イベントレポート

刃物のまち関で開催・ヱヴァンゲリヲンと日本刀展-切れない古巣との縁?

記事公開日:2013年11月2日 更新日:

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★ヱヴァンゲリヲンと日本刀展とは一体?
★そういえば当初はテレビ東京だったんだよね
★11月23日(土・祝)からは東京で開催

 アニメと日本刀。しかも侍が出てくるわけでもない、未来の人型兵器のパイロットたちを描いたアニメとのコラボ展、それって一体どういうこと?と思いながら、刃物の街である岐阜県関市にある「関鍛冶伝承館」で開催されています「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」に行ってきました。アニメと刀。一体、どんな展示なのでしょうか。

まずは記念撮影ですかね

 関鍛冶伝承館にやってきました。もう入口からヱヴァ一色です。メインキャラクターたちが描かれた大きな幕がお出迎えです。見ると、あれ?真ん中が空いています。どうもこれは、ここに入って、キャラたちと記念写真を撮れということですよね...。

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 しかも、キャラたちはほぼ等身大。これ、厳しいよねえ。ただでさえ三次元が二次元に勝てるわけもないのに、腰の位置とかもおかしいですからね。その場のテンションで記念撮影はいいですけど、後で見返してみじめな気持ちになることウケアイです。

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1階の常設展示をまず見てから

 され、会場の関鍛冶伝承館は、鎌倉時代から受け継がれている、関の鍛冶の技を今に伝える施設で、1階の常設展示では、日本刀そのものの展示や、製造過程、歴史関する様々な資料を見ることができます。

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 刀の知識は全くありませんが、それでも、波紋が美しいということは何となくわかるほどに、美しい逸品ばかり。もちろん、ガラスの向こうに展示してありますから、触れることなどできないのですが、指を触れたらスパッといってしまうんじゃないか、そんな妄想が頭の中をグルグルまわります。普通に「安土桃山時代」に作られたとか書いてあるのも衝撃。

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 ガッチリとガラスケースに入り、鎖に繋がれていてほんのちょっとしか動かせませんが、刀をもつことができるコーナーもあり「刀の重さを体験してみよう」なんて書いてあります。これが、想像以上に重い。「時代劇のチャンバラなんて嘘だったんや」とつぶやいてしまいます。

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 重さを体験してみよう...だけじゃなくて、切れ味も体験してみようコーナーも希望です。あと、通りがかるとセンサーで動き出す、刀鍛冶の実寸大職人たちもいます。リアリティがありますが、さすがに熱や火の粉は飛んでこないのが残念。実際、まわりにいると熱いんだろか?

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呼び込みの声が聞こえる2階のヱヴァ展へ

 では2階の「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」会場へ。階段下では葛城ミサトの声で呼び込みがされていて、それがずっとリピートでかかっていて「サービス!サービスぅ!!」を何度聞かされたかわかりません。でもこれ、1階の常設展で人とすれ違わなかったことを鑑みるに、ヱヴァに来た客を1階に呼び込んだほうがよかったんじゃないかと余計なお世話。

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 さすがですね。この日は平日で雨も降っていたのですが、会場には見た目貫禄のある男性などの姿が多く見られました。入口には、今度はアスカの等身大フィギュアが。背の高さとかはイメージどおりですけど、腰の位置と胸があり得ないわ。アニメの設定を立体化するとこんな非現実になってしまうのか...。いやいやそれより刀です。

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そもそもどうして日本刀?

 この展示のコンセプトは「ヱヴァの世界を日本刀で表現したらどうなるの?」というもの。そういうことですね。ですから、それぞれのキャラクターに合った刀が製作されていたりするというわけです。入口裏には、キャラたちのイメージで作られた日本刀をそれぞれのキャラが持っているイラストが。

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 綾波レイは「零号機仕様 脇指<龍と槍>」零号機をイメージしています。そして近くにはこちらも実寸大の綾波レイが。これはファン歓喜でしょうねえ。

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 式波・アスカ・ラングレーは「弐号機仕様 短刀<式波・プラグスーツ>」。2号機をイメージしているのですが、そこにはプラグスーツ姿のアスカ立体彫刻が!この細かい技にはビックリ。ちなみに作者である刀身彫刻師の片山重恒さんのコメントとして「刀身にキャラというアイディアは無理だと思った」そうで、それでも挑戦したのは「逃げちゃダメだ!」の精神だったそうで。もともと知ってたっぽいね。

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関の新作も

 一方、そうでない作品も。この展示会は各地を巡回しているのですが、今回、初登場となった作品が「渚カヲル仕様 刀」です。関市の刀匠である25代藤原兼房さんが製作されたものなのですが、ヱヴァを知らなかったそうで、息子さんにヱヴァとはどういうものかを聞きながら作ったとのことです。

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 そして目玉は「ロンギヌスの槍」です。19点中、このロンギヌスの槍と初号機の「プログレッシブナイフ・ナイフ型」それこそ関の孫六をモチーフにした「マゴロクソード」など8点は作中に登場するものです。ロンギヌスの槍は全長3.32メートルと巨大。しかも鋼の棒をねじり合わせる工程は相当大変だったようで、その模様は動画で紹介されています。

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 展示のほかには、ヱヴァンゲリヲンと日本刀展のプリクラもありますし、「サービス!サービスぅ!!」をもっと聞きたい方のためには、作品をそれぞれ葛城ミサトが案内してくれる音声ガイドも500円で貸し出してくれますよ。

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この展示会がきっかけで...

 さて、ヱヴァンゲリヲンと日本刀展、「あれ?それって前もやってたんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。これは、全国各地を回っている巡回展で、昨年は愛知県岡崎市でも開催されました。今回で7会場目となります。

 ふと気になったのは、さきほどのロンギヌスの槍の映像もそうだったのですけど、「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」の協力が「テレビせとうちクリエイト」になっているのです。

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 テレビせとうちといえば、テレビ東京系列の岡山県にあるテレビ局。確か、エヴァは当初テレビ東京製作で放送されたものの、その地上波での放送経緯などをめぐるいろいろから事実上ケンカ別れをして、今、ヱヴァは基本的に日本テレビとのつながりが深いはず。なのにこの展示はテレビ東京系列?しかも岡山のテレビせとうち?と思ったら、そもそもこの展示会、岡山から始まってるんですね。

 もともと、刀剣の里として知られる、岡山の「備前長船刀剣博物館」で企画展として開催されたもので、それが巡回しているのです。さらに、テレビせとうちは開局以来ずっと、日本刀関連のコンテンツに力を入れ続けており、日本で日本刀に一番造詣が深いテレビ局といっても過言ではないのです。そのため、この「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」の事業自体が、テレビせとうち事業局の管轄になっているのです。

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 岡山で開催されたあと、これまで、愛知、広島、札幌、福岡、大阪と開催され、それぞれ各地のテレビ東京の系列局とテレビせとうちなどの共催という形で開かれ、系列局の無い広島では、以前からずっとライバル関係にある中国新聞系の中国放送とテレビせとうちの共催という形で開かれ、ヱヴァがライバル2社を引き合わせたと言っても過言ではない状況での開催となりました。

 そしてこの岐阜での開催は、関市長が刃物の街として、どうしても以前から誘致したかったという熱意から、関市などの主催となっており、テレビせとうちは子会社の協力という形のみになっています。エヴァとテレビ東京、縁が切れたはずだったのに、切れない。運命でしょうかね。

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岐阜・関の次は東京です

 この巡回展、関市の関鍛冶伝承館での開催は11月11日(月)までとなっており、次の開催地は11月23日(土・祝)から12月23日(月・祝)まで、東京・上野の森美術館となっています。果たして東京での開催は、古巣であるテレビ東京主催となるのか、そこに注目してしまいます。

 スパッと切れる日本刀、その展示会のために古巣との縁が切れない。皮肉なものですね。

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 さて、関鍛冶伝承館の横には「エヴァストアin岐阜」が特設でありますので、グッズなどもこの機会に買うことができます。何より残念だったのは、市長がこの展示会をずっと開きたかったということで、当初はその発表記者会見に本人自身が綾波レイのコスプレ姿で登場する予定だったのですが、いろいろあって流れてしまったことですね...。

 我が家も、普段から関の包丁や爪切りなどを使っているのですが、関鍛冶伝承館には足を運んだことがなかったのでいい機会になりました。期間中、来場者は普段の2.7倍、しかもその4割が県外からのお客さんだったとのことで、観光振興にも一役買ったというわけですね。

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 最初、アニメの日本刀展と聞いて、ちょっと無理やり感あるんじゃね?とか思ったのですが、いざ実際に見てみると、その世界観を刀で表現したうえに、日本刀の世界観と根底に流れるものに共通点があるという感じもして、奥深かったですし、とても非日常な空間でリフレッシュできました。

 でも何でもかんでも日本刀と融合できるわけではないだろうから、ヱヴァにその要素があったということですよね。ただまあ、いかにもアニメっぽい配色の柄と、本物の日本刀の刃の融合というのも...すごく新鮮でした。

関連情報

ヱヴァンゲリヲンと日本刀展(テレビせとうち)

関鍛冶伝承館(岐阜・関市)MAP

関鍛冶伝承館

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