おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信 第3章 名古屋の企業

「いつかは...」自動車王国のステータス

記事公開日:2004年5月1日

おいでよ!名古屋みゃーみゃー通信 第23回

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 前回はトヨタ自動車について書きましたが、トヨタでふと思い出したことがいろいろとあったので今回も自動車にまつわるお話です。

 以前にも名古屋が自動車王国であるというデータを出したことがありますが、もう一度見てみましょう。愛知県は自家用乗用車数1位、一般道路の実延長3位、道路の舗装率は87.7%で11位、自動車の通行量は東京・大阪の1.25倍(以上H11年データ)、そして交通事故死亡者数は3位(H15年)となっており、この数字を見ただけでもいかに自動車社会であるかということがおわかりいただけると思います。

名古屋は自動車王国

 東京や大阪では考えられないと思いますが、大学生もほとんどが自分用の自家用車を所有していて、大学側も広大な駐車場を用意しています。また、名古屋市内勤務者の6割が自動車通勤をしています。これらの原因は名古屋っ子が車好きというのもありますが、電車をはじめとする公共交通機関が張り巡らされていないという事情もあります。

週末のコイン洗車場は大盛況

 名古屋っ子の車好きぶりは、週末午前中にコイン洗車場へ行けばわかります。大抵どこでも順番待ちが出るほどの盛況ぶりで、たくさんの人が愛車を洗っています。しかも毎週来ているという人も多く、一週間の通勤の汚れを落とさないと気が済まないといった様子です。

 ですので、名古屋っ子の週末の朝は忙しいのです。朝早くコイン洗車へ行き、場所を確保ししっかりと洗う。もちろんワックス掛けや車内清掃もします。「そんなのガソリンスタンドでやってもらえばいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、名古屋っ子は自分の車に愛情を持っているので、スタンドまかせになんてできないのです。自分の手で隅々までしっかりと汚れを落としてあげるのです。

自分で洗いたい!

 そういう人に「なぜスタンドに行かないのか」と聞くと、「スタンドの洗車機は目に見えない傷を付ける」という根拠の無い言い訳を大抵します。

 自分の車を愛していて他人になんてまかせられない、というのが本音なのですが、それを口にするのは少し恥ずかしいためにこういったことを言うのです。そして洗車が終われば喫茶店でモーニングサービス、これが名古屋の週末の朝です。このように名古屋っ子は休日の朝が忙しいので、金曜夜に遅くまでお酒を飲むわけにはいかないのです。


▲名古屋の都市計画はまず道路ありき。

公共交通の悪循環

 そして公共交通機関の状況についてですが、最近は他の都市も名古屋の料金に近づきつつありますが、名古屋市内を走る地下鉄は初乗り料金が全国で一番高く、万博に向けて地下鉄の延長やリニアモーターカーの建設などここ最近は一部で路線が延びているものの、名古屋鉄道(名鉄)は不採算路線を相次いで廃線しています。

名鉄はこれまで総延長路線距離全国私鉄2位という地位を保持してきたのですが、そんな数字よりも利益を優先するというコメントを発表し、今後も不採算路線は次々と廃止していく計画を立てています。

 名古屋市は戦後の復興計画で、自然発生的に生まれた屋台街を排除して大きな道路を建設したりと、まず自動車ありきで街づくりをしてきました。そのため遊ぶにも通学・通勤するにも営業活動をするにも車が無くては始まらなくなってしまったのです。そして皆が自家用車を持つようになり余計に公共交通機関の利用者が減ってしまい、さらに駅前が寂れるという循環が繰り返されています。

トヨタの力が名古屋を作る

 名古屋が自動車主体となったことには、やはりトヨタ自動車の存在を抜きには語れません。自動車と共に歩む決意をした挙母市が豊田市に市名変更をしたお話は前回しましたが、それ以外にも名古屋ではトヨタグループの力を実感できるものがたくさんあります。

若者を導くトヨタパワー

まずは名古屋大学。この国立大学には「豊田講堂」というホールがあるのですが、これはその名のとおりトヨタ自動車が寄付したものです。また、豊田市ではなく名古屋市天白区にある「豊田工業大学」もトヨタ自動車の寄付金によって建てられた大学です。

 またトヨタ自動車は、蒲郡市にできたリゾート施設「ラグーナ蒲郡」に愛知県・蒲郡市といった行政の次に大きな金額を出資していますし、名古屋駅前に計画されている2006(H17)年秋に一部完成予定で中部一の高さを誇る「名駅四丁目七番地区再開発ビル」はトヨタ自動車と傘下の東和不動産、そして毎日新聞の合弁となっています。

名古屋の景気が良い理由

 そして今、名古屋の景気が良い理由はトヨタの景気が良いの一言に尽きるわけです。もうお分かりだと思いますが、名古屋は車社会なのではなくトヨタ社会なのです。愛知県西部の名古屋や尾張地域ではそこまで感じないかもしれませんが、これが東部の三河地域へ行くと顕著になります。私は大学時代、豊田市内でアルバイトをしていたのですがやはり豊田市民のトヨタ信仰は厚く、それをまざまざと見せ付けられました。具体的に事例を見ていきましょう。

ラグーナ
▲トヨタも資本参加している「ラグーナ蒲郡」三河に地中海がやってきた。

トヨタのお膝元での体験談

 ある日、アルバイト先の社員が新車を買いました。この人は豊田市民でありながら、親戚が日産自動車に勤めているらしく、当時(10年ほど前)は豊田市内に日産ディーラーが無かったにもかかわらず、日産の新車で職場に現れました。私は素直に「カッコいい」というリアクションをしたのですが、周りの豊田市民の反応は冷たいものでした。

 開口一番「どうして日産なの」という言葉が出てくるのです。しかもそれは一人や二人ではありません。彼の新車を見た人ほとんどが、最初にその言葉を口にするのです。私はさすがに驚きました。その後、私はマツダの中古車を買ったのですが、もちろん罵倒の嵐でした。しかもそれはデザインとか性能のことではなく、「どうしてトヨタに乗らないの?車と言ったらトヨタが当たり前でしょ」と言わんばかりのもので、具体的な指摘はありませんでした。

豊田市にはなかった日産のディーラー

 その後、豊田市に初めて日産のディーラーが進出します。三河日産の「日産ギャラリー豊田梅坪」です。日産なのに豊田なのです当たり前ですが...。当時の日産は、プリンス店やサニー店など、店によって扱う車種を絞っていましたが、この三河日産だけは全国唯一全車種を扱うことのできるディーラーでした。

 その後、日産が販売店をレッドステージ、ブルーステージに再編した際にも、この三河日産は「レッドアンドブルーステージ」となり、看板は青と赤のグラデーションに、そしてもちろん全車種を扱っています。全車種を扱わなければ成り立たないのです。豊田市を中心とした三河地区での日産の現状はこういった状態なのです。だからこそ「なんで日産なの?」になるわけです。

車は土禁

 もうひとつエピソードがあります。豊田市でアルバイトをするようになって初めて、みんなで遊びに出かけることになりました。そこで女の子が車を出すことになりました。なぜ男が出さないのか、と思われるかもしれませんが、「私、車出すよ」と言うことは、この地域では自分の車をお披露目したいという意味が含まれるので、それを遮ってはいけないのです。そして当日、車に乗ろうとすると車の持ち主から全員にスーパーのポリ袋が渡されました。

「あ、私の車、土禁だから。」

 実はこれ、車好きが多い名古屋では珍しいことではありません。車を土足禁止にしている人がいるのです。そのため乗り降りするために靴を脱がなくてはなりません。運転手は別に車内用の靴を用意していてそれで運転をすることになります。このように、名古屋そして豊田の若者は本当に自分の車を愛していて、綺麗さを保ち続けているのです。

 しかしそれは若者だけではありません。私は東京や大阪へ行くと驚くことがあります。それは外車の多さです。成功するとベンツ・BMWに乗るというのがステータスシンボルのようですが、名古屋ではそれほど見かけないのです。もちろん走っていないわけではありませんが、それよりも本当によく見かけるのがトヨタの高級車です。やはり歳をとっても憧れはトヨタなのです。

いつかは、クラウン

「いつかは、クラウン」このキャッチフレーズが記憶にある方は多いと思います。このフレーズはもう使われていませんが、今でも「いつかはあの高級品を買いたいな」という比喩に使われることがあります。しかし名古屋では今でも本当に「いつかはクラウン」と思っている人が多いのです。

 このキャッチフレーズは、「あなたはお金持ちになった時、どんな車に乗りたいですか?」という問いかけが元になっていると思うのですが、こんな想像自体が、名古屋ならではだと思うのは私だけでしょうか。東京や大阪のお金持ちは、お金があるから高級車に乗っているのであって、高級車に乗りたいからお金持ちになったわけではないと思うのです。

 でも、名古屋には本当にいるんですよ。高級車に乗るために成功を夢見る人達が。

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▲そうです。失業率が低いのも、景気がいいのも全てあなた様のお陰です。

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