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21「船見・潮見」
人工と野生
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 東名古屋港駅から今度は南方向へと歩きます。ここからはさらに工業地帯の性格が強くなります。駅周辺ではトレーニングのために走っている人の姿を見かけましたが、ここから先は、もちろん歩いている人など見かけません。大江町の南を流れる大江川、川にかかる開橋(ひらきばし)を渡ると昭和町です。開橋は歩道と車道の間が開いています。だから開橋なのでしょうか。この先は1927(S2)年、昭和の初めに埋め立てられたから昭和町なのでしょうか。どうも東邦ガス埠頭や「稲富+永徳=稲永」以来、埋立地の地名に対して変な疑問を持つ癖がついてしまいました。ふと開橋から大江川の河口を見ると、はるか養老の山脈までも見渡せます。眺望が開けているから開橋なのかな…。
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▲開橋は何が開いている?新たに開けた地という意味?画像 ▲開橋からは遠く養老山脈まで見えます。視界が開けます。

 昭和町に入ると、やたらと歩道が広くなります。舗装して間もない様子で、かつては工場へ運搬するための、貨物列車用の線路があったのではないでしょうか。貨物輸送は二酸化炭素の排出を抑えるので、これからの時代注目されるべき運搬手段だと思うのですが、やはりトラック輸送にシフトしているようです。昭和町交差点には「カフェ&オールドキッチン」というお店がぽつんとあるものの、周囲にはコンビニも自販機もありません。このあたりの工場の人は不便を感じないのでしょうか。それとも各工場の中にコンビニがあるのでしょうか。
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▲右側はかつて線路があったような感じがします。画像 ▲お昼になると、カフェに工場の人が吸い込まれていきます。

 アロンアルファでお馴染みの東亜合成化学の工場の敷地に差し掛かると、工場の塀に埋もれたバス停を発見しました。埋もれているというのは大げさでなく本当で、実際に壁がくりぬいてベンチが置かれているバス停です。そのバス停の前を通るとき、私はゾクゾクっとしました。人が寝ていたのです。都心の公園で見かけるよりも、人っ子一人歩いていない道路で見かけるほうが怖いです。起こさないようにそーっと通り過ぎます。
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▲塀に埋まった格好のバス停。

 船見町交差点から先は、昭和町に遅れること2年。1929(S4)年に埋め立てられた船見町です。確かにここからなら船を見ることはできるでしょう。埋立地に名前を付けるのがいかに大変だったかが手にとるようにわかります。自然発生ではなく、新しく生まれた陸地に名前をつけることは、想像以上に難しいのです。
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▲煙突が工業地帯感をさらにアップさせます。

 すると喫茶店が登場しました。しかも営業しています。このあたりの工場へ物を運ぶ、運送会社の方が休憩するのでしょうね。道路の両側にまたがる工場では、道路の上をパイプラインが走っていたりと工業地帯一色なのです。船見町の交差点にはアロンアルファや物流のフジトランスコーポレーションの大きな広告看板と一緒に、どうしても場違いに思えてしまう、中古品買取のコメ兵の広告がありました。意図がわからない…。深い意味は無いただの広告なのでしょうか。それとも、コメ兵の物流倉庫がこのあたりにあるのでしょうか。コメ兵は今や東京や大阪にも出店する巨大リサイクルショップですから、侮ってはいけませんね。ブランド品がざくざくつまったコンテナがあるのかも。無いかもしれませんけど…。
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▲喫茶サボン。回転灯は光っていませんが、営業中の看板。画像 ▲工場がある東亜合成化学、アロンアルファの広告看板。画像 ▲コメ兵はこの辺りに実は基地があるのかな。

 船見町交差点の先には、名古屋市中央卸売市場南部市場(仮称)の建設が計画されています。完成すると中川区高畑にあった高畑市場がここに移ってきます。その先には天白川が流れ、天白大橋を渡ると東海市に入ります。東海市に入るとさらに工業地帯の規模は大きくなり、東レ、愛知製鋼、新日鉄、アロン化成、三洋化成などの巨大な工場群が建ち並びます。そちらには行かずに、右を望みます。西となる右には独立した島状の埋立地、潮見町があります。潮見町は1931(S6)年から埋め立てられ、1962(S37)年に現在の島の形になっています。私はかつてこの「潮見町」という名に惹かれて、どんなところだろうかと確かめに車で行ったことがあるのですが、想像していた綺麗な海岸線などは全く無く、火力発電所と石油基地があるだけの島で、道路も行き止りになってしまい、守衛さんから「何しに来たんだこいつ」という視線を浴びせられた記憶があります。今では島の南側に名港トリトンが完成し、名港潮見インターから高速に脱出できるので変な目で見られることもありませんし、さらにこんな場所になんと観光施設ができてしまいました。
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▲この先は東海市。画像 ▲天白大橋から名港トリトンを眺めます。画像 ▲高畑から市場が移転してくる予定の、中央卸売市場南部市場予定地。

 観光施設とは、ガーデン埠頭から直行船が出ていた「名古屋港ワイルドフラワーガーデン・ブルーボネット」です。ワイルドフラワーとは、人があまり世話をしなくても勝手にぐんぐん成長する、野性的な草花のことです。ブルーボネットではそれらの花を見せるだけではなく、ガーデニング教室やシンポジウム、コンサートやライブなども開いています。ブルーボネットは、中部電力新名古屋火力発電所の緑地の一部を整備したもので、中部電力創立50周年記念事業として、2002(H15)年4月にオープンしました。ガーデニングのヒントを得るためにやってくる人もたくさんいるのだとか。
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▲火力発電所の煙突が見えます。その右側がブルーボネット。

 ブルーボネットから北を眺めると、ガーデン埠頭の観覧車やポートビルを見ることができます。逆に南を望むと、名港トリトンが目に入りますが、その手前にどーんと大きな火力発電所があります。 埋立地という人工の土の上に咲く野生の花、ワイルドフラワー。発電所と工場に挟まれ、決して空気の良いところとはいえないところでも咲く花、ワイルドフラワー。ここから港の夜景を見ながら、あなたもワイルドになってみては、と言いたいところですが、このブルーボネットは夕方で閉園しますので悪しからずご了承ください。
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