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第28回
あれもこれも名古屋の味
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2004.06.12 |

あったか〜い+つめた〜いを生んだのは名古屋 |
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名古屋の味。と言っても名物ではなく、名古屋を発祥として全国に広がっているものが
あります。全国に通用している名古屋の味ということで、今回は名古屋を発祥とする食品
企業を見ていきます。

缶コーヒーでおなじみのポッカコーポーレーション。名古屋市東区に本社を構える名古
屋企業です。コーヒーだけでなく「じっくりコトコト煮込んだスープ」といったインスタ
ント食品でもおなじみです。他の飲料メーカーに比べると、街角で自動販売機を見掛ける
ことは少ないかもしれませんが、今や当たり前になった「つめた〜い」「あったか〜い」と
両方書かれた自動
販売機を開発したのはポッカなのです。1973(S48)年、それまでジュースの自動販売機は
冷却機能のみで保温機能はありませんでした。ポッカは「ホット/コールド型自動販売
機」の開発に成功し、季節を問わずコーヒーを安定して販売することを可能にしました。
コーヒーをメインにしているメーカーだったからこそ、ひとつの自販機で両方を販売したいという思いが
強かったのではないでしょうか。

ポッカの開発したものはそれだけではありませんでした。コールド・ホットの自販機どころか、世
界で初めて本格タイプ(190g缶)の缶コーヒーを開発したのはこのポッカなのです。その後
も、特許を取っている脱酸素製法をはじめ、ファーストドリップ製法、遠赤ダブルロース
ト製法など缶コーヒーのおいしさを追求し続けています。今では缶コーヒーだけでなく、
「カフェ・ド・クリエ」というカフェ店舗を関東から九州にかけて出店している他、香港
にはコーヒーショップや和風レストランも出店しています。

そんなポッカですが、創業はコーヒーではありません。食卓に置かれていることの多い
レモン果汁「ポッカレモン」が原点なのです。レモンについてポッカは大学と共同研究を
行っており、血流を良くする作用があることや、抗酸化作用、キレート作用といった機能
があることを明らかにしました。現在ではレモンまるごと1個分の果汁が入った「キレー
トレモン」が人気となっています。レモン果汁飲料、本格缶コーヒー、そしてあった〜い、つめた〜い
の自販機。これらは名古屋が発祥ということになります。

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▲缶コーヒーのぬくもりは名古屋の優しさ。 |
株主をファンにしたい |
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続いてはトマト加工品大手のカゴメです。こちらは名古屋市中区に本社を構えています。
カゴメの始まりは1903(M36)年、日本で初めてトマトピューレーの製造に成功しました。その後
1908(M41)年にトマトケチャップ、ウスターソースの製造を開始、そして1933(S8)年にはト
マトジュースを発売します。この当時は愛知トマトソース製造という会社名でした。現在
のカゴメ株式会社になるのは1963(S38)年のことです。

カゴメのキャッチフレーズは「自然を、おいしく、楽しく。」これは自然の恵みを享受
するということだけではなく、自然に反する添加物や技術に頼らない、地球環境・体内環
境に配慮して食の楽しさを創造することを表しています。そして今カゴメは、食品加工に
留まらず、自然の恵みが持つ抗酸化力や免疫力を活用して、健康に繋がる食品開発を進め
ています。2002(H14)年には雪印ラビオの全株式を取得して子会社化し、社名をカゴメラ
ビオとしました。カゴメラビオは、乳酸菌などを活用し健康連鎖をもたらすことを目的と
した会社です。野菜だけでなく乳酸菌を取り入れることで、さらに健康飲料の幅を広げて
いこうという狙いです。

またカゴメは、株主を単なる出資者と考えず「カゴメを味わう株主懇親会」を開いてい
ます。カゴメの社員が、トマトを使った新しいメニューを株主に提案するというイベント
です。名古屋から日本全体を健康にする、そんなカゴメの思いは野菜の抗酸化力と乳酸菌
の免疫力の複合技という形になって全国へと広がっていきます。

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| ▲カゴメ本社1階にあったケチャップ料理店。アンテナショップかな。 |
薬で健康、会社も健康 |
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一方、名古屋お菓子産業のメッカ、西区に本社を構える名糖産業を見てみましょう。ポッカやカゴ
メに比べると、全国的にメジャーとは言えないかも知れませんが、アルファベットチョコ
レートをはじめ、キャンディ、粉末飲料、アイスクリームなどを製造しています。近年は
バウムクーヘンで有名なエースベーカリーを完全子会社化し、連結で増収増益となってい
ます。

おそるべきはその経営体質です。有利子負債はゼロ、総資産の約7割が剰余金という超健
全経営です。この名糖産業、元々はお菓子のメーカーでは無く、富士製薬という薬メー
カーでした。配置家庭薬と肝油製剤からスタートし、医家向けの医薬品へと幅を広げます。
その後オックス製菓を吸収合併しお菓子の製造を始めそちらで有名になりますが、現在も化成品部門があり、
微生物から発酵技術を用いて多糖類や酵素などの製品を作り出しています。

特にこの発酵技術には強みを持っていて、製薬・化粧品の原料として適しているデキス
トラン誘導体、酸化鉄デキストラン複合体、磁性酸化鉄デキストラン複合体といった合成
産物を作れるのは、国内では名糖産業だけだそうです。名糖産業と言うと、レモンティー
やチョコレートばかりをイメージしていましたが、医薬品原薬製造が本業だとは知りませ
んでした。あなたが飲んでいる医薬品にも、名古屋・名糖産業の技術が生かされているか
もしれませんよ。

これら東証1部に上場している名古屋の食品企業を見てきますと、キーワードは健康と
言えるのではないでしょうか。ただ食べて飲んでおいしいだけでなく、そこに付加価値を
見出したい。そういったところがいかにも名古屋らしい気がします。

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| ▲西区の名糖産業。医薬関係材料を製造しているとは知らなかった。 |
なぜ地元に展開しない! |
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最後に、名古屋からは少し離れるのですが三重県津市に本社があり、東証2部に上場し
ている井村屋製菓をご紹介します。井村屋製菓と言えば肉まん・あんまんが有名です。大
手コンビニエンスストアとも提携しているので全国で販売されています。他にもあずき
バーや、水ようかん、たい焼きアイスといった小豆を中心としたお菓子を製造しています。

またお菓子以外にも、調味料事業部では野菜パウダーや味噌パウダー、醤油パウダー、
肉パウダー、魚パウダーといった粉末が数え切れない種類製造されています。これはどう
いった使われ方をするのかと言うと、インスタントラーメンメーカーなどはこういったパ
ウダーを組み合わせて独自の配合を考え、自社のスープを作るわけです。その混ぜ合わせ
る前のパウダーを専門に、井村屋は製造しているわけです。ひょっとするとあなたが食べ
ているインスタントラーメンやスープも、元は井村屋で製造されているかも知れません。

さて、井村屋は外食産業に進出しているのですが、名古屋っ子や三重県の人はその事実
をほとんど知りません。なぜなら、井村屋は三重の会社でありながら、その外食店舗は東
京・千葉・神奈川にしか出店していないからです。井村屋の外食業態「アンナミラーズ」
は、アメリカンスタイルのレストランでハンバーガーやサンドイッチを主力としています。
デザートにも注力しており、アメリカンパイは大変人気だそうです。

しかしそれだけではなく、アンナミラーズは出てくる料理以外に大変人気となっている
魅力があります。それはウェイトレスの制服です。東京ではファミレスの制服の代名詞と
してアンナミラーズという言葉が使われるほどだそうです。その制服はピンクを基調とし
てレースがふんだんに使われていて可愛く、制服が着たいがためにアンナミラーズでアル
バイトしたいという女性も多いと言います。また、胸が強調されていてなおかつミニス
カートということで、それを見たい男性客も多く来店します。しかも店舗によってデザイ
ンが違い、全店制覇を目指す兵もいるとか。

井村屋さん、なぜ本拠地である東海地方にアンナミラーズが無いのでしょうか。早急に
名古屋出店の計画をお願いします。

※2006(H18)年12月、井村屋は2008年3月期からの3ヶ年計画を発表し、アンナミラーズを中部・関西地区へ出店する計画が明らかになりました。

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