オイシイもの食べたよ! 名古屋めしと☆呼ばないで!

名古屋めしと...(3)-名古屋名物...とは言い切れない

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天むすは本当に名古屋名物なの?

 これまでご紹介してきた、味噌煮込みうどんやきしめんは、名古屋名物であるとともに、
実際に名古屋っ子がよく食べるものである。自信を持って、胸を張って、名古屋名物だと
言うことができる。対して、名古屋名物として広く知れ渡っているにもかかわらず、名古
屋っ子としては、名古屋名物と言えるのだろうかと首を傾げてしまうものがある。その代
表格は「天むす」であろう。

 天むすとは、海老の天ぷらがおにぎりに刺さっているものである。若干海老天の塩味が
強いものの、元々おにぎりというのは塩味が効いているわけで、それほど代わり映えのす
るメニューではない。かつては違う海老が使われたこともあったらしいが、現在使われて
いる海老はアカシャエビである。海老せんべいの原材料ともなるその小さな海老の天ぷら
が入っているおにぎり、それが天むすである。小さいのは海老だけではなく、おにぎり自
体も小さい。普通のおにぎりの半分くらいのサイズである。女性でもまるごと1個を口に
頬張れる程度の大きさである。その手軽さと、絶妙な塩加減が受けているのであろう。付
け合せには必ずきゃらぶきが添えられているのも特徴だ。

名古屋ではお祭りの屋台などでも
天むすを見かけることが多いです。

写真
写真
めいふつ天むす千寿
<本店>大須赤門交差点から南へ50m
<栄>松坂屋本店地下2階
<セントレア>4階ちょうちん横丁

天むす発祥の地は三重県津市

 天むすの歴史を紐解くと、天むすは名古屋が発祥ではないということがわかる。天むす
は、三重県津市にある「千寿」という料理店の賄い料理として考えだされたもので、これ
が意外に美味しかったことから、そのお店でメニューとして出されるようになったもので
ある。ではそれがなぜ名古屋名物となったのだろうか。

 中区大須に「めいふつ天むす千寿」という店がある。その名のとおり、津の千寿から天
むすの製法を受け継いだお店である。千寿という名前がついているのだから、暖簾分けと
言っても良いだろう。このお店が天むす専門店として、名古屋に初めて天むすを伝えたお
店ということになる。開業は1980(S55)年と意外に新しい。天むすは名古屋にやってきて
わずか25年でここまでの地位を築いたというわけである。先ほど、天むすは代わり映えし
ないメニューと書いたが、簡単なものほど難しい。家で味を真似をしようと思ってもでき
るものではない。油、米、海苔、そして調理法に相当なこだわりを持っていると思われる。

全国に進出したために知名度が高い

 天むすを名古屋で買おう、食べようとしても、意外と扱っている店が少ないことに驚く
だろう。名古屋っ子も、そう頻繁に天むすを食べるわけではない。ではなぜ名古屋名物に
なったのか...。さて、そのめいふつ天むす千寿とは別に、名古屋以外に天むすを広めたお
店がある。その名は「天むす・すえひろ」である。

 天むすすえひろが誕生したのは1986(S61)年。めいふつ天むす千寿よりも後であるが、
決して偽者というわけではないそうだ。津の千寿で天むすを考案した人から同じように味
を伝承をしていると言っている。このすえひろが、関東や関西に店舗を続々と出店したこ
とから、天むすというものが全国で知られるようになったのである。だが、特に名古屋名
物として売られていたわけではない。

千寿
<津>大門・だいたて商店街
写真
写真
こちらが元祖、津「千寿」の天むす。
塩加減の良さがたまらないです。

名古屋と海老の関係に繋がる

 今でも三重県の人に言わせると、この天むすを名古屋名物とすることは納得がいかない
と言う。発祥の地が津である上に、暖簾分けをしたお店が名古屋にあるとはいえ、名古屋
だけにあるわけではないからだ。実際、三重県のなかで名古屋文化が全く感じられない名
張などでも、この天むすだけは普通にメニューとして扱われていることがある。三重の名
物と言ってもおかしく無いのではないか。

 とはいえ、天むすは名古屋名物として定着しつつある。なぜ天むすが名古屋名物になっ
たのか、この謎を解くには、名古屋と海老の関係を紐解かなければならない。というわけ
で、次回の「エビフライ編」に続く。


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