NAGOYA REPORT 名古屋外食産業事情特集

お肉をめぐる名古屋圏の外食産業バトル・三重では高級なお肉もまわると安い?

記事公開日:2005年12月10日 更新日:

 以前、あさくまとブロンコビリーという名古屋のステーキチェーンをファミレスという形でご紹介しましたが、名古屋には焼肉やステーキ専門のチェーン店が他にもあります。

 アメリカ産牛肉の輸入再開で牛肉が話題になっている今、名古屋でお肉を食べたい場合、どのチェーンがどのような特色があって、そして価格帯はどの程度なのかは店に入る前に知っておきたいところ。そこで今回は、牛肉を扱う名古屋の飲食チェーン店を見ていきます。まずはブロンコビリーとあさくまのおさらいから。

ステーキチェーン店といえばこのふたつ

ブロンコビリー

 以前一度紹介しましたが改めて。ブロンコビリーは、静岡を含む東海4県に55店舗を出店しているステーキチェーン店です。看板メニューはブラックアンガス種にぶどうの粕を飼料として食べさせた「ぶどう牛」。オージービーフとは思えないやわらかさです。ポリフェノールの効果なのか、肉の赤い部分が紫がかっていてちょっとドキっとしますが、大丈夫です。

 確かにやわらかいのですけど、ちょっと脂がのりすぎな気がします。ですから、霜降りが好きな人なら口に合うかもしれません。ステーキはサラダバーとごはん、コーンスープがセットになっています。一番人気は、ぶどう牛ロースステーキ200グラムのセットで2,499円です。トイザらスみたいな価格設定ですねこれ。

あさくま

 東海地方を中心に、関東から九州まで34店舗を展開するステーキレストランです。サングラスをかけた強面の社長が名物です。サーロインステーキの200 グラムが単品で1,780円だったと記憶しています。ステーキソースやスープも絶品で、かつては名古屋でステーキといえばあさくまという時代が長く続いたのですが、近年は他のチェーン店に押されているのか消え行く店舗も目に付きます。

 低価格ファミレスをやってみたり、高級イタリア料理をやってみたりと新しいことにチャレンジするあさくまは、この度、万博のドイツレストランを名東区藤が丘でオープンすることとなりました。ステーキ専門店でありながら、ステーキ以外にも手を出すというのは、やはり高級ステーキだけでは今のご時世難しいのでしょうか。高級感があるにもかかわらず、敷居が高くないというのがあさくまの持ち味なのですけどね。ランチがおすすめ。

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▲西部警察で爆破されたあさくま藤ヶ丘店。

お肉プラス付加価値

ハドウス

 もとは岐阜県可児市と美濃加茂市にいくつかの店舗を構える静かなステーキチェーンだったのですが、それらの店は全てたたみ、現在は名古屋市内の熱田、みなとのジャスコや池下の複合ビル、そして埼玉県与野市のイオンなどに店舗を構えています。セットメニューとなっていて、スープ、ミニサラダ、ライス、ドリンク、そしてステーキ200グラムがセットで1,670円です。

 店内には「肉を叩くことでやわらかくします」といった内容の説明書きがあり、店の奥ではたぶんバイトと思われる人が、ドン、ドンと肉を叩いている音が響いていたのを覚えています。

 美濃加茂のお店や可児のお店もそうだったのですが、店内がかなり広く演奏会でも開けてしまえるのではないかといった雰囲気で、実際に毎月店内ジャズライブを開いています。可児にあった頃は、いつ行っても待つことなく食べることができたので良く利用していました。それが撤退の理由でしょうけど...。

 知名度が無いだけで、値段の割りにかなりおいしいステーキレストランだと思います。今はショッピングセンターの中なので混んでいるかもしれません。

木曽路

 牛肉は牛肉でもステーキではなくしゃぶしゃぶ。しゃぶしゃぶで外食といったら木曽路を思い浮かべる方が全国に多いのではないでしょうか。木曽路は関東から九州まで約100店舗を展開していて、銀座にもお店があるほどなので、名古屋の会社だと気づいていない人が意外といそうです。

 木曽路はちょっと気合を入れないと暖簾をくぐれない価格設定になっていますが、当然国産牛。特にごまだれは市販されているものとは全く違い、独特な味となっていて、木曽路でしか味わえないしゃぶしゃぶがここにはあります。話を聞いてみたところ、やはりあのごまだれには力を入れていて、配合や製法は秘伝なのだそうです。やっぱり。

 そして最後に出てくるきしめんは全国共通なのでしょうか。肉のだしが出たスープに絶妙な塩胡椒、そしてあの歯ごたえのきしめんはたまりません。肉についても国産牛なのはもちろんで、さらにこだわって仕入れを行っているそうです。木曽路は売上高過去最高を更新中で、BSE騒動はどこ吹く風です。

明暗わかれた焼肉チェーン店その1

  では、続いて焼肉チェーン店を見ていきましょう。

焼肉屋さかい

「yakiniku.jp」というアドレスでサイトを開いていて、現在はジャスダックに上場し、北海道から九州まで全国展開をしている焼肉屋さかい。現在本社は東京となっていますが、創業は岐阜県各務原市で、以前はそこに本社を構えていました。コンセプトは「4人でお腹いっぱい食べて1万円以内」。そして必ず駐車場を完備したロードサイド店という戦略は名古屋で当たり、首都圏でも成功を収めていたのですが...。

 ここはアメリカ産、カナダ産の牛肉をメインに使用していたために、アメリカ産牛肉の輸入停止の影響をもろに受け、オーストラリア産で営業を続けているものの、収益の悪化で多くの直営店舗閉鎖といった事態になっています。

 近年では280円メニューを基本とした「にっぱちさかい」というさらに低価格な業態や、和牛焼肉坂井、とりバックス、さらには肉とは離れた鮮魚料理のまるさ水産、元町珈琲といった業態も開発しています。かつて名古屋では「安い焼肉といえばさかい」という時代がありましたが、現在は競合チェーンも増えていて、さらに昨今の騒動で昔ほど活気はありません。でもやっぱり、安さを追求するならここです。

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▲かつての本社近くにある焼肉屋さかい各務原店。

カルビ大将

 以前ファミレスでご紹介したアトムグループの一員で、焼肉居酒屋という位置づけからか焼肉以外のビビンバやクッパといったメニューが豊富で、塩や炭火にこだわるなどしているため、焼肉屋さかいと比べるとかなり高めの値段設定となっています。

 しかし最近はアトムグループ自体が立て直しを図っているために、採算のあわないメニューは削除しているのか知りませんが、メニューに「現在お取り扱いしておりません」のシールがいくつも貼られておりグループの迷走が如実に現れています。

明暗わかれた焼肉チェーン店その2

あみやき亭

 愛知県春日井市に本部を置き、静岡県を含む東海4県に57店舗を配すあみやき亭は、木曽路同様東証1部に上場を果たしています。かつてはさかいと同じような安い焼肉店というイメージだったのですが、アメリカ産牛肉の輸入停止を機に、国産牛専門に一転。「国産黒毛牛のあみやき亭」というCMを打つことでそれが知れ渡り、現在は安価に国産牛の焼肉を食べることができるお店として人気を集め、売上高過去最高を更新しています。

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▲国産牛にこだわって成功したあみやき亭。

一升びん

 最後に一風変わったお店をご紹介します。名古屋近郊で有名な和牛といえばもちろん松阪牛。三重県松阪市、久居市、伊勢市に7店舗を展開する松阪牛専門の焼肉チェーン店が「一升びん」です。牛の着ぐるみを着た男がダンスしたりとCMも独特なのですが、その7店舗のなかのひとつ、宮町店が独特のスタイルで有名です。

 一升びんの宮町店は、全国的にも珍しい回転焼肉。保冷のためにシェルター状になっている回転寿司の回転レーンに、なんと松阪牛が流れているのです。そして手元にはコンロ。人件費を浮かすことで高級な松阪牛をリーズナブルに提供したいという心意気です。一升びんは、牛をまるごと1頭買い付けるために、貴重な部位も回ってきます。なんと肉のメニューの種類は40種類以上です。

 松阪牛のサーロインが一皿900円、タンが400円、上カルビが550円と信じられない価格。もちろん美しいサシの霜降り。おかしなCM、そして回転というイメージとは裏腹に肉は最高級。もちろんお皿の柄で値段は一目瞭然、100円から950円まであります。

 これで、名古屋の肉料理チェーン店の雰囲気がそれぞれつかめていただけたかと思います。オーストラリアに国産にそして松阪牛。一緒に行く相手と財布に相談してお出かけください。アメリカ産牛肉の輸入再開でまた業界地図が変わるかもしれませんが、現状はこんなところです。

 焼肉で私の大好物はトンチャン。今回の記事を書くためにいろいろ調べていて何がショックだったって、このトンチャンが名古屋弁だったことですね...。まだまだです。

協力:yueさん

※以上は2005/12/10にメールマガジンとして発行したものです。


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