NAGOYA REPORT 愛・地球博体感レポート

グローバルコモン4~6 注目の外国パビリオンその2

記事公開日:2005年8月6日 更新日:

 前回は愛・地球博の外国パビリオンのうち、グローバルコモン1から3の注目パビリオンを紹介しました。今回はその後編です。

 コモン4から6にある外国パビリオンをご紹介していきます。夏休みに入って入場者は意外と低調に推移しています。空いているのはお盆前が最後となるかもしれません。8月に入り真昼は 38℃を記録する日も出てきていますので、熱中症対策を充分しておでかけください。それでは、長久手会場の最も南にあるグローバルコモン4から見ていきましょう。

各エリアから注目パビリオンをピックアップ

グローバルコモン4

スイス館

 コモン4は東ヨーロッパ諸国が出展しているエリアです。芸術に関する展示が多く、優等生的な空気が漂います。もちろんここも展示内容は優等生なのですが、パビリオンの外壁に大きく「山」とだけ書かれた、不思議なパビリオンがあります。その文字は国名よりも大きく、夜になるとその「山」という文字だけに照明が当たります。

 山が国のウリであるスイス館です。スイス館のコンセプトはズバリ「山」。ここでは山を体験するプログラムが用意されています。

 館内は気圧が調節されていて、実際に山登りをしているような雰囲気のなかで山を探検するというスタイルです。実際にスイス軍が使用していた懐中電灯を改造した音声案内機を手に持ち、その懐中電灯の光を展示物の的に当てることで音声解説が流れるという、探検気分を満喫させる仕掛けつきです。ただし、音声が大きくて近くに人が多いと何を言っているのかわからなくなりますが。

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▲レストランアルペンローゼでは、山を見ながらお食事。

 そしてスイス館のオススメはレストラン「アルペンローゼ」です。ここでは、スイスを舞台にしたアニメ「アルプスの少女ハイジ」でハイジたちが食べていた、パンに溶かしたチーズを塗る「ラクレット」を味わうことができますし、「ハイジのお気に入り」なんてメニューもあります。ラクレットを食べて、売られている胸に「山」と漢字で書かれたT シャツを着れば、すっかりスイス人です。

 そのTシャツは正直どうかと...。

イラスト
▲このTシャツ買った人いるのかなぁ。今見るとこの写真(4月撮影)の人のいなさ加減がすごい。

ルーマニア館

 芸術に触れたいという方にオススメなのがルーマニア館です。ここの展示は生の舞台です。時間によってバイオリンアンサンブルだったり、祭りの踊りだったり様々なライブイベントが用意されています。ただし、定員に達すると入場自体ができません。さらに座席が木でできた坂になっていて、地面に座る格好になりますので雨の日はちょっと遠慮したいところ。

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▲レストランがとってもおいしかったルーマニア館。

 他のパビリオンも簡単に紹介していきましょう。ワッフルが大人気でいつも行列ができているベルギー館。地味だけど宇宙の研究に関してはアメリカに負けない気迫を感じるのがロシア館です。そういえば世界で初めて有人宇宙飛行を達成したのは、アメリカではなくソ連(ロシア)でしたものね。ロシア館は他にマンモスの原寸骨格標本や美しい琥珀など見どころが豊富です。そしてイギリス館の展示は地味ですが、自然から技術を学ぶことについてインタラクティブな展示となっていて子どもに人気です。

 最初は全くなかったのに、最近は現地のムーミングッズを売るようになった北欧共同館や、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアとニュースでしか聞いたことの無い国に触れることができるコーカサス共同館も興味深いです。

 そして巨大掲示板2ちゃんねるを利用している「2ちゃんねらー」なら要チェックなのがリトアニア館の映像展示です。見た目でまず2ちゃんねらーを刺激しようとしていますが、見た目だけでなく映像の内容も2ちゃんねらーが好きそうなブラックジョーク満載で、そういった類のものが好きな方なら2ちゃんねらーでなくとも楽しめます。

 逆にそういうセンスの無い多くの一般人は素通りしていきます。リトアニアと言われても、今まで私には「命のビザ」しかイメージできるものがありませんでしたが、これからは「リトアニアってどんな国?」と聞かれれば、ブラックユーモア溢れる面白い国と即答します。

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▲ブラックジョーク満載のリトアニア館。

グローバルコモン5

エジプト館

 エジプト館は入るともう別世界。ツタンカーメン王の黄金のマスクや、ピラミッドの内部などがレプリカで再現されています。なかで注目はパピルスに古代文字で自分の名前を書いてもらえるサービスです。有料ですがその価値はあります。自分の名前が芸術のような文字となります。そして人気なのがエジプトカレー。その人気の理由が不思議なのです。

 昔懐かしい日本のカレーの味がすると評判で、それを求めて多くの人がやってくるとか。日本のカレーの起源はエジプトだったのでしょうか。まさかね。

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▲単純な外装の国が多い中で異彩を放つエジプト館。

南アフリカ館・アフリカ共同館

 南アフリカ館とアフリカ共同館は繋がっているので、扉をくぐるとアフリカ大陸を満喫できます。南アフリカ館ではシーラカンスや250万年前の人類の頭蓋骨といったものの他、やはり南アフリカと言えばアパルトヘイト。人種隔離政策と戦ったネルソン・マンデラさんに関する展示が目をひきます。

 アフリカ共同館には、たくさんの出展ブースが並びそれに伴って各国の販売ブースが並んでいる格好になっています。旅行パンフレットが置いてある国があって、見ると意外と安く行けることに驚きました。でも話を聞くと「ワクチンが無いので出発1週間前から薬を飲む必要があります」と言われてビックリしたりもします。

 ここは素通りするとすぐに終わってしまいますが、スタッフに話を聞くと興味深い話が聞けます。例えば、国として独立したのはつい十数年前で、それまではある国に支配されていました。なんて話を聞いた後、すぐ隣にその「支配していた国」のブースがあったりと、まさにアフリカの縮図です。

 販売ブースも、その国が実際に郷土の品を販売しているところもあれば、日本の業者に全面委託している国もあって、詳しく話を聞くと「これは確かにその国の名物ではありますが、原材料は別の国のものです。」と、ばつが悪い表情で答えられたこともあります。ようやく8月に入り全ての国の展示が出揃ったアフリカ共同館。ここはコーヒーも中南米と違って、予想外の味だったりしますので、文化の違いを楽しむことができます。

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▲人権とは何かを考えさせられる南アフリカ館。

グローバルコモン6

タイ館

 日本にとって大切な友人である東南アジア、そしてオセアニア諸国が集うのがコモン6 です。そのなかで大きくスペースがとられているのがタイ館です。ここではタイカレーやトムヤンクンなどが楽しめるのですが、当初は肝心の展示がただの写真パネルばかりで、タイの人々からタイ政府に苦情が噴出。しばらくお休みをして内装を一掃した経緯があります。外装も変わり今はタイをリアルに感じられるものになっています。

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▲外装までもリニューアル。批判が噴出したタイ館。

ニュージーランド館

 ロード・オブ・ザ・リングが撮影された国ニュージーランド。ここはその映画の関係者が運営にあたっています。館内では人工的に雲が作られ、その雲から降る雨が世界最大のヒスイに降り注ぎます。鳥の目線で見た映像を楽しめます。

 他にも、巨大なカモノハシのぬいぐるみが写真撮影スポットとなっているオーストラリア館、熱帯雨林や世界遺産の洞窟が再現されたマレーシア館、独特な味のするヤシの実ジュースが売られている南太平洋共同館などがあります。このヤシの実ジュースは本当に独特。好みが分かれるところです。先方もそれがわかっているのか、ちゃんと飲み残し捨て場もありますので、ぜひチャレンジしてみてください。

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▲雲がコンセプトになっているニュージーランド館。

 そしてこのコモン6では、本来出展できない日本とは国交の無いあの国、いやあの地域の事実上の出展があります。カンボジア館の横にあるレストラン棟の2 階にある「イラ・フォルモサ」です。ここでは台湾料理を満喫できます。それだけならただのレストランかと思われるかもしれませんが、この「イラ・フォルモサ」は台湾政府の外郭団体の関連会社で、民間企業ではありません。

 しかも「イラ・フォルモサ」という言葉は、ポルトガル語で「おお!麗しい島=台湾」という意味です。

 台湾はこの愛・地球博への出展を希望していましたが、中国との兼ね合いでそれはもちろん認められませんでした。しかし、このレストランの出店を認めることで協会は台湾に対して配慮をしたのです。中国館はグローバルコモンの最も東端、そしてこの事実上台湾館は最も西端に位置しているのも、摩擦をさけるためでしょうか...。

 以上、2回に渡って外国館ピックアップレポートをお届けしました。

※以上は8/6にメールマガジンとして発行したものです。


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