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名古屋を代表し強い地元ブランド力を誇った家電量販店・次々と失われているエイデンの"らしさ"

記事公開日:2006年9月14日

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 かつて名古屋には、家電量販店と言えば誰しもが「エイデン」と答えた時代がありました。その当時、名古屋っ子は電化製品を迷うことなくエイデンで買うのが当たり前で、結婚などで新居を構える際には、エイデンで電化製品一式を揃えるというのが一般的な名古屋っ子のスタイルでした。紅白の幕で覆われたエイデンの軽トラックが、真新しい電化製品一式を運んでいる姿を昔はよく見かけたものでした。

栄電社からEIDENへ

 ある年齢以上の名古屋っ子であれば、エイデンというよりも「栄電社」と言ったほうが親しみがあるかもしれません。栄電社はその後CIを導入し、アルファベットの斜体で書かれた「EIDEN」となり、赤を基調とした店舗デザインになりました。ところがここ最近、お気づきでしょうか。

 エイデンはこれまでのイメージからガラリと変わり、青と黄色を主体とした店舗にデザインを変えつつあります。「EIDEN」の文字も斜体ではなくなり、横長のものとなりました。そしてこの夏、東海地方各地にあったミドリ電化の店舗が、エイデンに事業譲渡されつつあります。一体エイデンに何が起こっているのか。今回は名古屋を代表する家電量販店、エイデンの昔と今を見てみます。

個人商店として戦後にはじまったエイデン

 エイデンの創業は1948(S23)年です。個人商店としてスタートを切っています。その後株式会社栄電社となり、1965(S40)年からチェーン展開を始めました。当時のキャッチフレーズは「音と光の栄電社」。「栄」の文字の周りが光り輝いているようなマークでした。

 その栄電社の名が急速に知れ渡るきっかけとなったのが、1977(S52)年に始まったテレビショッピングです。木琴の独特な音楽とともに電化製品が紹介され、月賦で購入することも可能でした。特に、テレビ愛知で夕方に放送されていたアニメの再放送では、毎日必ずテレビショッピングが流されました。

 まだ家電製品のテレビショッピングが目新しかった時代です。栄電社はこの頃既に「エイデン」という略称を使うようになっていたのですが、現在のように「エ」にアクセントを付ける呼び方ではなく、当時は「デン」にアクセントを付けており、まさに「栄電」でした。今聞くとものすごく違和感があります。

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中部地区をネットするEIDENは多角経営

 そんな「栄電」は、1989(H元)年にCIを導入し、店舗名をアルファベットの「EIDEN」とし、ロゴの一部に赤いポイントをつけ、看板などを全て赤色で統一しました。このCIは華々しく、エイデンの新しいイメージが深く名古屋っ子に焼き付けられました。

 エイデンは広告戦略や販促に力を入れるようになり、1996(H8)年にはその部を独立させ「株式会社ハドック」という広告代理店を設立するほどにCIに力を入れます。その甲斐もあり、エイデンのイメージは洗練されていきます。

 ハドックはパーフェクTV(現在のスカイパーフェクTV!)設立に関わり、さらにそのハドックの社長が、PRIDEを運営するドリームステージエンターテインメント(DSE)の社長を兼務し、深いかかわりを持つなど多角的な展開を行い、それをエイデンとのイメージと融合させ、PRIDEの格闘家がエイデンのCMに登場するようにもなりました。

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ホームセンターを吸収して新時代へ…のはずが

 その少し前には、三河地区に「サカキヤホームセンター」を展開していた株式会社サカキヤと株式会社栄電社は合併して、株式会社エイデンサカキヤとなり、ホームセンターと家電量販店を融合させた「ホームエキスポ」という業態を開発。

 また、パソコン専門店「コンプマート」について、伊藤忠商事と共同出資で新会社を設立して関東地区への進出を試みたり、CDショップの株式会社ディット(ディスクステーション)、修理専門店「シューリーズ」など多角的な攻めの展開を一気に加速します。ところが...。

 まもなく21世紀を迎えるという、2000(H12)年あたりから、エイデンの牙城である名古屋へと一気にガリバーたちが攻め込んできたのです。コジマとヤマダです。さらには関西からミドリ電化も進出。さらにさらに、外からだけでなく内からも地盤を揺るがされます。

 三重県に本拠を置く、エイデンよりもかなり規模が小さかったギガス(関西電波)が力を付け始めたのです。それにより名古屋も家電量販店の戦国時代を迎えることになったのです。全国的にもこの頃から競争は激化し、体力の無い中小のチェーン店は姿を消していきました。

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全国区への脱皮

 コジマやヤマダに対抗するため、2001(H13)年にエイデンは大きな決断をします。広島に本社を置く、株式会社デオデオと共同持株会社「エディオン」を設立することを決めたのです。そうです。エイデンは名古屋地場のチェーンから、自らガリバーになる道を選んだのです。しかし売上も従業員数もデオデオの方が上。

 さらには、家電製品販売に特化しているデオデオに対し、あちこち手を広げ過ぎてしまったエイデンは、合理化をしなければならない状況となり、コンプマートもハドックもエイデンの一部門へと吸収合併されてしまいます。それでも、エディオンの本社機能を名古屋に置くこととなり、エイデンの面目についてこの時は保たれました。この時は...です。

 さらに大きな動きが起きます。一時期は東海地区にかなりの店舗数を出店し、エイデンに真っ向から勝負を挑んでいたミドリ電化。消費税が外税表示だった時代から、内税表示に統一し「ポッキリ価格」を売りにして、東海地区でもかなりのCMを打ち、その知名度はかなり高くなっていました。なんとそのミドリ電化が、エディオングループに参加することが決まったのです。2005(H17)年のことです。

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東海地区で競合するミドリとひとつに

 このニュースが流れた時、私はにわかにそれを信じることができませんでした。デオデオとエイデンは出店地域が違うので統合に難は無く、利点が多かったと思うのですが、名古屋にミドリがこれだけたくさんある現状で、エイデンとどう統合するというのか。私は全く想像がつきませんでした。しかし、次第にミドリの店舗は名古屋から姿を消していきました。

 そしてとうとう、2006(H18)年には三重県の名張と伊賀を除いて、東海地区全てのミドリがエイデンに事業譲渡されることになったのです。しかし、ミドリは事業譲渡について店頭に小さなポスターを掲げているのみで、ホームページの店舗案内には一切それを明記していません。

 そのことから、「やってみますのミドリ」がエイデンをどう見ているのかがよくわかります。

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規模としては業界2位へ

 ミドリが加わったことで、エディオンは売上高業界第2位の規模となりました。でも、それをエイデンは手放しでは喜ぶことはできないでしょう。なぜなら、デオデオと同じくミドリもエイデンよりも売上、従業員数ともに上。エイデンはエディオングループ3社のなかで、最も小さな存在となってしまったのです。その結果が、今のエイデンなのでしょう。

 2006(H18)年、エイデンはそれまでの完成された、そして洗練されたイメージのデザインやロゴを一新。青と黄色のありきたりなものに変わってしまったのです。なぜわざわざイメージを崩すようなことをするのだろうと、新しいマークを見ながら考えていると、ふとひとつのことに気づきました。この青と黄色という配色は、デオデオと同じだということです。

 なるほど、デオデオにイメージを「合わせさせられた」と考えれば納得がいきます。もう少し深く考えると、青と黄色を混ぜればミドリ色。なるほどね。まあ、それは考えすぎでしょうけれども。

 そして最近になって発表された事実があります。それは、2007(H19)年を目処にエディオングループの本社を名古屋から大阪に移すというものです。ミドリのある関西に本拠地移転です。もう、エイデンがエディオングループのなかでイニシアチブを取れていないことは明白です。

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長年の懸念だった瀬戸市への出店を果たし…

 10年前、とあるエイデンの方にこんな話を聞きました。「エイデンはこの東海地区で圧倒的な店舗網で、地域とともに歩んでいます。東海地区にある人口10万人以上の都市には、愛知県瀬戸市を除いて必ずエイデンがあります。瀬戸市への出店でそれが完成するのです。」

 あれから10年。エイデンは2006(H18)年10月、ようやく瀬戸市への進出を果たします。これにより、今も1989(H元)年に導入されたCI当時のまま、赤いロゴを掲げている四軒家店が無くなり、青と黄色に覆われた瀬戸店がオープンすることになります。

 青と黄色の今のエイデンを見ていると、エイデンは何か多くのものを失ってしまった気がします。その10年前にお話を伺った時に頂いたエイデンサカキヤのパンフレットにはこうあります。

「単に大きくなることが目的ではない。地域の人々への貢献につながる影響力が欲しい。」

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 今のエイデンは、単に大きくなることが目的に変わってしまったような気がしてなりません。エイデンの本社は名古屋のままとは言え、エディオングループの本社機能は名古屋から離れてしまうわけで、エイデンはもう、かつての「名古屋の電気屋さん」では無くなってしまったのかもしれません。

 今はまだ残っているあの赤いEIDENの看板。外装工事が行われたり、新店舗に移ったりして、それが青と黄色のデオデオ色に1店舗、また1店舗と変わっていくたびに、そんな寂しい思いが心をよぎっていきます。

続報

とうとう...さようなら名古屋のエイデン
2012(H24)年9月末をもって、「エイデン」という店舗名は直営店から消滅することになりました。

関連情報

エイデン
エディオン

取材協力

KAZ Communications

エイデン本社(名古屋・港区)MAP

35.100031, 136.863694

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