03.ぶらり関西 おでかけレポ~全国・海外~

ドラマを体感!庄屋を体感?合戦を体感!江・浅井三姉妹博覧会浅井会場

記事公開日:2011年9月9日 更新日:

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★ドラマを体感できるけど像との整合性が...
★資料館のジオラマに思わず感情移入
★川が血で染まったという合戦の地へ

 小谷城址の「江・浅井三姉妹博覧会」小谷会場から国道365号を車で走ること10分弱。浅井会場に到着です。ここには、今年のNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」そのものを深く紹介した「浅井・江のドラマ館」があるほか、近隣には「浅井歴史民俗資料館」も。この資料館は結構感情移入ができました。さらに「姉川古戦場」へと足を運んで、浅井長政と織田信長の戦いを、より深く感じます。

今年の大河ドラマ好きにはたまらない展示の数々

 プラザふくらの森にあるのが、「浅井・江のドラマ館」です。「おいちごちゃん」と「ながまちゃくん」のパネルが出迎えてくれるこのドラマ館では、小谷の江のふるさと館よりもさらに、今年の大河ドラマそのものに絞った展示の数々に触れることができます。

 演じてらっしゃる役者さんのコメントですとか、実際にドラマのなかで使用された小道具、衣装などがずらりと並べられ、大河ドラマを見ている方でしたら「あ、この衣装はあのシーンで使われていたものだ」とお気づきになるでしょう。

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 また、会場内には映像展示コーナーがありまして、そこでは小谷城址でのロケの様子を見ることができます。桜馬場跡での撮影の大掛かりさに驚き。さすが天下のNHK大河ドラマです。先ほど、実際に行った場所だけに「ああ、あそこで」という気持ちが強くなります。

 ドラマを録ったのもあの場所、歴史の舞台となったのもあの場所。実際の場所で撮影するというのは、役者さんにとっても、気持ちの入り方が違うでしょうね。

あの子、誰?

 周囲には飲食ブースですとか、おみやげ館もありまして、お江グッズのほか浅井の名物がたくさん販売されています。思わず獲れたての野菜を買ってしまいました。

 この会場で一番気になったのは、そのドラマ館の前にあった「家族」というタイトルの浅井家の方たちの像。浅井の地から琵琶湖・竹生島を望んでいる様子を表していて、浅井長政、お市、そして「四人の子供達」。

 四人...なんですよね。この像は博覧会開催前からあったのでしょうね。大河ドラマでは、息子の「万福丸」は完全スルーとなっているので、大河ドラマでしかお江の物語を知らない人にとっては「あの子誰?」となりかねません。

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ジオラマもリアル・血痕はホンモノ

 では、浅井・江のドラマ館から車で5分ほどのところにある「浅井歴史民俗資料館」のある「お市の里」へと行ってみましょう。こちらは、旧浅井町によって作られたもので、お市と三姉妹の展示のほかにも、浅井の歴史と文化をジオラマで体感できるコンセプトとなっています。

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 まずは、浅井三姉妹関連以外の展示を見てみましょう。かつて養蚕が盛んだったという浅井。その様子を人形ジオラマで復元したのが「糸姫の館」です。この人形が結構リアルなのです。さらにはお蚕さんもやたらとリアル。

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 そのリアルさはお市の里全体に言えることで、「鍛治部屋」の鍛冶場作業も、約1名つったってるオジサンの人形を除いては、作業の熱気が伝わってきます。でも、そのつったってるオジサンもリアルはリアル。また、江戸後期(1804年)に建てられたという庄屋の草野家の移築再現「七りん館」も面白い。土間や台所なども生活感が感じられるようになっており、一見無造作に置かれた農機具の配置も、きっと計算の上でしょう。

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 そして「浅井歴史民俗資料館」へ。1階では、三代に渡って近江の国を治めた浅井氏の盛衰がパネルで展示されているほか、織田信長との戦いとなった「姉川の戦い」についても経緯が把握できるようになっています。

 さらには、その戦いの際に雑兵が身につけていた腹当なども展示されており、実際にその時についた血痕が生々しく残されていて、歴史上の話が一気に現実のものとして目の前に引き寄せられます。

 2階では、お江の誕生から小谷城の落城までの様子が、こちらも臨場感たっぷりのジオラマで紹介されています。城を脱出する茶々と初のしぐさはとてもリアル。

 ここの展示は、感情移入のしやすさがあるためか、やたらと感情が入って主観的な説明文だった「小谷城戦国歴史資料館」とはまったく逆で、客観的に説明されているので、そういった観点で見比べると「同じことを言ってるんだけど、ニュアンスが正反対」という印象を受ける部分も多く、ひとつの出来事でも見方を変えると印象は全然変わるのだな...という、表現の勉強にもなります。これ、意図的なすみわけでしょうかね。だって、そうしないと全く同じような展示の資料館が近隣に2つある状態になってしまいますものね。

 深読みかな。

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図書館の方は...あれ?リアリティが...

 ここで立ち寄っておきたいのが、同じく「お市の里」敷地内にある長浜市立浅井図書館です。入ると、まず目に飛び込んでくるのが美しいステンドグラス。絵柄を見るとなんとそれはお市と三姉妹。ステンドグラスなのに和。色あざやかです。

 見ておきたいのは、2階にある実物大再現ジオラマ「浅井長政邸」です。小谷城の本丸の下にあったという「お局屋敷」の様子を再現したもので、中央には浅井長政。向かって左手には幼い茶々と初。そして右手にはお市と万福丸と...あれ?お江?

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 確かお江って、小谷城を脱出する際は赤ちゃんだったはずですよね?で、その際に長政は自刃しているわけで。

 こんな一家団欒はあり得ないはずですよね...。いや、こんなひとときもあったはず?あってほしかった?あったらよかったのに?

 ファンタジーとリアリティの境界線が曖昧になってしまったところで、最後は、そんな気持ちを吹き飛ばすように、実際に戦いがあった姉川古戦場へと行ってみましょう。

川が血で染まったというその場所へ

 浅井会場から国道365号をさらに走り、野村橋北詰の交差点を左折、少し走って右折すると、「姉川古戦場」という看板が見えてきます。

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 信長の妹である「お市の方」と結婚した浅井長政。それにより織田家と浅井家は同盟を結びました。政略結婚だったわけです。しかし、信長が越前を攻めると、状況は一変します。

 前回、小谷城のところで触れましたが、浅井亮政が城主の頃、六角高頼が小谷城に攻め入った際、越前から朝倉金吾教景が来援してくれたように、浅井氏と朝倉氏の関係は織田氏とのそれに比べてずっと長く深く、長政はその義理を通すために、朝倉氏の越前に攻め入った信長との関係を断ち切るのです。

 そうなれば、妹が嫁いでいようとも、信長は近江に攻め入るわけです。

 1570(元亀元)年6月28日。この姉川を挟んで、浅井長政・朝倉景健の連合軍1万8千人と、織田信長・徳川家康の連合軍2万9千人がそれぞれ布陣し、合戦を展開したのです。

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 午前5時から午後2時まで続いたという戦いは壮絶で、川面は血で真っ赤に染まったと伝えられています。死者は両軍あわせて2600人とも言われており、浅井・朝倉の連合軍が敗走する結果となります。

 そして合戦後、信長は虎御前山に本陣をおき、小谷城を攻め落とすことになるわけです。

 政略結婚に応じたにもかかわらず、過去の義理を通したことで滅亡し、妻と娘たちは悲運に襲われる。ただ、きっかけは政略であったものの、夫婦仲は本当によかったと言われています。

 何が正しく、どうすべきだったのか。当時の時代背景を想像でしか思い描けない私たちが、自分を長政に置き換えても、明確な答えは出るわけがありません。ただひとつ言えることは、妻を愛し子ども達を心から愛し、家族を大切にした長政の家族愛は不変のものであり、今の時代にも通じるものですね。

 小谷と浅井では、展示の重複も多く、正直お腹いっぱいなところはありますが、自分が長政だったら、自分がお市だったら...と考える材料として、両方のスタンスを見ることは、違った視点を見出すきっかけになることは間違いありません。

 でもやっぱり、前回も書きましたけど、名古屋っ子はどうしたって、自分が信長だったら...になってしまうでしょうが。

 今回は小谷と浅井を見て回りましたが、江・浅井三姉妹博覧会はもうひとつ、長浜黒壁会場がありますので、長浜の中心部は日を改めて訪れる予定にしています。博覧会は12月4日までです。秋の歴史散策にぜひどうぞ!

関連情報

江・浅井三姉妹博覧会
浅井歴史民俗資料館

取材協力

・樋口正孝さん

浅井歴史民俗資料館(滋賀・長浜市)MAP

浅井歴史民俗資料館

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