13.緑区 名古屋を歩こう

名古屋の少年は皆憧れた怪しいお城

記事公開日:2005年10月20日

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 大高緑地は上空から見ると、丸々と太った怪獣のような形をしています。前回、その怪獣の角の部分から公園に入りましたが、尻尾から出ることにします。その尻尾の部分である公園の南西端には児童園があって、平日は遠足の子ども達がワイワイ遊んでいる様子を見ることができます。児童園の先には道路とJR東海道本線、東海道新幹線が並行していて「砦前」という交差点があります。砦とは何か。砦は交差点の北側にあるのですが、その砦は次回見ることにしまして、今回は砦前交差点から南へ、カップルの集うスポットがある名古屋市と大府市の市境へと向かいます。

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▲子どもたちがワイワイ遊ぶ児童園。
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▲「砦前」交差点。砦とは...一体。

 砦前の交差点のすぐ南で道路はグニャっと曲がり、JR東海道本線と東海道新幹線の間を走るようになります。それまで東海道本線と並行していた新幹線はこの先で東方向、東京方面に逸れていきます。線路優先になっていて、道路がその合間を縫うように走っていることがわかります。自動車社会の名古屋では珍しい光景です。さすがに新幹線に対しては名古屋の道路も弱いのかな。

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▲この先、新幹線に配慮して道路が折れます。

 大高南小学校を越えると右側には開発中と思われる広大な土地が広がります。そして左側には工場がぽつぽつと見えてきて、南関山交差点からは新幹線の高架をくぐって左へ行く道がありますので行ってみます。かつてのこのあたりは山だったことを示すように、道路の左右は起伏が激しいのですが、そこにへばりつくようにいくつもの工場が並んでいます。工場だけではなく中部電力の総合技術研究所や長田電機の中央研究所といった研究機関もあります。そんな山間を通る道路にしては途中から立派に整備されていて、この先に何かある予感がしましたのでさらに奥へ進んでみます。

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▲右側は広大な土地、左側には工場が見えてきます。
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▲南関山交差点を左折すると工場地帯に。
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▲こちらは中部電力の総合技術研究所。

 すると、大きな池がいきなり姿を現し、たくさんの車が止まっていました。蝮池です。ここはいつもたくさんの釣り客で賑わっています。道路だけではなく池周辺も綺麗に整備されていて、やはり名古屋市です。オブジェがあります。大きなデザイン時計に釣りをしている少年の像が座っています。この蝮池は緑区区制施行30周年を記念して1994(H6)年に整備されました。

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▲釣り客の姿がたくさん。蝮池。
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▲釣りをする少年の像が座るデザイン時計。

さらに、池の奥にもいろいろな施設があります。広大な敷地を生かした緑ヶ丘自動車学校では、大型、けん引、大型特殊から大型二種の免許を取得できるほか、二輪専用コースもあり、名古屋唯一の総合自動車学校だそうです。そしてその横には比較的新しい建物があるのですが、なんとそこは300円から1300円で宿泊できる団体用宿泊施設です。桁を間違えているのかと一瞬目を疑ってしまいますが、間違いではなく300円から1300円で宿泊できるのです。

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▲最高1300円で泊まれます。名古屋市宿泊青年の家。

 その建物の名は名古屋市宿泊青年の家。青年宿泊の家ではなく、宿泊青年の家なのがちょっと気になります。宿泊青年って何だろう。ここは宿泊施設だけではなく音楽室や体育室、研修室に教室やバーベキュー施設などが整っていて、宿泊をせずに日帰り利用も可能だそうです。宿泊青年でなくても良いということですね。そして利用対象は大人から子どもまで年齢を問わないとのことです。青年でなくても良いのです。宿泊は5人以上という決まりがありますが、日帰り利用なら少人数のグループでも大丈夫とのこと。

 各部屋の3時間半の料金は、音楽室なら600円から、教室は400円からという驚愕の価格。宿泊の利用料は小中学生が300円、15歳以上29歳以下なら400円、30歳以上でも1300円です。もちろんこの料金には食事代は含まれていません。当たり前ですね。バンドの練習や子ども会のキャンプ、ちょっとしたミーティングなどに利用価値は大きいです。オフ会にもどうぞとのことです。しかも名古屋市民でなくとも利用できます。が、条件があります。グループのうち名古屋市民が半数を占めると3ヶ月前から予約可能なのですが、それ以外の場合は受付が2ヶ月前からとなりますので、良い条件の日は名古屋市民に取られてしまう可能性があります。

 森に囲まれて、池で釣った魚をバーベキューで食べれば、気分はすっかり別荘地。青年とはもう言えない人も、青年の家に宿泊すれば気分だけは青年に戻ることができるかも。

 再び南関山交差点に戻り、南へと歩きます。左側になぜかガラス張りの展望台のある会社や、ゴムノイナキの工場が見えてくると、右側の空き地に「大高南特定土地区画整理事業」という大きな看板が見えてきます。このあたりの広大な山は現在区画整理が行われており、将来は一大住宅地になる見込みです。それにしては交通の便が悪いのではないかと思ったのですが、その看板の下には「新駅候補地」と書いてあります。そうです。ここにはJR東海道本線の新しい駅が設置されるので
す。

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▲線路の向こう側が、一大住宅地に。
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▲JR東海道本線、新駅候補地。

 新しい駅は、大高駅から南に1.8キロ、共和駅から北に2.3キロの地点に設置されます。開業は2009(H21)年春を予定していて、それに合わせてアクセス道路やバス路線、パークアンドライド駐車場などが整備される予定です。ここに駅ができれば名古屋駅までわずか10分程で出られることになりますから、この新しい住宅地は人気となるでしょう。ただし、名古屋高速に名四国道(国道23号)、JR東海道本線と東海道新幹線に挟まれる格好になりますから、交通の便は良いかもしれませんが騒音などはあるかもしれません。今はまだそんな将来の姿も予想できないような森です。もちろん、この宅地化に反対している地元の住民もいます。

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▲現在、線路の向こうは空き地ですが、将来は巨大団地の入口に。

 更に進み、建設中である国道302号の高架をくぐると左側にはホテルや大須ういろの工場が登場し、右側が森から大きな池にかわります。水主ヶ池公園です。池の周辺には名古屋グランドボウルを核とした「名古屋レジャーランド」があります。とにかくこのボウリング場はでかい。レーン数156を誇ります。かつては森の中でボウリングという雰囲気だったのですが、現在は高速道路に囲まれてボウリングという様相です。池の周囲は名古屋高速と伊勢湾岸自動車道が接続する名古屋南ジャンクションとなっています。唯一開けていた北側もまもなく国道302号線が通ることになります。これだけアクセスに恵まれたボウリング場は名古屋には他に無いでしょう。

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▲国道302号は環状化に向けて工事中。
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▲水主ヶ池は高架道路に囲まれています。
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▲156レーンを誇る名古屋グランドボウル。かつては別館もありました。

 いよいよ名古屋市の南端です。次第に歩道の舗装がガタガタになっていきます。名古屋市も末端まで面倒は見ていられないということでしょうか。この先はちょうど大府市との市境に名四国道(国道23号)の共和インターがあり、昔からあることで有名な場所となっています。先程ホテルが一軒ありましたが、名四国道沿いにはもう数え切れないほどのホテルがあります。夜になればピカピカと光る、そう、もちろんラブホテルです。大高は名古屋でも有数のラブホテル街です。

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▲大須ういろの工場。ちゃんと工場内に提灯がありました。
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▲2つのホテルが並びます。「大高」といえばラブホテルの代名詞。

 少しずつ打ち解けてきた初々しいカップル。もし彼氏が「大高にでも行くか」と言ったら、たとえそれが緑地公園やボウリング場へ行くという目的だったとしてもそれはカモフラージュです。真の目的はそうではありません。この大高のラブホテル街が最終目的地です。多くの名古屋っ子がここでホテルデビューを飾っていることでしょう。かつては高速道路も無く、名四国道も今ほど太くはありませんでした。現在もたくさんのホテルがありますが、かつてはもっとたくさんありました。これでも道路拡張などによってホテルは少なくなっているのです。

 昔この大高には、ものすごいインパクトのあるホテルがありました。私は幼い頃、内海へ海水浴へ行った帰りにここをよく通ったのですが、幼心にそれはとても印象に残っています。ホテルの外観はまさにお城。しかも夜になるとそれは鮮やかにライトアップされていました。幼い頃は一体何のお城だろうという疑問を持ちながらも、その異彩ぶりに親には聞けない雰囲気がありました。

 そしてそれがラブホテルだとわかった思春期になるとさらに興味が沸き、中学生ともなると友人たちとの間でもこのホテルは頻繁に話題に上るようになりました。お殿様と腰元の衣装のレンタルがあるらしいぞとか、畳敷きで内装もちゃんとお城になってるらしいぞなどなど。先生に聞くと、先生は笑いながら冗談交じりで「あそこは太鼓が鳴るぞ」と言っていましたが、それは本当だったのでしょうか...。そしてそのお城の中ではいろいろなことが行われているのだろうなと、思春期の少年たちの頭のなかは妄想でいっぱいになりました。

 しかし、私たちがようやく大人になった頃には、ホテル徳川の勇姿はもうありませんでした。妄想は妄想のまま永遠に。


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