イベントレポート

「9・11」名古屋からメッセージ2013・書と演奏で平和を祈念

記事公開日:2013年9月11日 更新日:

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★アメリカ同時多発テロから12年・名古屋からメッセージ
★書家の一ノ瀬芳翠さんと音楽家のケン・コシオさんらがコラボ
★愛と平和への思い、人と人を繋ぐ...

 2001(H13)年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロ「9・11」。あれから12年を迎えるのを前に、名古屋から書と演奏で平和を願うパフォーマンイベント「愛と平和のメッセージinテレビ塔2013」が名古屋テレビ塔のふもとで行われました。

 以前にも当サイトでご紹介しましたが、長久手市在住でアメリカ同時多発テロをきっかけに愛と平和のメッセージを発信し続けている書家の一ノ瀬芳翠(ほうすい)さんと、アメリカのアリゾナ州在住で、天白区出身の音楽家ケン・コシオさんが意気投合し、12年の日を迎えるのを前に名古屋からメッセージをと企画されたこのイベント。レポートします。

一ノ瀬芳翠さんはかつてニューヨークで

 こちらの記事「女流書道家・一ノ瀬芳翠先生の『モテ字講座』とは?」でもご紹介させていただきましたが、書道ガールズの魁として書道暦は40年以上、長久手を拠点に活躍されている女流書道家の一ノ瀬芳翠さんは、アメリカ同時多発テロに大きなショックを受け、これまでにも、鳴海絞の布45枚に大書した「イマジン」の歌詞で名古屋駅前のビルをラッピングしたり、今回も掲げられましたが、ニューヨークのグラウンドゼロで「愛で世界をひとつにしよう」と横断幕で平和を祈念する活動などをされてきました。

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ケン・コシオさんもかつてニューヨークで

 一方、アメリカのアリゾナ州在住の音楽家ケン・コシオさんも、ロサンゼルスからニューヨークへと「ルート66」を通り、道中で多くの人に鶴を折ってもらい、千羽鶴ならぬ万羽鶴をグラウンド・ゼロに届けるというアメリカ横断を決行。「被爆体験国から来た一人として平和で訴えたい」という思いを胸に活動をされてきました。

 たまたまケン・コシオさんは帰国中で、そんな2人のアーティストが意気投合して、名古屋から「9・11」を前に、何か発信しようということで今回、イベントが開かれたのです。

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演奏と書道パフォーマンスのコラボ

 この日は名古屋テレビ塔のふもとで、ケン・コシオさんと、和太鼓奏者の笛木良彦さん、オーストラリア先住民の楽器「ディジュリドゥ」を演奏するToshi小島さん、さらに打楽器のくみんさんによるバンドがまずは演奏をスタート。アメリカの先住民族の民謡が流れ始めると、何が始まったのかと多くの人が立ち止まります。

 また、中日新聞や読売新聞のほか、テレビカメラの取材も入っており、メディアの注目も多く集めていました。

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 そして故ジョン・レノンさんの曲「イマジン」とともに、一ノ瀬芳翠さんの揮毫がはじまります。1.8メートルの赤い大きな布が3つ。そこに「愛」「和」「繋」の文字が、大きな筆で、金色の墨で、書かれて行きます。

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 筆は力強く、思いが籠められ、また演奏はその動きにあわせ、まさにコラボパフォーマンス。一文字書き上げられるごとに歓声があがりました。

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すべては必然である

 この場所が選ばれたのはたまたまだったらしいのですが、ケン・コシオさんが「イマジン」を歌うと決めて到着してみるとその場所は、現在開催されている「あいちトリエンナーレ」のオノ・ヨーコさんによるウィッシュ・ツリーという参加型インスタレーションが行われている場所で、運命を感じずにはいられなかったとのこと。

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 また、アメリカに移住して15年。たまに日本に帰ってくるものの、このタイミングで一ノ瀬さんと出会い、この日にここでコラボパフォーマンスができたことも、全ては偶然のようで偶然ではないと、感慨深く仰っていました。

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12年という月日の流れに思うこと

「愛」「和」「繋」。赤い布に金色で書かれた文字。愛と平和で人が繋がれば、きっともっと世界は幸せになれるだろう...。理想論といえばそうかもしれないですけれども、私もはっきりそう思います。一人でも多くの人がその思いを希望として抱いていれば、そういう未来に近づける、そうですよね。

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 12年という月日が流れ、アメリカ同時多発テロの記憶は少しずつ遠くなってしまっていますが、2年半前の東日本大震災もそうですし、13年前の東海豪雨もそうです。忘れないこと、思い続けていくこと、心のなかに持ち続けることが大切なのですよね。今回のパフォーマンスでそのことを強く感じることができました。

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 2020(H32)年の東京オリンピックが決まったことで、日本はこれから、今までとは違った雰囲気になっていくでしょうし、考え方、経済、価値観、いろいろと変わっていくと思います。そのなかで、この名古屋だからできること、名古屋しかできないこと。名古屋に誇りをもって、過去を忘れず未来を見据えて希望を持つこと。

 このパフォーマンスイベントを見たことで、あれから12年という日を迎えるに際して、こういった思いを抱けましたし、普段は視野が狭くなりがちですが、名古屋に暮らしていつつも、世界のなかに名古屋はあって、世界を意識することが視野を広げることになるということを思い出すことができました。

 平和は、そこにあって当たり前、というものではないのですよね。

関連情報

一ノ瀬芳翠公式サイト
Ken Koshio

取材協力

KAZ Communications

名古屋テレビ塔(名古屋・中区)MAP

名古屋テレビ塔

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