おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信

この地方ってどの地方?

記事公開日:2004年1月10日 更新日:

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この地方のニュース

 名古屋以外の地域から名古屋へ引っ越してきた知人に、こんなことを聞かれました。

「テレビでさぁ、『この地方』って言うけど、あれってどこからどこまでなの?」

 生まれてこの方ずっと名古屋のテレビを見てきた私は、そんなことを考えたことがありませんでした。聞くと、彼の地元のテレビ局ではローカルニュースのことを「県内のニュース」と言い、「この地方」という言い回しはしないと言うのです。

 テレビ愛知を除き、名古屋のテレビ局は愛知、岐阜、三重の3県をカバーしています。もちろんそのために、「県内のニュース」という言葉は使えないのですが、この3県を指す的確な言葉は無いのでしょうか。

 実は、名古屋を中心とした地域の名称は複数あり、その上それぞれ定義が違うためにこういった事態を招いているのです。それぞれ検証してみましょう。

この地方を示す的確な表現は無いのか

-「中部地方のニュース」ではいけないのか?

 名古屋にあるテレビ局の中に中部日本放送(CBC)があります。「中部」とはどこまでを指すのでしょうか。社会科の教科書や百科事典では、愛知・岐阜・静岡・山梨・長野・新潟・富山・石川・福井の9県と定義されることが多いのですが、実は特に定められているというわけではありません。法律としては「中部圏開発整備法」に中部圏の定義として「中部圏とは愛知・岐阜・三重・静岡・長野・滋賀・富山・石川・福井」とあります。山梨県が首都圏扱いに、三重・滋賀は中部圏・近畿圏の掛け持ちとなっています。結局、どちらにしても範囲が広すぎるために、愛知・岐阜・三重の3県を表わすには不適当です。中部日本放送は看板に偽りありなのでしょうか?いえ、もともとはそれくらいの地域をカバーすることを目指していたものと思われます。そのせいかそれが実現できなかった今日では、放送で「中部日本放送」と言うことは全く無く、逆にCBCがそんな正式名称であることを知らない名古屋っ子がほとんどです。

-「東海地方のニュース」ではいけないのか?

 次に東海テレビの「東海」について考えてみます。こちらも明確に定義をする根拠はありませんが、ニュースの中で「東海」は、愛知・岐阜・三重を指す言葉として頻繁に用いられています。その際は「東海3県」として使用されます。単に「東海地方」と言った場合には静岡県を含む4県と考えられているようです。実際、愛知・岐阜・三重・静岡を指す場合、NHKニュースでは「東海地方」とストレートに表現します。他のテレビ局では静岡を含む場合、「東海4県」と言って区別することもあるのですが、ただ単に「東海3県」と言った場合、東海道の通り道である静岡・愛知・三重の3県と思われてしまう可能性もあるため、ニュースの中では「愛知・岐阜・三重の東海3県」という一つの言葉として使用されるのが一般的です。しかしローカルニュースに切り替わる都度「愛知・岐阜・三重の東海3県のニュースです。」と言うのも長いので使いづらいですし、「東海テレビ」というテレビ局があるために、他局は「東海」という言葉を使いたくないという事情もあるようです。

-「中京地方のニュース」ではいけないのか?

 中京テレビというテレビ局がありますが、この「中京」と言う言葉は、曖昧なだけでなく一般的にはあまり使用されません。「中京工業地帯」や「中京地区にて発売」といった具合に、ビジネスにおいて名古屋を中心としたひとかたまりのマーケットとして区切る場合に用いられることが多い言葉です。あえて定義するならば、名古屋を中心として、愛知県尾張、岐阜県美濃、三重県北勢、北は岐阜市から南は津市までの濃尾平野と同じ範囲を指す言葉になるのではないでしょうか。愛知・岐阜・三重全体を指す言葉としては力不足な気もしますし、「中京」と言ったら無条件に「中京テレビ」を指すくらいのイメージが出来上がってしまっているので他局は絶対に使うことは無いでしょう。

 他に「愛三岐(あいさんぎ)」という言葉もありますが、一般的ではありません。

 このように中部も東海も中京も、愛知・岐阜・三重県の3県を指す言葉としてはしっくり来ないのです。では、この3県各県にあるローカルテレビ局ではどういう言い方をしているのでしょうか。

名古屋周辺地図
▲名古屋を取り囲む周辺の県の位置関係です。

名古屋周辺各県のテレビ局はどう言っているのか

―テレビ愛知

 愛知県のみを法定エリアとするテレビ愛知。しかし実際は岐阜県や三重県の人口集中部をカバーしており、また日本経済新聞社と関係があるために、経済を重視した報道をしています。そのため愛知県外をスパっと切り捨てることができず、岐阜や三重のニュースも扱っています。そのためこの局も「この地方のニュース」という言葉を使用することが多いようです。ただ、「東海地方のニュース」や、「ここからはテレビ愛知です」という言葉を聞くこともあり、特に定まっていないようです。

-岐阜テレビ

 岐阜県を法定エリアとする岐阜放送は、岐阜新聞とともに「I Love GIFU-ふるさとを愛しましょう」というキャンペーンを展開するなど岐阜県にこだわっています。実際、岐阜県外での視聴は困難です。使用している言葉は「岐阜県関係のニュースをお伝えします」で、県外で起きたニュースでも岐阜県に関係することなら報道するという姿勢です。ただラジオの一部の時間帯では「この地方のニュース」と言っています。

-三重テレビ

 三重県を法定エリアとする三重テレビですが、広く愛知県でも見られています。しかし「三重県内のニュースをお伝えします」と控え目で単純明快です。

ウルフィ
▲名古屋以外でも映る名古屋テレビのウルフィ。この地方ってどこまで?

この地方を多用するふたつの理由

「この地方」を使う理由は、以上の様に地方を定義する言葉が曖昧というだけではありません。実は、報道の対象地域自体も曖昧なのです。静岡県でも愛知県寄りの浜松などでは名古屋のテレビ局が見られていますし、また浜岡原子力発電所があるために、その関係のニュースを名古屋のローカルニュースとして報じることもあります。さらに特にNHKの場合は、時間帯によって北陸地方も同じ名古屋からのニュースを放送することがあり、福井県での話題にて「この地方では初めてです。」という言い回しを聞いたことがあります。こうなってくると、「この地方」は愛知・岐阜・三重を指す言葉ではなく、「今、このニュースが映っている地域」としか言い替えが
できません。

 なぜこういったことが起きるのかといいますと、NHKのローカルニュースは多くの地域で広域ニュースと県域ニュースの2段階に別れているのですが、「この地方」の場合、「県域」、少し広域の「愛知・岐阜・三重」、さらに広域の「愛知・岐阜・三重・静岡・福井・石川・富山」と、3段階に区分けされているために、時間帯によってニュースの対象区域も変わっしまうため一括りにはできないのです。

 このように地域の定義が曖昧なうえに、報道する側の対象地域も曖昧であることが重なって、「この地方」が多用されていると思われます。しかしNHKは普段「この地方のニュース」という言葉は使用しません。何と言っているかと言いますと...。

「名古屋からお伝えします。」「名古屋のスタジオです。」

 これが最良かもしれません。伝えるニュースの範囲が曖昧なのですから。

 結局、知人に対して明快な答えをすることはできませんでした。とにかく「この地方」は「この地方」なのです。これからもこの曖昧さは変わらないでしょう。以上、この地方の話題でした。

イラスト
▲佐賀もカバーする福岡局は「エリアニュース」。岡山香川2県カバーのTVせとうちは「せとらんどのニュース」だとか。

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