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名古屋近郊スタイル喫茶店の魅力-大府市・コスモスが惜しまれつつ閉店

記事公開日:2013年9月8日 更新日:

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★名古屋スタイルモーニングのワンランク上とは
★チェーンの名古屋スタイル喫茶店とはまた違う味わい
★この文化はどこまで残ることができるか

 昔から、名古屋・岐阜の近郊にはどこにでもあって当たり前の存在である喫茶店。いまや名古屋名物として全国の人に知られるようになっただけでなく、大手チェーン店によって、そのスタイルは全国へと拡大しつつあります。オーソドックスでありながらも、名古屋っ子にとっては古くから親しみのある「名古屋スタイルの街の喫茶店」を今回はレポートします。

 やってきましたのは、大府市の喫茶店「コスモス」。モーニングとランチの時間は座席がいっぱいになるほどに地元の人に親しまれている一方で、それ以外の時間はその賑わいが嘘かのように落ち着きを見せるという、典型的な名古屋の喫茶店です。

名古屋は喫茶店王国なのか?

 2009(H21)年のデータによりますと、都道府県別の喫茶店数は愛知県が全国2位です。3位が東京都ですから、東京よりも愛知の方が喫茶店が多いという数字に驚愕です。喫茶店に使うお金も名古屋市は全国2位。また人口あたりの喫茶店数、面積あたりの喫茶店数もそれぞれ愛知県は全国3位と、かなりハイレベルな数字を叩き出している一方で、喫茶店王国と言われつつも、肝心の1位はどれも取れてないあたりも名古屋らしいですね。

 名古屋の喫茶店といえばやっぱりモーニングサービスですよね。オープンすぐの朝イチで入ろうものなら、座席はすぐにびっしりと満席になってしまいます。ですので、あえてモーニングサービスが終わる午前10時半直前に訪れてました。

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モーニングサービスのコスパ

 名古屋のモーニングサービスといえば、コーヒーを注文しただけでいろいろついてくるわけですが、このコスモスでは、モーニングサービス「A」として、コーヒー単品価格と同じ300円で、コーヒーとゆでたまご、トーストをいただけます。このバターとジャムがポットで入ってくるところもいいですよね。かつては名古屋の大手チェーン喫茶店もそうだったのですが、扱いにくいのでしょうね、最近はあまり見かけなくなってきています。

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 さらに、実は有料のモーニングサービスも用意されているのも名古屋スタイル。無料のモーニングサービスがあるのに、有料を注文する人なんているの?と思われるかもしれませんが、このクオリティになります。

 コスモスの有料モーニング「B」は250円プラスの550円。この価格で、コーヒー、トースト、ハムエッグ、サラダがついてきます。ナイフとフォークでいただく有料モーニング。朝からリッチな気分になれることうけあいです。さらに100円を追加して「C」の650円になりますと、ハムエッグがベーコンオムレツにランクアップ。食べている人を見かけたら、思わず「何かいいことあったの?」と聞いてしまいそうになります。

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ランチもお値打ち

 モーニングサービスが終わって、お店の方が一息つくとランチタイムです。名古屋スタイルの喫茶店はランチメニューも充実しています。大手チェーンはこのあたりが手薄なので、大きく異なるところですね。ランチタイムは午前11時から閉店まで。でも、ご飯が無くなり次第終了で、午後2時あたりには終わってしまうことも。

 コスモスの日替わりランチは「お弁当箱」「セットランチ」「スパゲティーランチ」の3種類。日替わりランチが3種類もあるというバリエーションの豊富さは、まさに常連さんを飽きさせない配慮、すごいです。

 ボリュームたっぷりなのはセットランチです。ライス料理と麺料理というメインディッシュが2つ。これで600円ですから、名古屋ことばで言うところのまさに「お値打ち」。

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 日替わりだけではありません。「焼そばランチ」に「カラアゲランチ」「とんかつランチ」という600円シリーズの定番と、ちょっと豪華に700円で「カラアゲ&エビフライランチ」も。どれも赤だし・ライス付です。

 私はもちろんカラアゲランチ。ワンプレートにから揚げだけでなくナポリタンとミニサラダ。赤だし、ライスにお漬物。これで600円はやっぱりお値打ちです。

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 食後のコーヒーは100円引きの200円。ランチをいただいたあとにゆっくりコーヒータイム。名古屋スタイルのお昼休みはやっぱりこれですよ。

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この文化はいつまで続くでしょうか

 冒頭にも書きましたが、今や名古屋スタイル喫茶店の代表は、大手チェーン店になりつつあります。コメダ珈琲店の全国進出は華々しく、名古屋の喫茶店イコールコメダというイメージが全国に定着しつつありますが、名古屋スタイルの喫茶店って、こういう個人の喫茶店が原点なのですよね。

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 かつてはその「コメダ珈琲店」も、個人の経営する喫茶店の集合体だったのですよね。看板や店名こそ同じものの、経営しているのは個人だったりするという。今もコメダはフランチャイズ形式をとっていますので、その頃と同じように経営主体はそれぞれ異なるのですが、個性が認められなくなってしまったのですよね。

 どういうことかといいますと、かつては同じ「コメダ」でも、お店によって備品が違ったり、内装が違ったり、はたまた独自メニューがあったりしたのです。経営母体が創業者から投資会社に移り、全国展開を目指すようになった今のコメダには、もうその頃の面影はありません。

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 今回、名古屋スタイルの喫茶店として紹介しました、この大府市のコスモスですが、2013(H25)年8月末日をもって33年の歴史に幕をおろし閉店しました。最近の傾向として、コメダに限らず、喫茶店のチェーン店化は名古屋近郊で大きなうねりとなっています。

 名古屋の喫茶店文化の原点である「街の喫茶店」。このお店の33年という数字からも垣間見えますが、その経営者は団塊世代が多いわけです。ですので、このコスモスのように、次第に卒業を迎えるお店が増えていくのは避けられないのかもしれません。

 大手チェーン店が継承している名古屋スタイルが全国に広がっていくのもうれしいことではありますが、こういう原点を、果たしてどこまで名古屋の後世に残していくことができるか。今はまだ、名古屋の個人経営喫茶店はどこにでもありますが、その灯が次第に消えていくことを、今から覚悟しておかないといけないのでしょうか...。よく行っていたお店の閉店に直面して、そんなことを考えてしまいました。

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