イベントレポート

斬新!映画館で津軽三味線ライブ-シアターオブ山口晃司2inイオンシネマ大高

記事公開日:2013年9月13日 更新日:

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★名古屋から世界へ「津軽三味線界の若き獅子」山口晃司さん
★ライブ会場はなんと映画館!
★映画館を使った斬新な演出&地元愛溢れる構成

 名古屋を拠点に、世界で演奏活動を展開している津軽三味線奏者の山口晃司さんが、映画館でライブをするという「シアター・オブ・山口晃司」。その第2弾となった9月6日(金)の公演に行ってきました。その企画を初めて耳にしたときには「映画館でライブ?」という違和感を感じたのですが、見終わったときには全てを理解できました。見せる側にも、見る側にとっても、映画館ならではの多くの理由がありました。今回は、イオンシネマ大高で開催されましたそのライブのもようをレポートします。

ライブ直前インタビュー

 伝統芸能である津軽三味線のライブを、なぜ映画館で行うのか、そこには山口晃司さんの強い思いが。今回はなんと、トッピーネットとしてリハーサルのもようを取材させていただいたうえに、ライブ直前にご本人へのインタビューもさせていただくことができました。

 本番直前、リハーサル中の会場に入らせていただきますと、ピーンと張り詰めた空気。多くのスタッフと山口晃司さんが一体となって進行を確認。緊張感が体中に伝わってきます。「よりよいものを作りたい」その思いが突き刺さるかのようでした。その合間にお話を伺うことができました。

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なぜ映画館でコンサートなのでしょうか?

 キーワードは「和の音色とスクリーンの迫力」。生演奏を間近に感じてもらえるだけでなく、その音色とスクリーンが融合して迫力を感じて欲しいという点と、「まるで飛び出す3Dのような、実際に飛び出したかのような躍動感を感じて欲しい」スクリーンを生かすことで、その中で演奏しているかのような錯覚から、実際にそこにいるという臨場感を味わって欲しいというお話だったのですが、実は私、この時点ではそのスクリーンという部分の想像力が足りませんでした。実際にライブを見て、想像を超えた迫力に度肝を抜かれることになります。

どうして映画館でやろうと思ったのですか?

「新しいことをやり続けたいんですよね。新しい山口晃司を見て欲しいんです。」このコメントはとても興味深かったです。山口晃司さんは津軽三味線という伝統を守る立場であり、伝統・歴史・文化を大切にしているからこそ、新しいことにチャレンジし続けることで、その伝統を多くの人に届けたいという思い。「他にやってる人いませんからね」という言葉に、さらにその、新しいことをやり続けているという自信も感じました。

映画館でのライブを実現できたのはなぜ?

 しかし、だからといって映画館でのライブをすぐに実現できたとは思えないのですよね。他でやっている人がいないということは、なかなか難しいということですし、小さな単体の映画館ではなく、イオンシネマ(旧ワーナーマイカルシネマズ)という大型チェーンでの開催ですからね。その点を伺いますと「地元との縁があって実現できたんですよ」とのこと。山口晃司さんは名古屋でも特にこの地域が地盤ということもあって、チェーンであっても地元の映画館としての繋がり、そこに縁があったということなのですね。実はこの「地元」というキーワード、ライブの内容に大きく反映されていました。

2回目となる今回の公演への意気込みは?

 今回は2回目でして、1回目は4月に行われているのですが、その時は100席の場所でチケットはあっという間に完売してしまったとのこと。第2弾となった今回は400席の会場で、メディアの注目も高く、この公演直前には中京テレビ、ZIP-FMとゲストで登場されました。「会場が大きくて、2回目だけどまるで初めてのようですね」と興奮気味に語っていただけました。

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 和の音色とスクリーンを使った迫力のライブとは果たしてどんなものなのか。期待は高まります。

なんと今回もチケットは完売

 この日は午後6時半開場、午後7時開演というスケジュールだったのですが、三代目うめのすけさんが雰囲気を盛り上げていた当日券受付にはあっという間に行列ができ、注目度の高さを感じました。そしてすぐチケットは完売となってしまいます。映画館の一角でライブの受付という物珍しさもあり、映画を見に来た多くの人の注目も集めていました。

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 午後6時半に開場となると、押すな押すなと大行列。ここで面白い呼びかけがかかります。「ここは映画館ですので飲食自由です。ぜひ好きなものをお買いになってお入りください」そうなんですよね。ライブでしかも伝統の津軽三味線というイメージから「飲食しながら見てもいいの?」と、思ってしまうお客さんも多く、そうではなく、もっと気軽に、もっとラフに津軽三味線を楽しんで欲しいという思いも、映画館での開催の理由のひとつになっているのだそうです。

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 それにしても、映画館の案内モニターのなかに、映画と並んで「THE THEATER OF 山口晃司」というライブの案内があるのは面白いですね。このライブの入場を行っている間は、他の映画の入場の無いように時間調整がされていたところに、イオンシネマの誘導の配慮を感じました。

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スクリーンとの融合ってそういうことね!

 チケットは完売で座席は満席。400席はびっしりと埋りました。ショッピングセンターのなかにある映画館という来やすさも、メリットとして大きいですよね。駐車場にも困らないし、買物や食事もついでにできる。来場者にとって、そういう面での気軽さも大きいと感じました。

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 いよいよライブスタート。最初は「雷鳴」という曲で始まったのですが、思わず「そういうことですか!」と声が出てしまいます。スクリーンに登場したのは、その雷鳴をイメージした映像。曲に合った映像のなかに、生で演奏する山口晃司さんの姿が投影され、映像と演奏の姿そして音がひとつになって、まさに大迫力。

 てっきり、演奏している姿をスクリーンに映し出すだけかと思ったら、映像作品との融合、まるで映画のワンシーンを見てるかのような演出。やられました。

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地元との融合

 ライブの司会は、ZIP-FMのミュージックナビゲーターであるYO!YO!YOSUKEさん。YOSUKEさんは趣味は茶道で、歴史タレントという顔も持っていらっしゃいますから、ぴったりですね。山口晃司さんとはもともと親交があるそうで、衣装にツッコンだりと軽妙なトークも楽しかったです。

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 そして山口晃司さんの津軽三味線をサポートされていたのが、名古屋おもてなし武将隊の太鼓指導者としても知られる、和太鼓奏者の笛木良彦さん。太鼓の迫力はもちろんすごかったですが、それ以外にも様々な音で盛り上げていらっしゃいました。さらに、フリースタイルダンサーのJUNYA.aka.クマPOOさんも登場。愛知県内の私立高校でダンスを指導していて、世界大会3連覇に導いている実力者です。

 そういったゲストとのコラボも「いろんな山口晃司を、新しい山口晃司を魅せたい」という思いが形になっていて、伝統なのだけれど伝統だけじゃないという様々な表情、感じることができました。

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 また地元緑区の「kids heart promotion」のメンバーもダンスで登場して、名古屋市緑区のマスコットキャラクターである「みどりっちのうた」を津軽三味線で披露。まさに地元との融合で、微笑ましかったです。

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津軽三味線って...

 しかし、微笑ましいだけではありません。津軽三味線の演奏は力強さが求められるので、ものすごく体力を消耗すると思いますし、その演奏をする山口晃司さんの迫力はやはり生だからこそ。

 この日のライブにあわせてCD「白と黒」が発売になりまして、なんとジャケットも山口さんご自身がデザインしたとのこと。それにまつわるクスッと笑えるエピソードが披露されたところで、そのなかから「ブラックバード」という曲の演奏されたのですが、すごく現代的といいますか、こういうのもあるんだ!と驚かされる曲でした。

 この曲には「津軽三味線ってこういう音してるよね」という概念を打ち破って「津軽三味線っていろんな音があるよね」と思われたいという思いが籠められているとのこと。まさにそのとおりでした。

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さらに歌も歌っちゃう!

 サザンオールスターズの「波乗りジョニー」が演奏され、さらに、年に1度か2度しか人前では演奏しないという三線を持って登場すると「涙そうそう」で歌も!津軽三味線奏者として様々な表情を見せるだけでなく、見てる側に次々と新しい感覚を披露していく、「新しいことをやり続けたい」とはこういうことなんだと、実感できました。

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 最後の曲として用意されていた「津軽じょんがら節」はまさに渾身の演奏。盛大な拍手に掛け声が飛び交います。さらにアンコールでは、このライブのためにイオンシネマが用意したという大看板とともに、イオンシネマの方々もステージに登場して、「川の流れのように」でしっとり。

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サインと握手で大行列

 ライブが終わると、エントランスでは山口晃司さんと握手、写真撮影、そしてサインをCDに入れてもらえるということもあって、大行列。今回のライブで演奏にぐっと引き込まれた方々が次々とCDを買い求めていきました。

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 実は以前にも、山口晃司さんの演奏は聞かせていただいたことがあったのですが、そのときも、津軽三味線を「楽しんで欲しい」という思いがすごく伝わってきたのですよね。そして今回、映画館でのライブです。

「映画館でやったら面白いんじゃないか」という発想の珍しさだけでなく、新しいことをするならとことん新しいことを、それも1つや2つじゃなく、新しいことをし続けるという意気込みが形になっているということ。映画館という特性を徹底的に利用して、演奏の迫力をさらに演出でパワーアップさせるという手法。見に来るお客さんに「映画館ならゆったり聞いてもらえるから」という配慮。そのすべてが形になって、伝統の津軽三味線を、身近に気軽で楽しめるというこの企画。素晴らしいですね。チケットが完売になるのもうなずけます。

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 これまでも日本だけでなく、アメリカ、マレーシア、シンガポール、中国など世界で公演を行い、この11月にはカナダでの公演を控えている山口晃司さん。しかし、それだけ世界に羽ばたいていても、あくまでも軸足はこの名古屋。これからも名古屋から世界に、伝統と楽しさを伝えるアーティストとして活躍されることでしょう。

 もちろん、地元でもライブ活動を展開されていますので、ぜひ公式サイトのスケジュールをチェックして、ぜひ一度、山口晃司さんの津軽三味線に触れてみてください。いろんなパワー、感じますよ!

関連情報

津軽三味線奏者 山口晃司公式サイト

取材協力

KAZ Communications

イオンモール大高(名古屋・緑区)MAP

イオンモール大高

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