06.千種区 名古屋を歩こう

平和な公園に残る戦争の爪痕

記事公開日:2004年7月6日 更新日:

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ユリの花の横に空襲爆撃の跡-素盞男社・千種公園

 清明山交差点から、茶屋坂通をさらに西へと歩いていきます。茶屋坂通は次第に出来町通と呼ばれるエリアに入ります。すると古出来町交差点がありますので、そこを左方向、南へと歩きます。この通りは環状線でこのまま真っ直ぐ歩くと今池に出ます。すると右手に大和小学校があります。その奥に素盞男社があるので寄ってみましょう。素盞男尊(すさのおのみこと)を祀っており、別名藪天王龍神とも呼ばれています。ひっそりとしていますが幟は数多く、信仰の厚さを感じます。

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▲静かに佇む素盞男社。
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▲藪天王龍神と書かれた幟が数多くあります。

 素盞男社の南にある大和公園の南側を歩いて環状線へと戻ります。そしてもうひとつ南の信号を渡り、そのまま真っ直ぐ歩くと千種公園があります。ここはユリの花園が有名な公園で、12,000球も植えてあるとのこと。見頃は5月末から6月末ということでしたが、訪れたのが少し早かったか、一部しかまだ咲いていませんでした。満開になると一帯に様々な色のユリが花開くことでしょう。

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▲この交差点を越えると右手に千種公園があります。
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▲ユリの花園です。オレンジ色のみが咲いていました。
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▲もう少しすると様々な色のユリが満開になりそうです。

 公園内には野球場、テニスコート、児童球技場もあり元気な声が響きます。もちろん、デザイン宣言都市名古屋に欠かせない彫刻像「切株と少女」(山本正道作1988)や、時計には大きな金属製のトンボのオブジェが飾られています。またこの日は、高校生カップルがベンチでまったりとした時間を過ごしていて、平和でのどかな空気が漂います。しかし、そんな平和な公園にも悲しい過去があります。

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▲児童遊園では子ども達が遊んでいました。
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▲時計に止まるトンボのオブジェは巨大。
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▲切株と少女...。少女は一体何を思う...?

 この千種公園はかつて、名古屋陸軍造兵廠千種製造所でした。1919(T8)年から兵器製造を行っていました。そして第二次世界大戦終戦の半年ほど前、1945(S20)3月にあった名古屋空襲によりここで69名の方が亡くなられました。当時の建物の断片が、公園内には現在も残されています。壁には爆撃によるものと思われる穴が残されており、当時の空襲がいかに猛烈なものであったかを思い起こさせます。

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▲名古屋陸軍造兵廠千種製造所の外壁。大きな穴。

 1968(S43)年6月には、その69名の犠牲者を弔うために碑が建てられました。そこには、
「ここに涙ありされど平和は永遠に」
 と、当時の杉戸名古屋市長の言葉があります。いつまでも今のような平和な千種公園であって欲しいと願うばかりです。それは戦争だけではありません。昨今は名古屋市内も治安が悪くなっており、公園で子どもの連れ去り事件や、夜間に人が襲われたりといった事件が後を絶ちません。こういった散策も、私は日が落ちかける前に帰るようにしています。今は名古屋市内でも何が起こるかわかりませんからね。世知辛いものです。

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▲こちらが69名の死者を弔う碑です。

次第に街灯の広告は...-仲田本通商店街

 千種公園の西側の道路を南に歩いていきます。左手に東市民病院が見えてきて、次の交差点を越えると仲田本通商店街に出ます。東市民病院西交差点の次の交差点を斜めに道路が横切ります。そこを右に曲がります。すると地面は綺麗に煉瓦調の色で舗装され、時計台や街灯が整備されています。

 しかし、ここを真っ直ぐ行くと今池という場所柄か、歩道は次第に自転車置き場となり歩くのがやっとになってしまいます。また、今池には多くのラブホテルがあることから、街灯の広告はラブホテルばかりになります。このあたりは住宅街なのですが、今池駅周辺はラブホテル・風俗・サウナといったお店がひしめく繁華街です。住宅街とそういったお店が隣り合っているどころか、スーパーの横が風俗という中村区大門と同じような景色になります。それでは、その今池の繁華街は後で見ることにして錦通を西へと歩き、千種区の西端・千種駅へと歩きましょう。先ほどまでの住宅街が嘘のように、高層ビルに囲まれます。錦通の一本北の通りを除くと、夜なら思わず吸い込まれてしまいそうなお店がたくさんあります。

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▲綺麗な歩道も次第に自転車に占領されます。
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▲ここは幼稚園。そのすぐ横には...。
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▲街頭の広告もラブホテルばかりです。

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