10.中川区 名古屋を歩こう

前田利家と犬猿の仲

記事公開日:2004年12月26日 更新日:

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きしめんの歯ごたえを追求-きしめんのよしだ

 法華西町の交差点から東に歩きます。ずっとまっすぐ歩くと、あおなみ線の南荒子駅、中川運河の中野橋、熱田区日比野、瑞穂区雁道商店街となる道です。左側に荒子小学校を見て、荒子川を越えると荒中町交差点です。そこから北東一帯が荒子界隈です。

 その荒中町交差点を左折して、北へ歩き2本目を右折すると、老舗きしめん店の工場があります、吉田麺業です。飲食店として「きしめんのよしだ」を東区の東新町や、松坂屋ナゴヤエキ店のある名古屋ターミナルビルなど数店舗構えている老舗きしめんメーカーで、創業は1890(M23)年。ここのきしめんの特徴は何と言っても歯ごたえ。しっかりとコシがあります。また、麺の表面がつるつるしておりざらつくということが一切ありません。防腐剤、保存料を一切使っておらず、小麦粉と塩水のみを練って練って仕上がっています。全国を対象に通販も行っており、つゆ付きもありますので名古屋の味が全国で食べられます。また、お店ではきしめんの豊富なメニューに驚かされます。野菜が豊富なちらしきしめん、特製ごまだれのごま酢きしめんなどなど。私はお店に行くと卵とじきしめんとみそきしめんでいつも迷います。お昼休みはいつも行列ができる人気店です。きしめん専門店ですが、味噌煮込みうどんもこれまた絶品。一度行くと100円割引券がもらえるので何度も通ってしまいます。

前田利家出生地のひとつ-富士天満社(荒子城跡)

 吉田麺業から北へ200メートルほど歩くと権現公園があります。そしてその横には富士天満社があるのですが、かつてここには天文年間(1532-55)から1575(天正3)年にかけて荒子城があり、加賀百万石の藩祖といわれる前田利家の生誕地と伝えられています。荒子城は利家の父である前田利昌が築城し、その子である利久、利家、そして利家の子利長が相継いで居城したのですが、利家と利長親子が越前国府中(現在の福井県武生市)に移ると廃城となってしまいました。現在は跡形もありません。当時、お城の大きさは東西約68メートル、南北約50メートルで、一重掘だったそうです。

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▲荒子城があった頃から残る富士天満社。
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▲1929(S4)年に建てられた前田利家誕生碑。
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▲大河ドラマをきっかけに、界隈の観光化が進められました。

 利家は1537(天文6)年もしくは翌年に、この荒子城もしくは前田城で生まれたと言われています。前田城はここから北東に2.4キロほどのところにあったのでそれ程遠いわけではなく、中川区生まれであることには変わりありません。利家の幼名は犬千代でした。15歳になると織田信長に仕え、22歳になると「まつ」と結婚します。この時まつは12歳。現在の海部郡七宝町の娘でした。その後利家は桶狭間の戦いで活躍し、33歳になると信長の命によりこの荒子城の城主となります。そして転機は39歳、越前国府中を佐々成政、不破光治とともに治めるようになり、後の加賀百万石の基礎を作り上げました。この利家とまつの活躍を描いた大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語」が2002(H14)年に放送され、最高視聴率27.6%、年間平均視聴率22.1%という高視聴率(関東地区)を獲得し、前田利家とまつが全国の脚光を浴びました。名古屋っ子夫婦の出世物語に全国が注目したというわけです。

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▲利家が1583(天正11)年に入城した金沢城(再建)。
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▲大河ドラマが放送された当時は、金沢城で加賀百万石博が開催。
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▲金沢城のすぐ南にある兼六園。

ふたつの説を結ぶ観光ルート-犬千代ルート

 生誕地と伝えられる場所がふたつあるということで、どちらが本当の生誕地なのかでもめごとが起きそうな気もするのですが、地元ではそれを逆手にとって、ふたつの場所を結ぶ犬千代ルートという観光ルートを設定しています。犬千代とは先程も言いましたが前田利家の幼名です。幼名に「千代」がつく武将は他に、竹千代の徳川家康、虎千代の上杉謙信、鶴千代の太田道灌などたくさんいました。前田利家の息子達の中で同じように千代がついているのは、利家と同じ犬千代と名付けた長男利長と、猿千代の四男利常です。犬と猿。ふたりは犬猿の仲かと思いきや、四男利常は、子どものいなかった長男利長の養子となるのです。兄弟とはいえ年の差は30歳以上あったので、確かに親子でもおかしくないのですが、お父さんがおじいちゃん、お兄ちゃんがお父さんに変わるというのは...つい呼び間違えてしまいそうで大変ですね。

 ちなみに、利常が養子に入ったのは13歳のときで、既に利家は他界していましたので呼
び間違えるということはなかったと思われます。でも、こういう複雑な養子関係はついつ
い呼び間違えそうですよね。会社に入ってから、思わず上司を「先生」と呼んでしまうこ
とがあるように...。


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