時代から残るそれらの建物を保存しようと、庄川のほとりに空き家となった合掌造りを移築して集めたのがこの民家園の始まりだそうです。

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▲合掌造りの内側。かなりの空間があります。

 私も相方も生まれは名古屋市なので、こういった山里風景に幼少期の思い出が重なるわけではないのですが、それでもこういった風景を見ていますと心が和みますし、どこか懐かしい感じがします。でも、それを捨てた人々の気持ちもわからないでもありません。こうやって観光地として気候の良いときに訪れるだけなら「心が和む」といった悠長なことを言ってられますけど、実際に生活するとなったらそれは大変なことです。

 現在は世界遺産に登録されたことで、高速道路も整備されつつありますけど、昔は村を出ること自体がものすごく大変だったと思います。繰り返しになりますが、同じ岐阜県といっても、ここと都市部では全く世界が違うのです。

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▲ちょっと興奮気味だったと思われるお馬さん。

荘川桜物語

 合掌造り民家園を後にして国道156号線、通称白川街道を南下します。すると左手に御母衣湖が急に姿をあらわします。もちろんこれは人造湖。1961 (S36)年に完成した御母衣ダムです。このダムには有名なエピソードがあります。それは、水没するはずだった桜の巨木を国道沿いに移植した「荘川桜」の物語です。

 樹齢450年ともいわれた桜の木を移植するという前代未聞のプロジェクトは困難を極めましたが、現在も桜は咲き続けています。この桜の木の移植事業は住民の手によるものではなく、ダムを建設した電源開発が提案したもので、現在も荘川桜は電源開発が直轄で御母衣ダムとともに管理しています。これを美談とするか、人間のエゴとするか...それは難しいところです。

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▲ロックフィルダムの御母衣ダム。

 合掌造りも荘川桜も、昔のままの姿と言いつつも、それは自然に残されているわけではなく、誰かが頑張って維持してくれているわけです。

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