NAGOYANOW 名古屋外食産業事情特集

名古屋へ北から南から

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元祖・ファミレスの進出

 名古屋のファミリーレストラン事情4回目。今回は関東・関西以外から名古屋に進出してきたチェーン店の変遷と現状を見てみましょう。まずは九州から。九州を発祥の地とするファミレスの二大巨頭「ロイヤルホスト」「ジョイフル」。名古屋への進出状況は明暗を分けています。

ロイヤルホスト

 ファミレス御三家のひとつであるロイヤルホスト。本社福岡を中心にかなり早くから全国展開をしており、店舗は北海道から鹿児島まで全国をカバーしています。しかし店舗数は332店舗と、702店舗のすかいらーくグループ、同じく約700店のサイゼリヤ、ドミナント戦略で16府県にしか店舗を展開していないにもかかわらず578店舗を持つデニーズに比べると見劣り感があることは否定できません。東海3県の状況は、愛知に11店舗、岐阜に1店舗、三重県には店舗がありません。ここ10年ほどを見ると、名古屋一の繁華街である栄の真ん中に出店したり、郊外の巨大団地に出店したりしている反面、コンビニとなってしまった跡地も存在します。今では普通のファミレスのような感じになってしまいましたが、かつてロイヤルホストには、他とは違う何かがありました。

 店舗数が格段に少ないにもかかわらず、ファミレス御三家にロイヤルホストが入っているのには理由があります。それはファミレス第一号ではないものの、ファミリーレストランという業態の根底にあるシステムを最初に導入したチェーンだからです。

 ロイヤルホストの1号店が出店されたのは1971(S46)年のことで、すかいらーくの翌年なのですが、ロイヤルが会社として設立されたのは1950 (S25)年、その翌年からレストラン事業はスタートしました。現在のファミレスは、ほとんどのチェーンがセントラルキッチン制を導入しています。セントラルキッチンとは、複数の店舗で提供する料理をあらかじめ工場のような拠点で大量に作り、それをレトルトや冷凍といった形で各店舗に配送し、お店ではそれを温めるだけというシステムです。これを日本で初めて導入したのがロイヤルなのです。1962(S37)年のことでした。

 そして1964(S39)年、同じ看板でありながら経営者が違う、つまり「ロイヤルホスト」という看板と料理を別の会社に提供する、「フランチャイズ」という制度を日本で初めて導入したのもロイヤルなのです。このように、今では当たり前のようにファミレスチェーンの多くが導入しているシステムを、最初に導入した草分け的存在であることからロイヤルは別格扱いされているのです。

 かつてロイヤルホストといえば、他のファミレスチェーンに比べて高級感のある存在でした。お客の前でハンバーグにソースをかけるという演出や、季節ごとにフェアを行いメニューを頻繁に変えるという点も当時としては珍しかったものです。しかしバブル崩壊後、ロイヤルは行き先を失ってしまったような印象を受けます。価格設定もガストほどは安くないけれどもデニーズよりは安いという中途半端な状態。そして、これを導入すると一気に安いファミレスという印象になる、ジュース飲み放題のドリンクバーについても、やっているお店とやっていないお店があるというこれまた中途半端な状態。ここ最近は名古屋での新規出店を見かけることもなく、地味な存在となりつつあります。

写真
▲店舗数が減っている気がするロイホ。

いらっしゃいませジョイフルへようこそ

ジョイフル

 そんなロイヤルホストに対して、90年代中頃に名古屋へ上陸した、本社を大分に置く同じ九州のファミレスがあります。わずか10年弱で愛知に23店舗、岐阜に8店舗、三重に4店舗を展開し、その徹底したイメージ戦略によって、名古屋ではある意味確固たる地位を確立してます。創業は1979(S54)年でありながら、全国的に見ても店舗数は700店とロイヤルを圧倒、しかも毎月数店舗をコンスタントに出店し続けその勢いは今も止まりません。

 ジョイフルの特徴は何といっても安さ。それは、ガストが展開し始めた時に受けた衝撃以上でした。とにかく激安なのです。店の雰囲気は色使いといい、入店したときのセリフ「いらっしゃいませ、ジョイフルへようこそ」といい、ものすごくデニーズと似通っているのですが価格は大違い。価格設定のすごさに目を見張りました。現在では日替わりランチが399円、セットにするとケーキが199円、スパゲティ、ピザ、ドリア、ハンバーグ、カレーライス、うどんが399 円という他店を凌駕する安さを提供しています。

 愛知県にジョイフルが進出を開始した当時、豊田市の梅坪店がオープンしたときに私は初めて訪れたのですが、場所柄一人暮らしの体育学部学生が多く、オープンするや否や溜まり場となっていました。屈強な奴らのテーブルには何人前かわからないほど料理が並べられ、皆満足そうに頬張っていました。それができるのも安いからこそです。

進出当時はドリンクバーが無かった

 そんなジョイフルなのですが、このファミレスには他の低価格店と違うところがありました。それは愛知に進出した当時、ドリンクバーを導入していなかった点です。あくまでもデニーズの雰囲気を目指しつつ低価格ということだったのでしょうか。確かに、ドリンクバーを導入することで人件費はかなり抑制できますが、食事中に席を立つということで随分と店の雰囲気は変わります。ジョイフルからは、低価格でありながら本来のファミレスが持つ雰囲気を残したいという意思が感じられました。しかし時代の流れに逆らえなかったのか現在はドリンクバーを導入しています。

 その方針が功を奏してか、名古屋でジョイフルは定着しています。90年代後半新規出店が無くなり、店舗の閉鎖も見かけるようになったロイヤルホストとは対照的です。ジョイフルは低価格、というように何かに特化することができないと生き残るのは難しいということを証明しています。

会社名にはびっくりしないで

 他の地方から名古屋へやってきたファミレス、最後は北海道からやってきたアレフをご紹介します。アレフといってもあれではありません。

びっくりドンキー

 ひとつのお皿の上に、ハンバーグとサラダとライスをのっけて「ディッシュ」というスタイルで、比較的安価に本格的なハンバーグを提供しているのがびっくりドンキーです。びっくりの「び」の濁点がエクスクラメーションマークになっているのが看板の特徴です。創業は1976(S51)年で、岩手県盛岡市を発祥の地としていますが、その後福島、札幌と本社を移転しています。1985(S60)年に名古屋工場をオープンし、東海地区には比較的早くから進出。「びっくりくりくり、びっくりドンキー」というCMを流していた時期もあり、この地方への浸透は早かったと記憶しています。現在では北海道から沖縄まで約 270店舗を展開しています。

 かつてオウム真理教がアーレフと改称した際、このびっくりドンキーを運営する「アレフ」と関係あるのではないかと思われ、一時期各店舗には「オウム真理教とは一切関係ありません」というポスターが張られていました。ひょっとしたら客足にも影響がでていたかもしれません。ハンバーグレストランという特徴を持っており、愛知に25店舗、岐阜に6店舗、三重に7店舗を展開していてここ最近もじわじわと店舗を増やしていて安定しているイメージがあります。

 ここまで、他の地方から名古屋へ進出しているファミレスチェーンを見てきました。ちなみに、山口県に本社を置き東京から九州まで店舗を展開している「サンデーサン」は、名古屋地区を避けるように出店しています。系列のジョリーパスタが岐阜と三重に各3店舗ありますが、この地方でサンデーサンを知る人間はほとんどいないでしょう。また大阪に本社を置く「フレンドリー」も、和食業態を2店舗三重県に出店しているのみで名古屋へは進出していません。そして最も不思議なのがアンナミラーズです。

 アンナミラーズは三重県津市に本社を置く井村屋製菓が運営するファミレスで、デザートパイなどペンシルバニアダッチスタイルの「アメリカンフード&スイーツ」を売りにしているお店です。一時期に比べると現在は店舗縮小傾向なのですが、過去を見ても首都圏以外に出店したことはなく、井村屋製菓がファミレスをやっていることを知っている人はこの地方に皆無です。東海地区に展開したら当たると思うのですけどね、カワイイと噂されるアンナミラーズのウェイトレスの制服を一度見てみたいものです。

 ここまで、名古屋で頑張る、そして頑張っていた他の地方のファミレスを見てきました。次回はそれを迎え撃つ、また、迎え撃って散っていった地場のファミレスチェーンをご紹介しましょう。名古屋のファミレス業界は今、戦いが終わった後の状態です。全国チェーンに地場のチェーンが駆逐されてしまったのです。いくつものチェーンが消えていきました。望郷の念を抱くかのように、名古屋生まれのファミレスを次回は振り返ります。

協力:yueさん

※以上は2005/11/05にメールマガジンとして発行したものです。


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